九州最古の焼酎酒造

格焼酎、“旧”と共に“新”を飲む: 九州最古の焼酎酒造では伝統が覇気と一体化
「伝統・伝承のうち、どれを残し、どれを捨てるかという判断は非常に難しいと思います」と、京屋酒造の渡邊真一郎・代表取締役は語る。このことは、伝統的な焼酎づくりを日本における味の変化に対応させようとする際に、渡邊氏がいつも念頭に置いていることなのだ。渡邊氏の最大の意気込みは、京屋酒造がつくる第一級の品質を誇る焼酎の評判を維持するだけでなく、全世界の消費者の好みに合うようにすることなのである。

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67歳の活発な渡邊氏は、職務のほとんどをこの酒造所で過ごし、第一級品の焼酎づくりに専念してきた。彼は酒造のすべての過程に深く関与すると共に、味わいの変化と酒造所の進むべき方向を模索してきたのである。本格焼酎は、何世紀にわたって注意深い微調整を続けてきたことによる生産物であり、その味は醸造方法の微細な変化によっても影響を受ける。「当社が行った最も大きな変更の一つが濾過のプロセスです。古くから焼酎には、蒸留により強いにおいがありました。しかし、若い人たちは強いにおいを好まないと、われわれは気付いたのです。このため、当社は伝統的な木綿による濾過システムをより近代的な真空濾過に変更し、ある種のにおいを消去しました。もちろん、焼酎の味は変わり、消費者はそれにすぐ気付きました」。

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国内での人気
 
歴史的には焼酎は九州の飲み物である。この地域の温暖な気候によって多様な農作物の収穫が可能であり、これにより様々なアルコール飲料が醸造されている。当然、京屋酒造の市場は九州だが、渡邊氏は市場を日本全国に拡大したいと思っている。「多くのバーでは、30-40種の蒸留酒を置いていますが、焼酎は1、2種類しかないですね。他の蒸留酒とは違って焼酎は食事と一緒に楽しめます。これが焼酎の利点だと私は思っています。日本全国のバーで多くの種類の焼酎を置いてほしいのです」。

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焼酎の人気が高まり続けているため、渡邊氏の願望は実現する可能性が増しつつある。焼酎の消費量は過去20年にわたり日本全国で増加しており、2004年には焼酎の売上げが初めて日本酒の売上げを越えた。焼酎の販売量が日本酒を100万リットル以上も上回ったのである。本格焼酎のブランド物の人気が急速に高まり、売上高は1999年から2004年までの期間に年率10%の勢いで伸びた。このような焼酎の成長にもかかわらず渡邊氏は努力を続けた。どちらかと言えば、焼酎の人気が高まるにつれ、彼はさらに意気込みを強めたのである。

国際的な魅力

「焼酎がニューヨーク、ロンドン、パリで愛飲されることを私は願っています。これらの都市は政治、ファッション、食事のセンターであるためです」と、焼酎の国際的な評価に注目する渡邊氏は語る。「今は、ニューヨークが焼酎に対して最もオープンですね。ここには、ロンドンやパリにあるようなワイン文化がないからです」。事実、京屋酒造による国際的な売上げの大半が米国向けであることを渡邊氏は知っている。米国では、ヨーロッパよりもずっと速い勢いで居酒屋での食事が人気化しているのだ。「欧州では、焼酎はお皿が次々にくる西欧風の食事に適していると考えられていないのです。まだ焼酎は日本食と結び付けられているわけなのです」。

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しかし、京屋酒造は欧州での焼酎の販売促進に運よく成功した。「ある日本酒醸造会社が直前になって中止したため、パリでソムリエ向けの講義を行ったのです。そこで当社の焼酎を飲んでもらったのですが、翌日にその協会の会長が経営するレストランに招待され、そこの食事に合わせた焼酎を試飲させていただきました。2ヵ月後、彼は焼酎をベースにした報道機関向けのディナー・ショーを開催してくれ、これが非常にうまくいきました。すべてがとても自然に進んだことを嬉しく思っており、このような方法で焼酎の拡販が続くと期待しています」。

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グローカリゼーション

渡邊氏による国際化についての語りは、彼の京屋酒造が宮崎県の文化と生産物に根を置いているだけに非常に印象的である。渡邊氏は20年にわたって国際化を追及してきたが、このことは焼酎のすべての原料をこの地域で調達するための絶え間ない努力と歩調を合わせてきたのだ。「さつま芋など主要な原材料の99%は宮崎県産です。米はこの地域では生産が困難なのですが、当社はすべての米を九州で調達しています。だから、目標達成は目の前なのです」。渡邊氏は、原材料のうち残されている1%をできるだけ早く地域の産物にすることを決心しているように見える。「これまで20年の月日をかけましたが、われわれは達成できると思います」。

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京屋酒造は伝統と覇気を一体化し、九州の第一級品の焼酎を創っている。とは言え、渡邊氏の意気込みは彼の京屋酒造をはるかに超えてふくらむ。「私は九州を一つのブランドにしたいのです。本格焼酎の98%は九州でつくられており、九州南部は焼酎生産で有名になっています。この酒をしっかり自分のものにすることができれば、九州を全世界に売り込めます。”九州は焼酎の島“というわけですね」。

This report was written by Fukuoka Now, on behalf of The Kyushu Advantage. Visit their website for more reports on Kyushu in English.

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