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博多で生まれて全国に広まった博多独楽(こま)

段はゲームに夢中の子どもたちも、正月には凧揚げやこま回しなど昔ながらの遊びを楽しむ様子が見られます。博多で誕生した博多独楽は優れた安定性から全国に広がり、各地に伝わる独楽芸のルーツになったと言われています。最大の特徴は鉄の心棒があることで、回転力が強く、長く回り続けることができます。子どもたちのけんか独楽としても親しまれてきました。

こまは1300年ほど前に中国から伝わったとされ、竹でできた回すと音がする子どもたちの遊び道具だったそうです。これを木製にしたこまが、室町末期ごろから博多で作られていたと古文書に記されています。さらに江戸時代に入った17世紀後半、鉄芯を打ち込んだ博多独楽が誕生します。回転が安定している博多独楽は手に取って移動させることができ、ここから独楽の曲芸が生まれたのです。

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当初、九州で流行していた独楽芸は、次第に京都や大阪へ上って興行をするようになりました。とりわけ幼いころから才能を見せていた市太郎という独楽師が人気を博し、1701(元禄14)年には天皇の前で独楽の曲芸を披露したと記録にあります。市太郎はその後も数十年にわたって全国各地を興行して歩いたため、博多独楽とその曲技が全国に伝わることになったのです。

現在の博多独楽は伝統芸能として福岡県の無形文化財に指定され、独楽そのものも伝統工芸品として県知事指定の工芸品となっています。「博多町家」ふるさと館では毎週水曜日に博多独楽の制作風景を一般公開しているほか、購入もできます。カラフルな色合いも楽しい博多独楽は曲芸に使われるだけでなく、子どもたちが遊ぶ独楽としても根強い人気があります。

Originally published in Fukuoka Now Magazine (fn204, Dec. 2015)

Category
Art & Culture
Fukuoka Prefecture
Published: Nov 27, 2015 / Last Updated: Jun 4, 2019

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