田代 敏朗


7295
7296

俺の人生っていつも絵に助けられてるんですよ。

独創的な作風で注目を浴び、「Brutus」「Dazed & Confused Japan」等の雑誌に掲載される実力派アーティスト、タシロトシアキ氏。アートワークの他に、音楽イベントでのライブパフォーマンス、ショップの壁画プロデュース、ミュージシャンとのコラボグッズの製作など、その活動は多岐に渡る。福岡を拠点にする彼の動向に今後ますます目が離せない!

Q.いつから絵を描きはじめたんですか?
A.元々、絵は好きだったけど、小さい頃からお兄ちゃんやいろんなことに対してコプレックスを感じていて、何に対しても「どうせ自分は…」という風に思い込んでいた。そんな時、中学校の先生が「田代君には絵があるじゃないか」と薦めてくれて、美術学科のある高校に進学したんです。それから、16歳の時に描いた絵が県展で賞をもらったけど、自分では何が良くてやっているか分からない状態だったかなぁ…。その後、大学では映像学科に進んだけど、1年の前期で辞めてしまったし、それから、東京へ出て、舞台美術の勉強を目指してみたけど、うまく行かなかったり…とふらふらしていて(笑)。本格的に絵ときちんと向き合ったのは福岡に帰ってきてからですね。

O.きっかけは何だったのですか?
A.たまたま絵を見た友人が「本格的にやってみたら?」と薦めてくれて。けど、やってもどうせ続かないし、どうせダメだろうって、なかなかきっかけがつかめなかった。高校~大学と悶々とした日々を過ごしていたからか、“どうせ、どうせ”と思うクセがついてしまってたんですよね。けどとりあえずダメモトである制作会社に絵を見せたら、その事務所の社長が俺の絵を見て「タシロくん、30歳までは振り返っちゃいかんよ。今の道を諦めなさんな」と一言。それから、雑誌「no!」に持っていったら連載が決まって。と、トントン拍子に事が進みはじめて。なんか絵に救われたって感じでした。

Q.その後の活動は?
A.絵を描くことを中心に、ライブイベント、アートグッズの販売やファッションとのコラボレーション作品などを手掛けています。六本木ヒルズ森アーツセンターのオープニングイベントにも参加しました。それは、村上隆さんや日比野克彦さんが選んだアーティストの作品を飾る展示で、僕はオーディションで日比野克彦さんに選んでもらったんです。で、出展中にたまたま喫煙所で話しをしていた時に自分の絵に対して、「ポップなんだけど、絵が散漫」と言われて。絵にカバーをかけるなとアドバイスを受けたんです。あと「テレビを見るな!雑誌を見るな!」とも。そしたら、その後まるまる1年間、何も描けなくなってしまった時期もありましたね…(泣)。

Q.どうやってまた描けるようになったのですか?
A.その頃はずっと付き合っている人がいて、生活が安定していたから描けなかったのかも(笑)。“恋や仕事などがうまくいってない”といったメンタルバランスが崩れたときの方が絵が描けるような気がしますね。やっぱりいつも絵に救われるんです。

Q.タシロさんの絵は、何をモチーフにしているのですか?
A.“自分自身”かな。絵を描き始めた時から日記のような感覚で描いているんです。作品にひとつひとつタイトルが付いているのですが、そのタイトルと絵でメッセージが伝わるように描いている。タイトルはいつもちょっと暗いんですけどね(笑)。周りからは、昔描いていたのと今描いているのでは作風も全然違うと言われるから、きっと自分自身も変わっているんでしょうね。

Q.どんなことを考えながら描いているのですか?
A.絵を描く時って、うまく表現できないけど、何かが降りてくるような感覚なんです…。何かを描こうと思って描きはじめるのではなく、突然描いてる。自分にとって絵を描くことって、食べ物を食べているような感じです。欲求と同じ。けど、ライブペイントの時は違いますよ。見られているという意識がありますからね。だから、まだまだ楽しめてないのが本音。それが早く楽しめるようになるといいんですけど。

Q.ずっと福岡で活動を続けていくのですか?
A.そのつもりです。福岡は何かをクリエイトしていくうえで、精神的に一番落ち着く場所。ほどよく都会でほどよく自然がある。東京の友達が遊びにきたら、みんな福岡に住みたいって言いますよ。たとえやりたいことがやれるようになったとしても、この場所は離れないかな。福岡から東京へ発信していくことって意外と簡単ですから。

Q.これからの目標は?
A.「何かおもしろいことをやろうよ」と言い合える仲間といい形で仕事をしていきたい。“絵”のおかげでいろんな人と知り合えたし、これまで僕を支えてくれた人たちーオハナジャパンの社長や多くの友人ーをとても大切に思っています。大きい仕事や面白そうな仕事だけじゃなく、絵を通じて自分を好きでいてくれる人ともっともっと絵を通じて仕事をしていきたい。それで、自分自身も大きくなっていければいい…と。あと、一流と言われる出版社から自分の本を出すことが夢。“絵”って、プライスがあってないようなものだから、早く自分の絵が勝手に語ってくれるようになるといいですね!

PROFILE
田代敏朗(タシロ トシアキ)
佐賀県出身
佐賀県立佐賀北高校美術科卒業、大阪芸術大学映像学科中退。2001年より福岡にて本格的にペインターとしての活動をはじめる。作品は福岡のセレクトショップ「ohana」にて常設展示。
ohana
福岡市中央区薬院2-15-11
092-716-8805
www.tashirotoshiaki.com

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ページトップに戻る