3月3日の「桃の節句」に合わせて祝われるひな祭りは、女児の健やかな成長を願う日本の伝統行事です。雛人形を飾る習慣は、身代わりとして災いを祓う人形信仰や、子どもの遊び文化が重なり合い、江戸時代に現在のかたちに近づきました。
その土地の気候や歴史、食文化の積み重ねによって育まれてきたひな祭りは、「いつ行うのか」「どのように雛人形を飾るのか」「何を食べて祝うのか」など、地域ごとに違いがあります。農作業や商いの暦、城下町や宿場町としての歴史など、それぞれの暮らしのリズムが、ひな祭りの時期や表現に反映されています。
福岡・北部九州のひな祭りの特徴
九州では、3月3日を過ぎても雛人形を飾り、春の訪れとともにひな祭りを楽しむ風習が各地に見られます。また、近年は、家々に受け継がれてきた雛人形を地域で公開し、町全体で春を迎える行事としてひな祭りを行う地域も増えています。旧大名家や豪商の家に代々受け継がれてきた雛人形を公開し、町を巡りながら鑑賞する「雛めぐり」も、この地域ならではの楽しみ方のひとつです。
Fukuoka Now のひな祭りガイドでは、福岡を中心に北部九州各地で行われる雛人形をテーマにした催しを紹介します。歴史的建造物や商家の座敷に並ぶ雛飾りからは、当時の美意識や暮らしぶりを垣間見ることができます。雛祭りを通して、その土地の歴史や暮らしの記憶に触れながら、春の訪れを感じてみて。

福岡近郊の地域で行われるひな祭り
福岡県(6件)
・柳川市「柳川雛祭りさげもんめぐり」
・朝倉市「古都秋月雛めぐり」
・うきは市「筑後吉井おひなさまめぐり」
・八女市「雛の里・八女ぼんぼりまつり」
・北九州市「門司港レトロのひなまつり」
・飯塚市「いいづか雛のまつり」
佐賀県(2件)
・佐賀市「佐賀城下ひなまつり」
・有田町「雛のやきものまつり」
大分県(3件)
・杵築市「城下町杵築散策とひいなめぐり」
・日田市「天領日田おひなまつり」
・臼杵市「うすき雛めぐり」
福岡県
柳川雛祭り さげもんめぐり(柳川市)
水郷として知られる柳川では、女児の初節句に贈られる伝統的な雛飾り「さげもん」が、町のひな祭りを象徴しています。期間中は、観光施設や商店街、歴史的建物などにさげもんや雛人形が飾られ、展示は地区内の各所に点在し、街歩きとあわせて雛飾りを巡ることができます。3月15日(日)には、晴れ着姿の稚児や母親がどんこ舟に乗って掘割を進む「おひな様水上パレード」が行われ、雅で華やかな柳川ならではの風景をカメラに収めようと、多くの人が集まります。

・開催期間:2026年2月11日(水祝)〜4月3日(金)
・会場:柳川市街地、柳川商店街、他(街歩きマップ)
・無料(一部施設は有料)
・公式情報:https://www.yanagawa-net.com/news_event_list/4094/
Kyushu Live – おひな様水上パレード(2024年3月17日配信)
https://www.youtube.com/live/-RxZcYhcIqw?si=MzGzF7llK6maeyMz
古都秋月 雛めぐり(朝倉市)
城下町として栄え、現在も伝統的な町並みが残る秋月では、ひな祭りの時期に町全体で「雛めぐり」が行われます。商家や文化財指定の建物などに雛人形が飾られ、城下町を歩きながら展示を巡ることができます。期間中の土日祝日と3月3日には、秋月城跡・長屋門前の石段21段をひな壇に見立て、市民から寄贈された約600体の雛人形が屋外に並びます。屋外展示が行われる日は、朝9時30分から雛人形を並べる準備に参加することもできます。雨天で屋外展示が中止となった場合は、武家屋敷「旧戸波家住宅」が特別公開され、屋内での雛飾り展示を見ることができます。

・開催期間:2026年2月14日(土)~3月8日(日)
・屋外雛展示:期間中の土日祝日および3月3日(10:00〜16:00/雨天中止)
・会場:長屋門、城下町秋月(朝倉市秋月・秋月野鳥)他
・無料(一部施設は有料)
・公式情報:https://asakuraiku.jimdofree.com/
・公式SNS:https://x.com/amagiasakura
筑後吉井おひなさまめぐり(うきは市)
白壁土蔵の町並みが残るうきはの吉井町では、江戸時代から現代までの雛人形が、旧家や商家、一般宅などで公開されます。豪華な段飾りだけでなく、庶民の暮らしの中で大切に受け継がれてきた雛飾りが多いのも、この地域の特徴です。箱雛のまわりには、雛人形や歌舞伎、浮世絵を題材に、各家の女性たちが手作りした「おきあげ」が添えられ、素朴で親しみのある表情を見せます。
2026年は「花手水とおきあげ」をテーマに白壁通りを中心に地区内の各所にて展示が行われます。

