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これぞ日本の魂

1867年江戸幕府の軍隊近代化援助のため、フランス軍事顧問団の一員として若き陸軍士官ジュール・ブリュネは日本の地に降り立った。その一年後に勃発した内戦のため、フランス本国の命令で中立の立場をとったが、江戸幕府が明治新政府に敗北すると日本からの退去を命令される。しかしブリュネは残留を決意しフランス軍籍を離脱、旧幕府脱走軍の軍事顧問として函館政権の創設を支援した。後に、明治新政府軍によって旧幕府脱走軍は投降に追いやられ、ブリュネもフランスへ脱出するも、明治維新後には日本より日本刀が贈られている。

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この話には疑問も残る。なぜ勝者が敗北者を褒める?なぜ明治新政府軍は逆らった軍人を崇敬する必要があると考えたのか?『なぜブリュネは一見何の関係もない、愛国心に燃える敗者のために戦う決心をしたのか?』

答えは、彼の精神と原動力は、敵が賞賛するほどのものであったということ。関係のない人にとっては曖昧でいいかもしれないが、日本に暮らす外国人としては、147年前にブリュネが畏敬の念を抱いてとった行動は、間違いなく我々も経験があり、同じく摩訶不思議な事態に陥ったことにも共感できるに違いない。ここが日本とそれ以外との決定的な相違点ではないだろうか。

私は夜に日本に着いた。翌朝、窓の外に見える美しい山々に畏敬の念を催した。芸術以外にこれほどの美の存在を知らなかった私は、物理学者でありながら、神々しい魅力に打ちのめされてしまった。麓に建ち並ぶ家々は山を崇拝するかのように見え、いかに日本人が八百万の神を信仰しているかも思い知ることになった。冬休みに福岡東京間をローカル電車で移動する旅をした際には、山々や神々しい土地の魂が時空を超えて私に呼びかけてくるのを感じた。君は、こういったことを経験して、日本独自の神秘を否定できるだろか?

風景はこの神秘の一面にすぎないが、新と旧、都会と田舎、テクノロジーと人、表現は難しいが、すべてに浸透している、この魂に誰しもが触れることになるだろう。外国人も以前から普通に携えているものだが、ブリュネのような先人たちから受け継ぎ、この国の魂を感じ、自身の精神を学び、そして追い求めるものへの努力を全うするようになっていくのだ。そして先人たちのような英雄と犠牲が日本の歴史に華を添える。

この崇高な精神を不可侵であるとし、国際的な場において社会的に活動しようとしない独自文化に文句を唱える外国人もいる。確かに日本の歴史の多くは世界から分離しているが、「日本の孤立は外国人にとって運命を決定する際の特別な場所としての意味を成す」が、先人からのメッセージ。日本は進捗を示唆するために度々外国人を求めてきた。つまり、外国人諸君、日本にいる限り、完全に日本にとけ込むべし。そして多くの外国人の先人たちが感じた日本の魅力を否定することなく、日本の将来のために尽力すべし!

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アリ・カーン/マンチェスター(英国)/学生

Originally published in Fukuoka Now Magazine (fn182, Feb. 2014)

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Fukuoka City
Published: Jan 28, 2014 / Last Updated: Jun 13, 2017

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