

生活に密着してる音楽。それがライブだと思う。
アコースティック・ギターと歌という最少スタイルを軸に、熊本を拠点に音楽という名の旅を続けるNatural Rock Rider、東田トモヒロ。光、風、海…自然界に息づくもの達と溶け合うかのように紡ぎ出されるオーガニックなサウンドに、優しさと逞しさをたたえた揺るぎないヴォーカル。彼の歌は、どこにいても限りなく自然体でニュートラルな彼自身の生き方そのものだ。
Q.現在の活動から聞かせてください。
A.以前は、ライブハウスからライブハウスという型通りの音楽活動が多かったんですけど、もっと自由に音楽やりたいと思った時から自分の環境が変わって横の繋がりも多くなって。今は熊本から全国へと旅してます。関東で演奏する時は、やっぱり九州人の熱さが伝わるみたい(笑)。
Q.英語がお上手ですが、どこかで勉強されたんですか?またアコースティックギターと歌というスタイルを選んだのはなぜ?
A.兄貴の影響と小学校の頃すごく感化された先生の影響で、ビートルズを聴くようになって、そこから自然と英語を覚えた感じですね。一人でギターを持って歌うようになったのは、28歳の時。アコースティック・ギターって電気を必要としないので、その場で自分ができることをみんなの前でやることができる。自分の音楽ができるチャンスって、ライブハウス以外でもあると思うんです。例えば、田舎の家に行ったら、お婆ちゃんが子どもに子守歌を歌ってたり、沖縄では誰かが三線を弾いて島唄を歌ったりだとか、すごく生活に密着してるじゃないですか。それが、ライブだと思うし、自分のいるべき根っこはそこに置いておきたいですね。
Q.デビューを経て約3年。最新アルバム『Slow Jam』までの旅を振り返ると?
A.結果、メジャーからはドロップ・アウトしたんだけど、どういう状況であれ、歌は変わらずそばにいて自分を取り戻させてくれた。『Slow Jam』というアルバムは、自分の自宅で録音してるんだけど、自分が買える程度の機材と協力してくれた仲間との情熱でできたもの。気持ちの部分と神様が与えてくれた環境とで、今回自分ができる精一杯のものが出せたと思います。歌を聴いてもらってCDを買ってくれたそのお金で飯食って、またライブで旅を続ける。ライブ会場限定の販売にすることで、俺なりの音楽の原点に行けたんですよね。ダイレクトだから、自分に足りないものや求めてくれているところとかがいろいろ見えてくる。自分が一体どっちに行ったらいいのかが解るんです。自分のこれまでの、そして、これからの地図になってくれる、そんなアルバムです。
Q.いちばん大切にしている曲をおしえてください。
A.…『アンジェリーナ』かな。祖父が亡くなった知らせを聞いた時、福岡にいたんですよ。バスに乗って家路に着く途中、雲の隙間から見えた夕陽がすごくきれいで、そんな風景いくつもどっかで見たなぁって思い出した。悲しい気持ちなんだけど、誰かそばにいてくれる人がいるだけで、人は救われたりするじゃないですか。どんな経験をしても、俺ら人間は人間の愛情でしか生きていけないという思いに達するんですよね。それを僕は音楽を通して学んだし、できれば言葉でなく僕の音楽が持つ雰囲気で感じてもらえたらと思う。それは戦争とかエコロジーといったメッセージも同じことで、感じてくれるからこそ、僕も生きていける。かけがいのないものが愛情だとするなら、たぶん風とか水とかもそうだろうから、形があるけどないような、そんな風みたいな音楽をやりたい。たまにそういう歌が出来るんですよ、1年に1曲とか。サーフィンも一日海に入って、いい波に巡りあえるかもしれないと思って、そしてまた海に行く。音楽と似てますね。
Q.9/3(日)の「Sunset Live 2006」への出演が決まってますが、どんなステージになりそうですか?
A.横浜や湘南でライブをやりながら見つけた仲間と、今年の頭に「東田トモヒロバンド」を結成したので、彼らと一緒に前日に熊本でライブやって、そのままサンセットに乗り込みます。九州初披露なんで、「俺、こんな風に旅してきて、こんな仲間に出会って、今こんな感じでやってるんだ」というのを2年ぶりにお見せできたらと。しかも、俺の後がB-illくん(Spinna B-ill)で、次がcaravan。みんな友達だから会えるのが楽しみだし、サンセットのスタッフの方に感謝してます!
Q.最後に、東田さんが“音楽に思うこと”を。
A.音楽が連れて行ってくれる旅って最高!音楽をやってなければ巡り会えない風景に出会わせてくれる。まさか自分がタイのバンコクで歌ったり、ニューヨークでレコーディングして歌うことになるとは思わなかったし。そういうものの連続って、“生きてる”って感じがする。根っこの部分は、より自分が心身ともに保てる場所がいいだろうという理由で熊本にいるし、ずっと歌い続けることと、熊本に住み続けることは自分の地図の中にはっきり描かれてる。ただ、そこから別の場所へ行くことも大事。熊本を拠点にこれからもいっぱい旅していきたいですね。
Text: Arei Maeda
PROFILE
東田トモヒロ(ヒガシダ トモヒロ)
熊本県出身・在住。’03年、シングル『I wish』でデビュー。メジャーでの活動を経て、今年自主制作盤『Slow Jam』をリリース。ここ数年は年間100本以上ものライブを行っている。詳しい情報はHPにて随時発信中。
Slow Jam Music
熊本県下益城郡城南町沈目647-2
0964-28-4673
http://www.higashidatomohiro.jp/