・開催期間:2026年2月11日(水祝)〜3月20日(金祝)
・無料
・会場:うきは市吉井町白壁通り一帯(街歩きマップ)
・時間:9:00〜17:00
・公式サイト:https://chikugo-yoshiihina.com/
・公式SNS:https://www.instagram.com/yoshiiohinasama/
雛の里・八女ぼんぼりまつり(八女市)
古くから雛人形づくりが盛んな八女では、ひな祭りの時期になると白壁の町並みを中心に、町全体に雛人形が展示されます。江戸・明治期の町家や民家、商店など約100カ所に雛飾りが並び、展示会場の目印として桃色の提灯が下げられます。地域に受け継がれてきた素朴な「箱びな」から、現代の雛人形まで、八女ならではの多様な雛文化に触れることができます。
八女人形会館では、旧大名家や将軍家ゆかりの雛人形なども展示され、3月7〜8日には、福島八幡宮周辺でマルシェが開催されます。

・開催期間:2026年2月15日(日)~3月15日(日)
・会場:八女福島白壁の町並み一帯(街歩きマップ)
・無料(一部イベントは有料)
・時間:10:00~17:00
・公式サイト:https://yame.travel/project/bonbori/
門司港レトロひな祭り(北九州市門司区)
明治から昭和初期にかけて国際貿易港として栄えた門司港では、港町の歴史を伝える建物を舞台に、時代ごとの雛人形が展示されます。旧門司税関では明治期の雛人形が、かつて高級料亭として知られた三宜楼では大正・昭和期の雛飾りが公開され、建物の用途や、港町として異文化を受け入れてきた門司港ならではの背景とともに雛人形の変遷を見ることができます。
栄町銀天街をはじめ、レトロ地区の各施設に雛人形が展示され、海に近い開放的な街並みと歴史的建造物を散策しながら雛飾りを楽しめます。

・開催期間:2026年2月7日(土)〜3月1日(日)
・会場:旧門司税関、栄町銀天街ほか門司港レトロ地区各所、三宜楼(※月曜休館)
・無料
・公式情報:https://www.mojiko.info/event/info/
いいづか雛(ひいな)のまつり(飯塚市)
宿場町として始まり、明治以降は炭鉱の町として発展した飯塚市を舞台に、市内各所で雛人形が展示される恒例のひな祭り。炭鉱王が暮らした旧伊藤伝右衛門邸を中心に、市内約15の施設で、江戸から昭和にかけての時代別の雛人形や、座敷雛、段飾りなどが公開されます。
国の重要文化財である旧伊藤伝右衛門邸では、20畳の座敷一面に雛人形を並べた座敷雛が展示され、2026年は「幻想の美 語り継がれる日本の昔話」をテーマに構成されています。会期中の土日祝日には、雛装束の着用体験や、庭園や邸宅を竹灯籠と照明で演出する夜間ライトアップ(17:30〜最終入館20:30)も行われ、昼間とは異なる表情を見ることができます。

・開催期間:2026年2月7日(土)〜3月22日(日)
・会場:旧伊藤伝右衛門邸ほか、飯塚市内各施設(街歩きマップ)
・無料(一部施設は有料)
・公式情報:https://www.city.iizuka.lg.jp/shokokanko/maturievent/hina.html
佐賀県
佐賀城下ひなまつり (佐賀県佐賀市)
城下町として発展した佐賀では、旧佐賀藩主・鍋島家ゆかりの雛飾りを中心に、格式あるひな祭りが行われます。明治から昭和初期にかけて、鍋島家の歴代夫人たちが愛した雛人形が、歴史的建造物の空間を使って公開され、佐賀錦をまとった雛や、佐賀藩の公服文様に用いられた鍋島小紋の衣装を身に着けた雛などを見ることができます。
展示会場は柳町エリアや松原エリア、佐賀城本丸歴史館などに広がり、城下町の町並みとともに雛飾りを鑑賞できます。期間中の土日祝日には周遊バスが約20分間隔で運行され、点在する会場を効率よく巡ることができます。

