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Fukuoka’s Gay Scene


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By Colin Cairns

Fukuoka’s Gay Scene

時代の移り変わりとともに、変化してきているゲイカルチャー。実は、数多くのゲイバーも存在しているここ福岡において、その実情はどうなっているんだろう。果たして外国のゲイシーンと比べて違いはあるのだろうか…。来福6か月のアイリッシュ、コリンさんが純粋に感じた驚きや発見を体験談をもとに語ってくれた。

僕の育ったベルファスト(北アイルランド)では、おばあちゃんでさえ、ゲイバーがどこにあるか知ってたんだよね。地元の雑誌を見たり、あるいはレインボーフラッグを目印に探したりすればすぐわかるし、警察官も場所を教えてくれたりするんだよ(しかも事細かに間違いなく!) 。ところが、ここ福岡ではそうはいかなかったんだ…。
 こっちに来てすぐインターネットを使って、”住吉と春吉エリアにゲイバーが集まってる”って情報をゲットした僕は、ネオンサインや音楽(で、すぐ分かると思ったから)を求めて、真夏の熱帯夜の中をフラフラと歩いて探しまわったんだ。でも、これがすっごく大変なことだった。だって、福岡のゲイバーは静かな住宅街の中にあったりして、目立たないし、バ~ンと目立つ看板があるわけでもないし、なかなか他の建物と見分けがつかないんだよ。結局僕は、店のリストをプリントアウトして手に握りしめ、それが汗でぐちゃぐちゃになるくらい散々歩き回ったあげく、ようやく1軒の店をみつけたんだ。
 たぶん誰でもそうだと思うけど、こういう入りにくい店って最初はすごく勇気がいるよね。その「フォワード」というバーも、ドアに”会員制”って書かれてたから少しビビッたんだけど、”なんてことないぜ”ってフリをして思いきってドアを開けた! …ら、店の人が笑顔で迎えてくれたんだ。心配御無用。で、彼は初対面の僕に熱いオシボリを渡してこう言った「ハイ、コレ、台所で洗ってきてちょうだい!」。…(大爆笑)!! そんなやりとりが面白くて、ちょくちょく通うようになったんだよね。
 福岡のゲイバーってのは、例えばこんな冗談に表されてるんじゃないかな。フレンドリーだし、マスターとお客さんとの距離も近いし、遠慮もないし。ま、遠慮がないといえば、ちょっとウルサイっていうか詮索好き(笑)。例えば、自己紹介した後によく聞かれるのが「ベッドではどっちの役?」ってこと。体のサイズを聞かれたりとかね。その度に恥ずかしくて赤くなった顔を、焼酎のせいにしたりしてさ。でもね、そんな会話がリラックスした雰囲気を作り出してるんだろうし、僕も外国人として特別扱いされてないって感じることができるんだ。
それから、アイルランドと福岡のゲイシーンで一番違うと感じたのは、それぞれゲイバーにタイプがあるところ。例えば、オシャレな若者が好みなら「ビニールクローゼット」がいいかもしれないし、ちょっとポチャめがタイプなら「8番館」かな。アイドル系だったら「クレセントムーン」、で、クマさん系(ガッチリした年上タイプ)なら「クマ」ってな具合。ちなみに、僕のお気に入りは住吉にある「ブロス」(マッチョ系の人が多いけど、ま、僕みたいな貧弱タイプ?でもOK)。8席しかないカウンターには、サラリーマンや今ドキの若者、内科医から女装してる人まで、いろんなタイプの人たちが肩を並べて座るんだ。彼らの英語は僕の日本語よりちょっと上手いくらい。でもそんなコト全然関係ない! 夜が更けるにつれて、みんなもう喋りまくりで、仕舞いには名刺を交換しあったりするんだよ。
そうそう、実はゲイの男性も結婚してる人が多くてね。まぁ結婚が重要とされる社会では仕方ないことだろうけどね。ある店のマスターが「たぶんうちのお客の9割はゲイってこと隠してるし、半分くらいは嫁や子供がいたりするんじゃないかなぁ」って言ってたよ。でも、店で知り合った相手にそうことを深く詮索するのはNG。昨夜のダイエーの試合結果とかのほうが無難です。
 それから、”ハッテン場”というのもあるんだ。ここにはサウナや浴場とかが併設されてたりして、見ず知らずの男性と知り合うこともできる。表に出ることよりも、ただ体の関係を持ちたいタイプの人が多いかも。あと、レズビアンバーはゲイバーに比べて圧倒的に数が少ないみたいだね。でもレディスオンリーバーとして知られてる「オシリーナ」や、ほかにも男性も女性も入れるところもあるし。例えば「シン&ケイコ」とかさ。ここは、トランスジェンダーの人たちにも人気らしいよ。
 世界中でいろんな違いがあるってのは興味深いことだよね。福岡は、外国人とかあるいは単に自分のセクシャリテイを模索している人たちにいろんなコトを提供してくれる街だと思うよ。僕は、めちゃくちゃフレンドリーで協力的な人たちに会えたし。そうだな、僕から外国人にアドバイスをひとつ加えるとしたら、できるだけ日本語を話すようにトライして他のお客さんの輪の中に入っていくように努力くすること。あ、それから、マスターに恋をするなら失恋の覚悟をしといたほうがいいよ。彼らはもう誰かのものってコトが多いから…。

