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宇宙の謎を解く巨大加速器 ILCを九州に!

近耳にするようになった「国際リニアコライダー(ILC)計画」について、小川洋福岡県知事にFukuoka NOW編集長ニック・サーズが直接インタビュー!ILCとは何なのか?またNOW読者にどのような関係があるのか?など、詳しく聞いてきました。

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Fukuoka Now (以下FN): ILCとは何か、簡単で分かりやすい言葉でご説明頂けますか?
小川福岡県知事(以下、小川知事): ILCとは今世紀三大プロジェクトの1つ。国際宇宙ステーションとITER(国際熱核融合実験炉)と並ぶもの。地表から100メートル地下に、30キロから50キロの直線の距離を使い、光の速度で加速した電子と陽電子をぶつけることによってビッグバンの再現を試みる。また、ヒッグス粒子の解明を目指しているものでもある。世界でヨーロッパ、アメリカ、アジアがあり、世界で一カ所設置しようとしている。日本の研究者も脊振地域と北上地域が有力候補地と考え、自然、社会的状況を研究している。その結果が政府に報告されるようになっている。

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FN: 東北も候補地として挙げられていますが、福岡の強みはどこにありますか?
小川知事: 先程も申し上げたように、ILCとは今世紀三大プロジェクトの1つである。国際的な観点からそこが適地であり、素晴らしいところだと認められなければいけない。選ばれるためには、自然条件はもちろん、世界一流の研究者や家族が生活し、研究する場所になるため、社会的条件が整っているところでなければいけない。福岡は花崗岩いわゆる岩盤は問題なく、一番の強みは、脊振地域は安全、安心、快適であるということ。そのような生活があってこそ、立派な研究が花を咲かせると思っている。東日本大震災のあとは、東北から大勢の方が福岡に来て住んでいる。また、福岡はインフラが整っており、古くからアジアの窓口となっている。今般、オランダと福岡を結ぶKLMオランダ航空の定期便が就航し、欧州直行便ができてますます充実している。福岡空港と都心部が近く、どこへ行くのも便利である。すべてが整っており、道路も充実している。また福岡は大学、特に理工系の大学や学部が多く、自動車、半導体やロボットの研究が進み、産業も集積している。それから、病気になった時は1,900もの病院が英語対応可能で、インターナショナルスクールではバカロレア資格が取得できる。何よりも、現に6万人の外国人が福岡で生活し、働いていて、1万人の留学生が福岡で生活し学んでいる。それに福岡には総領事館・領事館が5つあり、UN-HABITAT (国際連合人間居住計画)福岡本部もある。それだけのコミュニティがあるということは、外国人の人々にとって住みやすい街だという事を証明している。家族も含め安心して生活出来る証拠だと思う。ちなみに、福岡市は、英国の情報誌「モノクル」の「クオリティ・オブ・ライフ − 世界で最も住みやすい25の都市ランキング」で第12位。アジアの中では、東京、香港に次いで第3位にランクインしている。

FN: ILC建設によってもたらされる県の利益とはどのようなものが想定されますか?(例. 経済、教育、国際面等)
小川知事: まず、ILC計画というのは世界で1つしかないもので、アジアでしかも日本で出来るとなれば嬉しい。実現したとすれば、日本、九州が世界の基礎科学の発展に貢献し、人類の進歩に貢献出来るということ。そして、研究施設があることによって、より多くの優秀な人材が生まれる。例えば、研究者の家族たちと触れ合う事は若い人々にとって良い意味で刺激になり「自分も科学に関わりたい」「将来自分も科学者になりたい」と思うかもしれない。それは素晴らしい事で、この交流を通じて、人材育成にも繋がる。このILC建設を通して、いろんな技術や機器やシステムが生まれるが、これによって別のいろんな分野も豊かになると期待出来る。CERNでもいろんな分野の技術が波及効果として出ている。別の分野の産業や医療の進歩に繋がる。また、国際交流も盛んになると思っている。

ILC

(c)Rey. Hori

FN: ILC建設によって、環境面ではどのような影響があるのでしょうか?
小川知事: 基本的に加速器というのは規模の大小や、システムの違いはあるが、ずっと研究されて来ている。安全性については非常に習熟してきている。世界で唯一の最先端の研究が行われるわけで、安全面もきちんと確保されることになる。

FN: このプロジェクトの予定スケジュールを教えていただけませんか?一番早い時期で建設されるのはいつですか?またILCが始動する時期はいつになりますか?どのような課程があるのですか?
小川知事: 結論から言えば、分からない。というのも、世界で一カ所なので、それぞれの国の候補地について研究者が政府にレポートを提出し、その後、政府が国としてどう対応するかを決める。その結果、国同士がどういう形で進めるのか決める。この夏レポートが出たとしても、そこから政府がどうするか方針を固める。建設期間は10年。決めるまではどれくらいかかるかわからない。個人としては早く決まり、九州で決まれば良いと思う。

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FN: もし福岡がILC建設地として最終的に選出された場合、これは知事ご自身にとって大きな業績になると思いますか?
小川知事: 私自身は人類の進歩発展に貢献出来る3大プロジェクトの1つがアジアでしかも九州で出来るとすれば、望外の幸せであり、エキサイティングな仕事。私がやれるキャパシティーの中で精一杯のことはやりたいし、そのプロジェクトの重要性を思っている人に集まって頂き、計画実現の努力をしたい。九州山口の経済界、学界、行政、議会等の方々と福岡の特徴やアドバンテージを発信したい。

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FN: FUKUOKA NOWの読者は日本、福岡が選ばれるために何が出来ますか?
小川知事: これまで、我々は基礎的な科学の必要性、重要性、それから子供達の理科離れを無くし、理科が好きになるようになる、科学が好きになる子を増やそうとしてきた。そう言う意味では理科が好きになる子供たちを増やすこと。また、地域にはILCの持っている意味を知ってもらう事を今広げている。少なくとも、福岡の人々の意気込みは必要。是非理解を深めてほしい。研究者の家族が生活するであろう場所がどれだけ安全安心で生活し易いか場所か発信する事が必要。「住んでよし、訪れてよし」が基本。研究者は研究者である前に生活者である、世界一流の研究者であっても、いかに安全で安心で住んでいて楽しいかがあって、初めて良い結果が残せると思っている。九州・福岡の良さについて大いにアピールしてほしい。

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Fukuoka Prefecture
Published: Jun 26, 2013 / Last Updated: Aug 1, 2019

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