筥崎とろろ


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体が欲する天然食材、スローフードここにあり。

 たかが麦とろ、されど麦とろ。「山芋を摺って麦ご飯の上に乗せただけでしょ」なんて思う人にこそ、ぜひ食べてみて欲しい麦とろがある。
 筥崎宮から歩いて3分のこの店は、今年9月にオープンしたばかり。なのに懐かしさすら感じられるその理由はその建物にある。土壁、柿渋など天然素材を使用した店内は、明治時代に建てられた日本家屋の良さがそのままに再現され、静かな風を運んでくれる坪庭やつくばいの水の音が、ゆっくりと落ち着いた空間を醸し出している。
 さてさて麦とろの話。100年の歳月が生み出すこの建物の味わいとおなじく、1杯の麦とろも客に出されるまでに長い時間と手間がかけられる。日頃スーパーで見かける山芋とは見た目も中身も異なる100%天然の山芋(自然芋 じねんじょ)は、消化促進や美肌効果などの効能があり古くから珍重されてきた食材。まずはその表面の毛を1本1本丁寧に取り除き、高い栄養価を保つために薄皮ごとすりおろしていく。そこから摺って練り上げ、モチのような状態にまでなるのに約40分。それも1度に10人分がやっとだが、この作業を徹底的におこなうことで喉ごしが断然よくなるのだとか。また喉ごしと同じく、麦とろには香りも大事だ。その香りを消さない程度の薄味のダシを加え、さらにさらにじっくりと摺りおろされた後、ようやく相性抜群の麦飯と出会うこととなる。
 口にするとトロトロと喉を通っていく感触、余計なものが混ざっていない自然の香。まさに体が欲する味がここにある。たかがでもされどでもない、「これぞ麦とろなんだ」と実感できるはずだ。


福岡市東区馬出5-12-9

092-651-2153

<営業時間>11:30~20:30 (OS 20:00)
<休み>月曜 
<料金>筥とろ丼 1,000円、地鶏とろろ丼(限定) 1,300円、ぜんざい 500円、ラムネ 150円、エビス生ビール 500円、焼酎350円~

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