The Brilliant Baker

福岡の人って、外国人や外国の文化に
親しんでる(=受け皿が広い)なぁ~って感じます。

福岡市南区長丘にあるべーカリー「サイラー」。地元住民はもちろん、本場の味が楽しめる店として広く人気を博している。この店を率いるアドルフ・サイラー氏、実は大のサッカー好きでアビスパ福岡のオフィシャルスポンサーとしての活動も行っている。福岡に来てから19年、そのきっかけ、そしてパンやサッカーにかける情熱、福岡に対する思いなどを語ってもらった。

Q. 福岡にきたきっかけは何だったのですか?
A. 実家がパン屋をやっていたので子どもの頃からパン・ケーキ作りに親しんでいて、15歳の時から本格的にパン職人として働きはじめました。その後、海外で働いてみたいという気持ちがあって、最初は漠然とカナダに行きたいなぁと思っていたんです。ところが、たまたま福岡の老舗菓子店に嫁いだドイツ人の奥さんから働き口の話をもらって、21歳で初めて福岡にやってきました。

O. 日本に来る前と実際に来てからとのギャップはありましたか?
A. 全く日本のことを知らなかったので、驚くことばかりでした。サムライ、ゲイシャ…というイメージでみんな着物を着ていると思っていたのに、実際は洋服を着ている人しかいませんでしたし(笑)。あと、人が親切で優しいなぁとつくづく感じましたね。街は、ヨーロッパと比べて電線や看板などがゴチャゴチャしてると思いましたが…。

Q. それからどうやって自店を持つことになったのですか?
A. 福岡にきてから1年半後に一旦オーストリアに戻り、そこでマイスターの資格を取ってから、戻ってきたんです。オーストリアに戻る時は福岡で知り合って結婚した奥さんも連れて帰ったのですが、向こうでは淋しい思いもさせてしまうし、奥さんのためにもやっぱり福岡で仕事をしようかな…と。それから、福岡のケーキ&ベーカリー店の店長を経て、独立しました。店を始める時は日本風にアレンジするのではなく、オーストリアの代表的なパンで勝負しようときめていました。福岡の人は外国の文化にすごく親しみをもってくれていると感じますね。店のパンを食べて「旅行に行った時に食べた懐かしい味」と言ってくれるお客さんもいますし。ここでお客さんと共に成長してこれたと思っているし、これからもそうありたいと思っているんです。

Q. オーストリアが恋しくなることはありますか?
A. そうですね…。毎年1回は帰っているのですが、向こうで暮らしたい気持ちがないわけではありません。子どもの教育のことを考えると、オーストリアがいいかな…。日本は勉強ばかりでかわいそう。例えば、中学~高校~大学と英語を勉強しても、実際はしゃべれない人がほとんど。親もどうしていいのか分からないんでしょうか。本人の意志とは関係なく、とりあえず大学まで出ておかないといけないという考えを持ってる人も多いのでは?向こうではもっと早くからいろいろな選択肢がある。中学出てから見習いに入り、そして職人になる道を選ぶ人もいっぱいいますからね。

Q. アビスパ福岡のオフィシャルスポンサーとして活動されていますが、サッカーやアビスパに対する思いを聞かせてください。
A. せっかく地元にJ1のチームがあるんだから、もっともっと応援に行ってほしいと思いますね。オフィシャルスポンサーになったのは、たとえ大企業じゃなくてもチームを支援できるということを示せたらいいなぁと思って。逆にアビスパからもどんどんPRしていかないと! 例えばホームページを充実させるとか、CMを打つとか…。アビスパ福岡を知らない人だってたくさんいるんだから、もっと戦略を考えないと。観戦後の楽しみなんかがあるといいですよね。ビアホールがあって、そこでハイビジョンで試合のダイジェストを見られたりすると、試合の余韻に浸れていいなぁ~って思うんですけど!そうすれば、試合終了後の帰宅時間が分散して、交通渋滞も避けられるからますますいい!

Q. 最後に、福岡の街についての意見をお願いします。
A. 福岡は今の規模がベスト。これ以上大きな街になって欲しくないですね。十分都会なのに、海も山も近くて、最高です。けど、人はそんなに増えているはずはないのに、あちこちでマンションが建設されているのはちょっと疑問かな…。どうせ作るなら公園や民間のプールなどの施設が増えてほしいですね。日本のプールが解放されるのって7・8月だけじゃないですか~(怒)。オーストリアは日本みたいに暑くないけれど、5~9月はプールに行きますよ。町中にいろんなプールができればもっと楽しめるのに。あと、日本全体を見るとどこの街にも特徴がないと思います。どこ行ってもある店は一緒だし。だって、明太子やお菓子など福岡の名産品をお土産に持っていったとしても、同じものを東京でも買えちゃうでしょう?それっておかしいですよね。福岡らしいものがもっと増えて人気が出たらおもしろいのになー。例えばうちのパンとかね(笑)!

プロフィール
アドルフ・サイラー
オーストリア出身
1913年創業の老舗ベーカリー「サイラー」の4代目。1984年パンとケーキの職人として日本へ。長丘にある「サイラー」では、本場オーストリアのパンを主流にバラエティ溢れるパン、ケーキを販売。併設のカフェではオーストリアの本や雑誌などが閲覧できる。アビスパ福岡のオフィシャルスポンサーとして、オリジナルクッキーやロールケーキ、パンなども販売。
http://www.sailer.jp/shop