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久留米絣

見シンプルに見える藍色の濃淡で表現された木綿の織物、久留米絣。素朴だけれども力強さを感じる久留米地域で生産されるこの絣は、数々の工程と手間、そして200年に渡って受け継がれてきた伝統の技によって今にいたります。

生地の裏側を見ると久留米絣を知るための糸口が見つかります。手にとると、柄が入った生地なのに表面と裏面がないことに気がつくと思います。普段、私たちが着用している布地の大半は、生地ができた後に染色・印刷されたものですが、絣は糸の段階で柄や模様を考えて染め、そして織り上げます。例えば、紺地に白い水玉模様の絣を思い浮かべてください。その生地から縦糸を一本だけ引き抜くと、その糸には何十という紺色の部分と白い部分が規則正しい間隔で染められているのが見てとれます。この一本の経糸と、それに合わせて緯糸を正確に織り合わせて、紺地に白水玉という柄を複数作ります。とても複雑で手がかかるこの技術を受け継ぐ人は、久留米地域には現在数十人しか残っていません。

久留米絣ができるまでには、約23の工程に分けられますが、ここでは大きくまとめて説明します。

ステップ1:柄
庶民の普段着だった久留米絣は、シンプルな柄模様が特徴です。伝統の柄や作者の個性を生かして作られた図案を元に、経糸と緯糸の配分数(どの部分を染めて、どの部分を白抜きにするのか)を計算して「絵紙」を作ります。糸は染色やすすぎなど何度も水を通すので、収縮具合を考慮して図案を書き直した「下絵」を作ります。

ステップ2:括る(読み:くくる)
重要無形文化財としての久留米絣の認定条件は、⑴粗芋(アラソウ:麻の一種で剥ぎ取った表皮を乾燥させたもの)による手括り糸を使用、⑵純正天然藍での染色、⑶手織り織機で織ること。「括り」は絣模様の原点となるため、先品の仕上がりに影響する重要な工程です。綿の自然な色が久留米絣の柄の部分をなす白色部分です。染色の前に、柄になる部分(白色を残したい部分)を粗芋で固く括って防染します。

ステップ3:染める
古くより染料として使われてきた植物「藍」の葉を乾燥し、発酵させた日本・徳島産のスクモを使用します。これを染め職人が土の中に埋めた藍がめに入れて2〜3週間かけて醸造させます。醸造した藍の発酵は日々進み色が徐々に褪せていくため、藍の利用期限は6〜8カ月間程度です。染色の作業は大変な肉体労働で、糸の束を液体につけて絞り、一本いっぽんが空気に触れるように床に叩きつけます。狙う濃さになるまで、約40回ほどこの作業を繰り返します。

ここでかかる労働と費用を削減するために、化学染料と機械を使う方法に切り替えた製造者もいます。そうすることで鮮やかな色の絣が登場しました。

ステップ4:織る
染めは伝統的に男性の仕事ですが、織るという繊細な作業は女性の仕事とされてきました。柄模様に合わせて絵紙に割り出された糸数に従って、糸を分けて巻きます。久留米の織り手は伝統的な織り機を使い、幅約36cm、長さ約12mの反物を織り上げます。手作業ですので、どんなに技術があっても、完璧に模様と合わせて糸を組み合わせることは不可能です。染めや織りの工程で生じた小さなズレが、最終的にはその絣の特徴になり久留米絣の最大の魅力になります。

◎年間行事

久留米かすり藍・愛・で逢いフェスティバル
久留米絣が一同に揃う年間最大のイベント。反物や洋服、バック、小物などの展示即売、新作・創作品の発表会、久留米絣ファッションショー、手織り体験教室(有料)、絣小物作り教室(有料)等が行われる。久留米特産品のマーケットも出店する。
• 日時:2018年3月17日(土)18日(日)10:00~17:00
• 入場:無料
• 会場:地場産くるめ
• 所在:福岡県久留米市東合川5-8-5

久留米絣の始祖、井上伝女の150回忌法要
久留米絣の創始者、井上伝の墓がある徳雲寺で法要が行われる。一般の参列も可能。
• 日時:2018年4月26日(木)
• 場所:徳雲寺
• 所在:福岡県久留米市寺町66

絣の里巡りin筑後
筑後市の伝統産業である久留米絣の工房を一般開放し、匠の手仕事が間近で見学出来る。点在する各工房を巡りながら、絣の手織り体験(無料)や藍染体験(有料)の体験や絣製品等も産地価格で購入可能。だご汁、お弁当などのおいしい物販もあり筑後の魅力がたくさん!
• 日時:2018年6月2日(土)3日(日)/ 11月10日(土)11日(日)
• 場所:筑後市北西部一帯の絣工房
http://chikugo.net/event

広川かすり祭
こだわりの久留米絣、工芸品や特産物の展示・販売。八女市広川にスポットを当て、かすりを織り込んだテーマで毎年来場者を楽しませる人気の祭。ベストドレッサーコンテストや反物巻競争など様々な角度から楽しめるイベントが目白押し。同時開催のかすりたまご歴史展まで無料シャトルバスあり。
• 日時:2018年9月15日(土)16日(日)
• 場所:広川町産業展示会館
http://www.hirokankou.org/

Category
Art & Culture
Published: Dec 22, 2016 / Last Updated: Dec 20, 2017

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