島津 賢一


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とりあえずやってみることって大事。“経験”こそが僕のすべて

福岡で活躍する若手華道家の島津賢一氏。流派にとらわれず、花を通じて日本の文化や四季を表現していくのが“島津流”スタイル。空間プロデュースも手がけ、料亭やショップのコンサルタントなど、活動は多岐に渡る。2月にはインドで大使館イベントでの展示を依頼され、現地に行ってきたばかり。今後ますます注目が高まる彼の活動に期待したい。

Q.いけばなとの出会いは?
A.花というより、最初は空間に興味を持ったんです。ある時、何も考えずただなんとなく活けてみた花がその場では何でもなかったのに、別の場所に置いてライトアップすると全然違うものに見えて。空間がよければ、どんなものでも引き立つということに感動したんです。と、同時に、床の間や掛け軸、花瓶、花など、それぞれのパズルが揃ってはじめて日本文化が完成することを知ったんです。それから、花を本格的に勉強してみたいと思い、東京の先生に師事して学ぶようになりました。

Q.島津さんのスタイルとは?
A.流派にとらわれないスタイル。剣山を使わない「なげいれ」という手法が基本です。大切にしているのは「日本の四季」。フラワーアレンジメントのような華やかさというより、日本の四季を美しく表現していけたらいいなと思っているんです。俳句や茶道、日本絵…日本文化と言われるものには、日本の四季が分母にしっかりとありますからね。

Q.花との出会いによって何か変わりましたか?
A.“経験”することの大切さでしょうか。「華道・茶道=固い」というイメージを抱いている人が多いと思いますが、何事もやってみないと分からないことですからね。経験することで、今まで知らなかった発見があり、楽しさを知ります。今の世の中を見ると、いろいろなことに行き詰まってる人が多いと思うから、とりあえずやってみようよ!って声をかけてあげたいですね。自分から動かないと何もはじまらない。それに加え、何かをやりはじめた時に、決してムキにならない、リキまないことも大切だと思います。僕が尊敬している大学の先生が「3日坊主を大事にしなさい」って言ってたんですけど、いいフレーズだな~と思って。3日やったら1日さぼったっていいんじゃない?って。そして、また次の3日だったり、あるいは10日できたりするかもしれないから。それが楽しいと気づいた時にはもう自然と続けてると思うんです。

Q.花の仕事に関わる前は何を?
A.好き勝手してましたよ~。アメリカ大陸、オーストラリア大陸、ヨーロッパ、中東アジアなど何の目的もなく旅していました。そこで受けた影響も大きかったですね。“生きてる”って感じだった。みんな生きるのに必死。盗みたいから盗むみたいなことも、考え方によっては建前を気にしない本能的な生き方じゃないかなって。人のモノを盗むのは確かに良くないことですけど、今晩のご飯が無いからどこかから調達する。理由がとてもシンプルですよね。逆に、日本人は建前や人からの評価を過剰に気にしすぎると思います。気にし過ぎるから、変な犯罪に走ったりする。もっと自由にワガママに生きてもいいんじゃないかな。こんな風にいろんな考えが持てるようになったのも、今までの経験のおかげですね。そう思うと、僕の人生においてはやっぱり“経験”が一番大事なんです。

Q.先日のインドはいかがでしたか?
A.今回は大使館からの招待だったので、あちこち出かけることはできませんでしたが、おもしろかったです。とにかく、すごいパワーですよ。外国のものもどんどん受け入れてる。格差社会だって言うけれど、ほとんどの人が英語だって話せるでしょう。海外に出てる留学生を見ても、日本人は日本人同士で固まったり…ってよく聞くけど、インドや中国からの留学生は精神力みたいなものが違う。家族を食べさせていくために僕がなんとかしなきゃ!みたいなとこ。そんながむしゃらなスピリットに日本が乏しすぎるのか、または、世界がすごすぎるのか…。と、また改めて日本と海外とを比べたりしてました(笑)。

Q.これからも福岡で活動を?
A.福岡って本当にいい街でしょう?以前、奈良のお坊さんに「福岡は空が広い。それが一番すばらしい」と言われたんです。本当にそうだなぁ~と。福岡にいても全国、世界どこでも活動できますからね。空は繋がってるわけだし。

Q.今後の夢を聞かせてください。
A.お城攻めです!お城の空間を利用して、展示会をやっていきたいと思っています。スケールが違いますから。日本各地のお城でお花の展示ができたらいいなぁ~。もちろん、最後は姫路城です。世界遺産ですからね。その後は、世界へ。各国の世界遺産攻めへと突入します(笑)。この夢覚えておいてくださいね。実現させますから!

PROFILE
島津 賢一(しまづ けんいち)
福岡市出身。華道家。22歳の時に華道の世界へ。同じ華道家の母の影響を多大に受ける。現在は、空間プロデューサーとして、企画展やいけばな教室の講師など精力的に活躍中。

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