「ニホンデノモクテキハナンデスカ?」この一見単純な 質問を受けたとき、正直答えに困った。仕事の都合です、という答えが欲しいのか、それとも個人的な理由を知りたいのか?はたまた自分自身の存在意義だと か、もっと深い話をしたいのか?いずれにせよ、これは国際的関心の高いナウの読者にも自問してほしいんだ。僕たちをこの時・この場所へ結びつけるものは一体何なんだろう? そして、異なるバックグラウンドをもつ者同士、どうしたら効果的にコミュニケーションがとれるんだろう?
国際化や多文化共生などの単語は、世間で言われているわりには、まだその本質が見いだされていないし、『異文化間コミュニケーション』とかいう聞こえのよい言葉も結局はいわゆる「お国柄」という表面的な理解にとどまっているように感じるよ。でもだからといって、イギリス人が大好きな食べ物はここずっとイン ドカレーだったけど今年は中華ヤキソバに負けちゃった…なんていう世間話をすることが嫌だという訳ではないけれど、それが異文化を理解することの核心では ないんだ。何よりも怖いのは、文化的な違いに固執することで、自分の価値観や先入観に踏み込まれないように壁を築いていることもあるということ。文化の異なる部分のみに目を向けるということは、他の国々と真剣に関わらなくて済む訳だし、安易なステレオタイプを持ち出せばよいのだから。「僕たちの文化や価値 観はあまりにも“違う”んだから、なんで最初から理解し合おうなんて思うのさ?」ってわけだよ。
実際には大した「違い」はないんだ。もちろんこういったお国特有のステレオタイプにもある程度本当の部分はあるけど、僕たちにとっての共通の目標や懸念、そして希望を見つけることの方がもっと大切じゃないかな?共通点を捜して、そう、妥協点を探る!相手の話に耳を傾け、自分の経験をシェアし、そして、自分自身の固執した考え方に新風を吹き込む準備をしなくっちゃ!
「それじゃあ、ミスター平和・愛・幸福さん、あなたの言うその正直で心の通った多文化交流はどこで見つかるの?」それには、世界中で大勢が参加している「カウチサーフィン」が僕のオススメ。『旅行者とその旅行先の地元人とをつなげる世界中のネットワーク』という考えに基づき、知り合いもいないような所に旅行して、地元の人の家で生活体験をシェアする-ただそれだけだよ。もちろん、人生なんでもそうであるように、思い入れが強いほどカウチサーフィンから得るものは多い。単に無料の宿泊先として使うだけの人もいるかもしれないけど「自分の家と心と生活をオープンにすることで世界をよりよい場所にする。心を開くことで文化交流につながる知識を迎えよう」が主題なんだ。
外国人に知り合う機会がないと言っている君もこれこそチャンス!「危ないんじゃない?」なんて感じる人のためにも口コミや評価など安全確認できる指標もあるし、それ以外は常識でわかるよね?何よりも信頼が鍵さ。「英語が話せないとダメなんじゃない?」もちろん少しは話せないといけないと思うけれど、大丈夫、今まで充分英語授業は受けたはず!ちなみに我が家には今週はスイスから母娘ふたりが来たし、今までの最高齢者は息子さんと一緒だった70代の大先輩さ!
もちろん カウチサーフィンは世界平和をもたらすわけではないけど、本当の意味での異文化交流の助けにはなると思うし、ステレオタイプの向こうにある僕たち同士を知ろうとするきっかけは間違いなく作ってくれるよ。それこそが最終的な「モクテキ」なんだと思う。僕はカウチサーフィンを通してホストとしても泊まる人としても素晴らしい経験をし、そして自らの思い込みや世界についてたくさん学んだよ。さぁ、みんなでカウチサーフィンを楽しむってドォデショ?
by ジョー・スィーダー / 地球人&カウチサーファー
Originally published in Fukuoka Now magazine (fn128 Jul. 2009)