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プロバスケットボール ライジング福岡

スケットボールは、日本で新たな展開を見せている。近年人気急上昇中の、このスポーツの中心は、日本プロバスケットリーグ(bjリーグ)だ。bjリーグは、2005年に誕生し、順調に活動を続けている。年を追うごとに、未だかつてない勢いで支持を拡大。日本では、決して新しいスポーツではないにもかかわらず、バスケットボールは、飛躍の時を迎えようとしている。

まずは企業ありき

バスケットボールはすでに、観客の前で試合を見せるスポーツとして何十年もの歴史を持っている。1967年から、バスケットボール日本リーグ(JBL)が、試合を開催。JBLは、有名企業のスポンサードを受けたチームによって構成された実業団リーグだ。選手たちに才能がないわけではないが、JBLににしてみれば、まずは商売ありき、バスケットボールは二の次だ。選手達は、コートを走り回る広告塔くらいにしか見られていない。

JBLには、8チームが所属し、そのほかに9チームがJBL2(2部リーグ)を構成している。試合中コートに外国人選手を1人しか起用できないという同時出場制限が存在。また、この国のバスケットボール界を仕切る日本バスケットボール協会(JBA)は、JBLに所属する選手のみにしか、日本代表入りを許していなかった。

そんな状況のなか、日本のバスケットボールは、停滞を余儀なくされる。世界の基準に照らすと、存在しないのと同じレベルだった。日本が、最後にオリンピックにバスケットボールチームを送ったのは、1976年のモントリオール大会だ。日本のバスケットボールは、長らく野球やサッカー、相撲の陰に隠れた存在だった。ゴルフやバレーボール、フィギュアスケートにマラソンでさえも、メディアに取り上げられる機会は、バスケットボールより多いのが実状である。

バスケットボールが、存在感を発揮できないのは、決してバスケットボールというスポーツ、または日本人が悪いというわけではない。日本はスポーツ好きなお国柄だが、バスケットボールについては、JBLが、マイナーなスポーツという位置づけに甘んじ、安住してきたという経緯がある。そして、そんな閉塞感に満ちたバスケットボールの現状を変革したいという希望とともに、bjリーグは、日本スポーツ界にその一歩を踏み出したのだ。

2005年新しいリーグがスタート

初年度の開幕を6チームで迎えたbjリーグは、毎年平均2チームが新たに加わり、規模を拡大してきた。今シーズン、チーム数は16を数え、東西の地区に分かれて試合を行っている。来季は、岩手県、千葉県、長野県、神奈川県に本拠を置くチームが加わる予定。いままでのチーム増加ペースが2倍になって4チームが一気に参入し、20チーム体制になるわけだ。チーム数としては、日本プロ野球(12チーム)、サッカーJリーグ(J1は18チーム)を凌駕する。さらに言うと、新たに加わる4チームは、参入を検討した10チームのなかから選ばれた。要するに、bjリーグには、さらなる拡大の余地があるということである。いくつもの都市が、自分たちのバスケットボールチームを望んでいるのだ。

日本初のプロバスケットリーグの創設を推進するという理念は、わかりやすかったし、変わることなく受け継がれている。人々がカプチーノのために財布を開くことに気づいたのは、スターバックスが初めてだったように、バスケットボールが未開拓市場であり未開発の資源だったからこそ、現在、bjリーグ隆盛があると言える。リーグを盛り上げるのは難しいことではなかった。ハイレベルのバスケットボールの試合は、日本でも売り物になるだろう。日本のバスケットボールのレベルが低いのなら、海外からもっと才能のある選手を呼び寄せて、高い次元のバスケットボールの試合がどれほど刺激的なものなのか、人々に見てもらえばいい。

bjリーグのチーム数が飛躍的に拡大することにより、スポーツ評論家達が戸惑いを見せる一方で、選手のレベルは着実に向上していった。「JBLからのはみ出しものが、なんとかリーグを存続させている」という見方は、もはや当てはまらない。それを証明するかのように、JBAは、この夏、bjリーグ所属の選手を日本代表の選抜対象と認めることを発表した。それでは、リーグに所属する選手の質を下げずに、どうやってbjリーグは規模を拡大したのだろうか?
答えは簡単だ。

その1. bjリーグは、JBLに比べ、より多くの外国人の選手登録を認め、試合でもより多くの外国人選手が同時にコートに立つことを認めた。
その2. JBLに比べ、より多くの試合、より多くのチーム、そしてより多くの対戦カードのパターンを用意した。
その3. 日本人選手が成長を見せた。

アメリカ人をはじめとする外国人選手のほとんどは、NBAの下部組織である通称Dリーグレベルでプレーできる実力をもっている。どんなスポーツでも上達への早道は、自分よりも優れた選手と対戦することだ。それこそが、試合の質を高めるために、日本人選手に残されたまさに唯一の道だったと言えるだろう。そして、実際にうまくいったのである。その成果は、学校のほこりっぽいグラウンドを走り回る子供たちへも少しずつ影響を及ぼしている。日本のバスケットボールに、今よりも競争力がつけば、bjリーグの選手達もよりよい状態に置かれるようになるだろう。「よりよい状態」とは、今よりも強い日本代表チームをもち、今よりも多くメディアに取り上げられ、今よりももっと子供のあこがれとなり、そして今よりも多くの子供達が野球のグローブやサッカースパイクの代わりに、バスケットボールを手にするということだ。ここに挙げたすべてが、今よりも強く、恵まれた環境にあるはずの、未来の日本バスケットボール界につながる。

バスケットボールチームの所有権は、引く手あまた。なぜなら、バスケットボールは、もっとも観戦するのにもっとも刺激的なスポーツのひとつだからだ。試合をするのに、野球やサッカーほど巨大な会場は必要ない。ゲームの展開は息もつかせず、レベルの高い試合では、スピード、力強さ、優美さ、駆け引き、芸術性が渾然一体となる。さらに付け加えると、bjリーグでは、会社の名前の代わりに、市や県などを前面に出している。日本ではプロ野球チームでさえも、企業名をあちこちに張り付けている。しかし、ファンは、JBLに所属する東芝やトヨタのチームを応援する代わりに、bjチームの試合に足を運ぶ。そして、福岡や大分のために声を張り上げる。実のところ、ファンはそうすることによって、自分達自身をも鼓舞しているのだ。

ライジング-日はまた昇る

2007年、ライジング福岡は、bjリーグに参戦。ジョン・ニューマン・コーチのもと、参入からの2年続けてプレーオフに進出した。現在は、小川忠晴がヘッドコーチとして2年目のシーズンを迎えている。ライジングは、守備力重視にもかかわらず、マイケル・パーカー選手が先頭に立つことにより、攻撃力も兼ね備えたチームとなった。パーカーは、昨シーズン、リーグの得点王(26.4点/1試合)、スティール王(2.8回/1試合)に輝いた。今年も、彼は攻撃部門のタイトル争いをリードしている。そしてライジングの強みは、ベテランと若手のバランスがうまくとれていること。アメリカにブラジル、中国、そしてもちろん日本出身の選手がプレーを繰り広げている。

http://rizing-fukuoka.com
by Matt Schuellein
Originally published in Fukuoka Now magazine (fn145, Jan. 2011)

 

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Fukuoka City
Published: Jan 1, 2011 / Last Updated: Jun 13, 2017

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