Deep Fukuoka(もっと福岡!)

ラグビー熱が高い福岡

日本のラグビー事情

日本には2つの“ラグビーの聖地”が存在する。東京の秩父宮ラグビー場と大阪の花園ラグビー場だ。高校生ラガーマンは全国高校ラグビー選手権が行われる花園を目指し、秩父宮で行われる全国大学ラグビー選手権で大学ラグビー日本一の栄冠を勝ち取るために、東京を中心とする関東エリア、大阪を中心とする関西エリアの強豪大学へと進んでいく。こうして聖地を有する2つのエリアに国内の優秀な選手が集結する図式ができてきたとも言えるだろう。

Nick Cummins, “The Honey Badger,” is just one of the many top-level players from overseas to have played in Fukuoka (2014). Here’s Nick in his Coca Cola Red Sparks uniform and “fighting spirit” bandana in 2014. Up the guts & into ’em!

福岡は聖地から遠く離れてはいるが、ラグビー熱の高さは決して負けてはいない。ジュニアスクールから高齢者も所属するクラブチーム、そしてレディースクラブまで数多くのチームがラグビーを楽しんでいる。

特にジュニアスクールの活動は盛んで、各地区のラグビー協会に登録されたジュニアスクール数は福岡が26、東京が24、大阪が30とほぼ同数。人口比から見れば東京や大阪を凌ぐ数となる。

実際に福岡のジュニアスクールでラグビーを始めて日本代表となった選手もいる。2015年ワールドカップ日本代表の一員として注目を浴びた五郎丸歩選手は「みやけヤングラガーズ」、同年および今年のワールドカップ日本代表の福岡堅樹選手は「玄海ジュニアラグビークラブ」、同じく今年のワールドカップ日本代表の流大選手は「りんどうヤングラガーズ」の出身だ。彼ら代表選手の存在が、多くのジュニアたちに大きな夢を与えていることは間違いないだろう。

The pride of the city and frequent national champs: Higashi Fukuoka High School

また福岡は、高校ラグビーにおいては全国トップレベルの強さを誇る。全国高校ラグビー選手権において19年連続出場を果たし、過去6度の優勝を誇る東福岡高校は、約130人もの部員を抱える。もちろん日本一のマンモスラグビー部だ。その東福岡高校に対抗するのは伝統ある公立高校・福岡高校。2010年の全国高校ラグビー選手権は第90回の記念大会として福岡県代表が2枠に広がり、東福岡高校と福岡高校が予選を勝ち抜いて出場。その時、福岡高校の一員として花園でプレーしたのが、日本代表・福岡選手だ。ほかにも筑紫高校、筑紫丘高校といった県立高校も強豪校として健闘を続けている。

また福岡では、2000年から毎年「サニックスワールドラグビーユース交流大会」が宗像グローバルアリーナで開催されている。高校生世代による国際大会で、国内の高校8チーム(うち地元九州が4チーム)、海外8チームが出場。日本の高校生たちが世界のレベルを肌で感じる貴重な大会となっており、2014年からは女子7人制の大会も開催されている。
 高校ラグビーを経験した多くの有望選手が関東や関西の大学へと進学してしまうのは残念だが、福岡の各大学も「関東、関西に追いつけ」と懸命な努力を重ねている。九州学生ラグビーリーグでは、福岡工業大学、福岡大学、九州共立大学などがしのぎを削りながら、秩父宮での全国大学ラグビー選手権を目指している。

社会人チームは、ジャパンラグビートップリーグに所属する宗像サニックスブルースを筆頭に、トップリーグ2部にあたるトップチャレンジリーグに所属するコカ・コーラレッドスパークスと九州電力キューデンヴォルテクス、トップキュウシュウAに所属するJR九州サンダース、福岡銀行ブルーグルーパーズなど多数のチームが存在する。

宗像サニックスブルースに在籍するカーン・ヘスケスは、2015年ワールドカップに日本代表として出場。「史上最大の番狂わせ」と言われた南アフリカ戦で、終了間際の決勝トライを決めている。ただ、トップリーグにおいても関東・関西の壁は高く、宗像サニックスブルースの最高位は2009年に記録した7位だ。

Kyuden Voltex players don’t mind a little rain!

Fukuoka’s Munakata Sanix Blues put the tackle on!

Coca Cola Red Sparks player breaks away!


JR Kyushu Thunder slams the brakes on the Fukuoka Bank Blue Groupers

このようにジュニアスクールからトップリーグのチームまで、ラグビーに触れる機会が多い福岡だが、ワールドカップ2019が開催される今年は福岡県内の3都市が公認チームキャンプ地となり、7ヶ国の代表がキャンプを行う。福岡市はイタリア、アメリカ、サモア、春日市はアイルランド、カナダ、フランス、そして北九州市はウェールズのキャンプ地となり、試合前後のわずかな期間とはいえ、各都市に滞在して練習を行う。公認キャンプ地となった自治体ではさまざまな形での歓迎イベントを計画しており、市民にとってはこれまでにないラグビーとの出会いが生まれることだろう。各都市のジュニアラガーたちにとっては、世界レベルの選手を間近で見るチャンス。それがきっと未来の福岡のラグビー界にすばらしい影響をもたらしてくれるはずだ。

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