8番館
住吉のひょうたん池のすぐ近く。「デカイ人と酒好きな人が多いかなぁ」とは2代目マスターのウメさん。オープンから35年の歴史を持つこの店では、毎夜、ドラッグクイーンとしても脚光を浴びるウメさんとの明るいトークに花が咲く。
<住所> 福岡市博多区住吉2-13-6
<電話番号> 092-291-2310
<営業時間>21:00~04:00
<休み>水曜
<料金>チャージ500円、ドリンク700円~
<サイト> http://ip.tosp.co.jp/i.asp?i=clubno8

クレセントムーン
ノンケもオッケー、いろんなジャンルの人が集まり、初めての人でも比較的入りやすいかも。「来てもらったら楽しんでほしいから」とマスターのたつさんとスタッフがハイテンションで盛り上げてくれる。毎月最終土曜日「CMナイト」と称したイベントも開催!
<住所> 福岡市中央区春吉2-19-1-1
<電話番号> 092-731-0005
<営業時間>20:00~03:00、金、土、日曜~05:00
<休み>なし
<料金>チャージ1,200円(1ドリンク・おつまみつき)、ドリンクオール 700円

ブロス  
レインボーフラッグのステッカーのついたドアを開けると、カウンター8席ほどの小さな空間。壁に張られたポスターを見れば分かるが、格闘技好きなお客さんも多いとか。アットホームな雰囲気が漂うのはたぶん、マスターののりさんの人柄のせいだろう。
<住所> 福岡市博多区住吉4-9-4
<電話番号> 092-411-6523
<営業時間>21:00~03:00、土曜、祝前日~04:00
<休み>不定
<料金>チャージ500円、アルコール類700円、ソフトドリンク600円
<サイト>http://fukuoka.cool.ne.jp/bros1996/

ビニールクローゼット 
<電話番号>092-415-6788
<住所>福岡市博多区住吉4-15-3
<営業時間>18:00~02:30
<休み>不定
http://vinylc.hp.infoseek.co.jp/

フォワード
<電話番号>092-413-7223
<住所>福岡市博多区住吉4-15-3
<営業時間>22:00~05:00
<休み>不定

クマ
<電話番号>092-483-2721
<住所>福岡市博多区住吉4-9-3
<営業時間>19:00~02:00
<休み>不定

シン&ケイコ  
<電話番号>092-482-9123
<住所>福岡市博多区住吉4-27-18-101
<営業時間>20:00~05:00
<休み>なし
http://www.shin-keiko.com/

More info on the Scene…
約50軒はあると言われる福岡のゲイバーも、確かに場所も外観も分かりにくい。やっぱり前もって調べて行くか、連れて行ってくれる友だちが欲しい…ならばまずは情報収集。ただし、冷やかしやイタズラはやめようね。

Internet
時代はもっぱらIT化。最近はやっぱり、インターネットで店を調べたり、知り合いを見つけたりする人も多いらしい。ゲイに関するサイトは星の数ほどあるけど、福岡発信の九州(山口・沖縄含む)コミュニケーションサイトがこちら。ちゃんと利用規約を読んでから利用して。

k@toom-fukuoka
http://www.k-toom.com/

Books
実際にゲイバー・レディスバーの各店でもみかけた、ガイドブック(全国版)や専門雑誌。ただし、どこの本屋でも買えるわけではありませんので注意。

●「OMM~男街マップ」Otokomachi map
全国のゲイバーやハッテン場をたっぷりを紹介したガイドブック

●「Badi (バディ)」
特に若者系に人気の月刊雑誌。バイブル的存在!?

●「anise(アニース)」
レズビアンとバイセクシャルに向けての雑誌。季刊

Shop
さて、上記で紹介した本、またビデオ、ゲイグッズなどを手にいれたければ、専門のショップにいくのが一番。イベントなどの最新の情報も集まっている。お店の店名全部や電話番号、住所などの詳細は記載できないけど、住吉エリアには2店のショップがあるので、本当に興味ある人は…自力で探してください。
※くれぐれも、入店はゲイの方のみ。

● 博多あ□ず屋
http://www.qs-men.net./anzuya/
● 博多ぶ□う屋
 
Event
まだまだ大々的なイベントは少ない福岡のゲイシーン。しかし、2002年の8月には東京の「テラ出版」主催で「博多夏祭り2002」なる祭典が3日間開かれた。のべ1,000人を超える参加があったというからスゴイ! 次回の予定は未定だそうだが、もしあるとすれば今度は地元福岡が中心となって行なわれるだろう、とのハナシ。

●テラ出版サイト
http://www.terra-publications.co.jp/

ゲイオンリーのクラブイベントも、約2ヵ月に1度のペースで開かれているらしい。主催はその都度異なるので、フライヤー、サイトなどをマメにチェック。こちらはナウがつかんだイベントの情報っス、アクセスしてみて。

●「Orgy」
  http://ip.tosp.co.jp/i.asp?I=iORGY&P=1
企画イベントも含め年に3~6回は開かれている。すでに福岡でゲイナイトを始めて10年以上のベテランだ!