・2026年2月14日(土)~3月15日(日)
・会場:柳町エリア、松原エリア、佐賀城本丸歴史館(街歩きマップ)
・時間:10:00〜17:00(最終入館16:30)※佐賀城本丸歴史館は9:30〜18:00
・無料(一部有料施設あり)
* 有料5施設の周遊チケット:¥1,000(中学生以下、障がい者と介助者1名無料)
・時間:10:00~17:00(最終入館16:30)、佐賀城本丸歴史館9:30~18:00
・公式情報:https://saga-hinamatsuri.jp/
有田雛(ひいな)のやきものまつり(佐賀県西松浦郡)
陶磁器の町として知られる有田では、有田焼の技法を生かした雛人形が町を彩ります。艶やかな白磁の肌に繊細な絵付けが施された雛人形は、磁器ならではの質感が特徴で、窯元やギャラリー、ショップなど町内各所で展示されます。世界最大の磁器製座りびな七段飾りをはじめ、有田を代表する柿右衛門窯や香蘭社、姉妹都市であるドイツ・マイセン磁器製作所が制作した雛人形も公開され、一部会場では雛人形の販売も行われます。
展示は内山地区やアリタセラを中心に点在し、歴史的な町並みとあわせて雛飾りを巡ることができます。期間中の土日祝日には、JR有田駅前を起点に各エリアを結ぶ無料周遊バスが運行され、焼きものの町ならではの雛祭りを効率よく楽しめます。
*無料周遊バス:JR有田駅前〈KILN ARITA〉発着、1日2便(11:30、13:30出発)。出発30分前からKILN ARITAにて整理券配布。

・2026年2月7日(土)~3月8日(日)
・会場:西松浦郡有田町内各所、有田館、アリタセラ他(街歩き・バスマップ)
・無料(一部施設は有料)
・公式情報:https://www.arita.jp/event/hinamatsuri/
・公式SNS:https://www.instagram.com/arita_kankou/
大分県
城下町杵築散策とひいなめぐり(大分県杵築市)
江戸時代の町割りが残る城下町・杵築では、武家屋敷や商家などで雛人形が公開されます。南北の高台に武士の屋敷が並び、その谷あいに町人の暮らしが広がる「サンドイッチ型」と呼ばれる城下町の地形も、この町ならではの特徴です。城下町エリアを中心に、山香エリアや大田エリアにも展示会場が広がり、市内各所で27会場で雛飾りを見ることができます。
和服で訪れると杵築城や武家屋敷は入館無料になるため、着物を着て散策する人が多いのもこのイベントの見どころの一つです。

・2026年2月14日(土)~3月15日(日)
・会場:杵築城下町一帯、山香エリア、大田エリア(街歩きマップ)
・無料(一部施設は有料)
・公式情報:https://kit-suki.com/pages/333/
天領日田おひなまつり(大分県日田市)
江戸時代、幕府直轄地「天領」として九州随一の繁栄を誇った日田では、旧家に受け継がれてきた雛人形が各所で公開されます。豆田町や隈町を中心に、豪商が京都や大阪で求めた豪華な雛人形から、庶民に親しまれてきた紙と布で作る「おきあげ雛」まで、多様な雛飾りを見ることができます。
国指定重要文化財の草野本家をはじめ、江戸時代の町並みが残る豆田町一帯では、建物と雛人形をあわせて鑑賞できるのも特徴です。3月2日には、願い事を書いた紙雛を水に流す「豆田流しびななど、地域に根付いた行事も行われます。

・2026年2月15日(日)~3月31日(火)
・会場:豆田地区、隈地区ほか(街歩きマップ)
・無料(一部施設は有料)
・公式情報:https://ohina.oidehita.com/
うすき雛(ひな)めぐり(大分県臼杵市)
天保の改革期(1841〜43年)、質素倹約令により紙製の雛人形しか飾ることが許されなかったと伝わる臼杵藩。その歴史に着想を得て、2006年に市民ボランティアの手で生まれた「うすき雛」は、立雛を原型とした、簡素で気品ある姿が特徴です。期間中は、臼杵市内の4会場に、市民が一体ずつ手作りしたうすき雛が展示されます。城下町の落ち着いた空気の中で、雛人形に込められた祈りや、臼杵ならではの美意識に触れることができます。

・2026年2月6日(金)~3月8日(日)
・会場:臼杵市観光交流プラザ、旧真光寺、サーラ・デ・うすき、久家の大蔵(街歩きマップ)
・無料(一部施設は有料)
・公式情報:https://www.usuki-kanko.com/archives/21094
注意:掲載情報は2026年2月時点のものです。ここに掲載されている料金・条件等が主催者によって変更される場合がありますので、変更等にお気づきの際にはFukuoka Nowまでご連絡ください。