また、記事中にも登場した「vinyl closet」でも ほぼ毎週土曜にDJブースを囲んでのイベントが行なわれている。初めてでも足を運びやすそうなので、いかが?

では、女性の方はどうなんだろう。

「20年前には西中洲にもあったらしいんだけど」”オシリーナ”のオーナー・猪森さんは語ってくれた。そもそも猪森さんが九州で初めての女性客オンリーの店を開いたのは約3年前のこと。最初は別のゲイバーの店休日を借りて、週1でオープンしたら、それこそたくさん人がやってきたので、近所に店を構えることを決心したのだとか。今では月に新規の客が4~5人、トータルの会員数は約500人にものぼるという。それでも「本当はもっと多いんだろうけど、男性の同性愛者に比べるとやっぱり表に出てこない人が多いんじゃないかな」ということらしい。
 九州では佐賀に1軒、熊本に1軒あるというレディスバーだが、福岡にはおおまかに言うと3軒ある。春吉に店を構える、”レディースバー N”の奈央さんは昔は普通のOLだった。「サイトで調べて来られる方もいるし、ホモセクシャルのお友達に聞いて来られた方もいますね」。本当に職業や年齢は様々なのだそう。ただ住吉・春吉エリアの店は、レディス・ゲイバー問わず、確かに分かりにくいことが多いので、入り口のドアにある”会員制”のサインを目印に。そして、もう1軒の”Doze Dose”は一般のバーだが、女性客(レズビアン)が他の客と垣根なく飲める店だ。スタッフは海外のゲイパレードにも参加しており積極的に活動をしている。オーナーの真紀さんの「いつか福岡にもゲイパレードを呼びますよ!」と力強い言葉が印象的だった。10年後、福岡のレズビアンシーンはまた違った展開を見せているかもしれない…。

<Ladyies Info.>
●オシリーナ主催のイベント「Lovey-dovey HIPster」は年に2回(3月、7月)に行なわれ、毎回大いに盛り上がるそう
●「CLUB Spoid」も入場を女性だけに限定してはいるものの、”職業、国籍、年齢、セクシャリティ”に関係なく、騒いで踊れるビッグイベント。そのコンセプトに共感する人も多いのでは。
http://www.h2.dion.ne.jp/~spoid/
●QB-NET(九州レズビアンネットワークス)のサイトでは店やイベントなどの様々な情報が得られる(男子禁制)。1月にリニューアル予定で、出会いの場としても利用できるようになるそう。
 http://www.keddy.gr.jp/~qbnet/index.html

オシリーナ
3年前、九州のレディスバーの先駆けとしてオープン。学生から社会人、主婦や外国人までありとあらゆる女性客が訪れる。イベントなど様々な活動にも積極的で、お店でもパーティーなどが定期的に開かれている。
<住所> 福岡市博多区住吉4-27-15
<電話番号> 092-436-1478
<営業時間>11:30~17:00、19:00~01:00
<休み>なし
<料金>チャージ1,000円、ドリンク500円~
<サイト> http://www.h3.dion.ne.jp/~oshirina/

レディースバー エヌ
記憶にしっかりとのこるようなお香の香りが印象的。30代~のお客が多く、昔の名曲からピックアップしてわざわざ編集したというBGMもあってか、落ち着いた雰囲気だ。水曜日はミックスデーで、男性(オナベの方含む)も入れる(ただし、紹介を受けた方のみではチャージ1500円)。
<住所> 福岡市中央区春吉1-13-1
<電話番号> 092-752-0126
<営業時間>21:00~03:00頃
<休み>火曜
<料金>チャージ1,000円(1ドリンクつき)、ソフトドリンク500円~、カクテル類 700円~、フード類350円~
<サイト> http://ip.tosp.co.jp/i.asp?i=ladysbarn

ドーズドース
女性客が多いが、セクシャリティを問わず誰でもウェルカム、なバー。もちろん男性もOK。幅のあるカウンターとイスでゆっくりと酒を飲み、脳みその中までリラックスできる。英語が話せるスタッフもいるのも嬉しいトコロ。
<住所> 福岡市中央区天神3-5-12 今泉ビル2F
<電話番号> 092-752-3600
<営業時間>19:00~03:00頃
<休み>水曜
<料金>チャージ300円、ソフトドリンク350円、カクテル類700円~

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Published: Oct 24, 2011 / Last Updated: Apr 1, 2016

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