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箱崎の街

崎宮を中心に発展して来た箱崎。近代以降は、九州大学のキャンパスタウンとして、にぎわってきた。しかし、2005年から九州大学のキャンパス移転が始まり、街がさびれるのではないかと心配する声も。「それがこの2年くらいの間に、おもしろい店が次々にオープンしてるんです」そう教えてくれたのは、「宮の杜ギャラリー もも庵」の小山田さん。古くからの商店街を散策すると、八百屋や肉屋と同じ並びにあるのは、穴場的なバーや雑貨屋。「パンナガタ」など、古民家を改装したショップもある。箱崎では、都心とは異なるゆったりした空気の中、新しいものと古いものが違和感なく共存しているのだ。

カフェ&ギャラリー キューブリック

2008年にオープンした箱崎活性化の火付け役とも言える店。箱崎に出店した理由は「単に地縁があったから」と代表の大井さん。「店を出してからわかったんだけど、箱崎は古いものがちゃんと残っていて、都心のエアポケットみたいな土地です」。1Fのブックショップから螺旋階段を上がると、大きく窓をとった開放的な空間が広がる。「楽しいことをすることが街づくりにつながる」と、このスペースでボサノヴァ塾などイベントも開催している。「街づくり!」と肩肘張るのではなく、イベントや店舗に人が集まることによって、自然発生的にコミュニティができればいい、というのがこの店のスタンスだ。料理は食材にこだわる。「天神や大名では、この値段では出せません」(大井さん)。おすすめはハヤシライス(¥640)。ニンジンのヘタなど調理の際の残り野菜でとったスープストックを使い、味に深みがある。店内にはベーグル屋「ベジキッチン」が併設されている。

Address: 福岡市東区箱崎1-5-14 ベルニード箱崎 2F

Tel: 092-645-0632
Open: カフェ 11:30~19:30, ギャラリー 11:00~20:00
Closed: 月曜

箱崎水族館喫茶室

ユニークな店名は、奥さんの曾祖父が、1910年に開館した箱崎水族館の館長だったことに由来する。「忘れられた箱崎の古いものを掘り起こしたいと思い、この名前をつけました」と奥さん。箱崎に往年のにぎわいが戻って来てほしいとの願いも込められている。グランドピアノなどが置かれた店内は、まるで誰かの家にお邪魔しているような気分に。本棚には、ご主人が趣味で集めた「柳田國男集」「日本の伝説」など民俗学関連の本を中心に充実。本はすべて自由に読める。料理は、豆と野菜のトマトシチューなど、野菜たっぷりのヘルシーなものがメイン。可能な限り近郊で採れる食材を使用し、「福岡市健康・食育サポート店」などに登録されている。はこざきホットドッグセット(¥650)は、コーヒーかアイスコーヒー、または紅茶付き。ホットドッグは、自家製ピクルスのおかげで、さっぱりとした後口だ。コンサートや講演など、イベントも定期的に開催している。

Address: 福岡市東区箱崎1-37-21

Tel: 092-986-4134
Open: 11:30~18:00
Closed: 火曜

カフェ&バー ブエノス

特製パエリア(1人前¥650・注文は2人前から)などラテン料理が充実する「夜カフェ」。元はラーメン屋だった店舗を、マスターの西山さんが自らカフェに改装した。現在は、西山さんとアルバイト1名(写真はみほさん)で、店を切り盛りする。西山さんに箱崎の魅力を訊くと、「家賃が安いことですね。おかげで価格競争には負けません」。その言葉を裏付けるのが、飲み放題込みで1500円の料理おまかせコース(6名以上で注文可)。プレミア焼酎などを除くほとんどのドリンクが飲み放題になるという太っ腹なコースだ。単品メニューも、新鮮な野菜がたっぷりのった鉄板タコライス(¥700)など、本格的な味で良心的な値段の料理がそろっている。通常¥300のソフトドリンクを、ハンドルキーパーのお客さんに限り、¥200に割り引きするサービスも心にくい。ワールドミュージックが流れるゆる〜い雰囲気は、リラックスした夜を過ごすのにピッタリだ。

Address: 福岡市東区箱崎1-27-11

Tel: 080-3227-5676
Open: 18:30 ~ 3:00, 金曜・土曜 21:00 ~ 5:00
Closed: 日曜

アジアンラティーノ CAFE & BOOK

東京でTシャツのネット通販を起業した店主が、めぐりめぐって初の実店舗を出したのは箱崎だった。そもそも福岡に拠点を移したのは、友人が浮羽の古民家を紹介してくれたことが発端。浮羽に移り住んで1年半後、事情により福岡市内に転居した。そして、かねてからの念願であった実店舗を出店することに。箱崎を選んだ理由は、家賃の安さ、交通の利便性もさることながら、「路地が入り組んだ下町の風情や、筥崎宮を中心とした街のつくりが好きだから」と店主の浦澤さん。筋金入りのバックパッカーでもある浦澤さんは、2か月に1回の割合で商品の買い付けのため海外へ渡る。メキシコを中心にキューバやジャマイカ、ブラジルなどラテンアメリカを回るほか、タイなどアジアの国々からもTシャツや雑貨を仕入れている。特にTシャツは、チェ・ゲバラもの、ボブ・マーリィものを中心に、レアなものばかりだ。旅関連の古本も販売するほか、カフェスペースもある。

Address: 福岡市東区箱崎1-36-35
Tel: 092-671-8693
Open: 14:00 ~ 20:00
Closed: 火曜

ナガタパン 箱崎店

春日市に本店を構える人気ベーカリーが、2008年に出店。元はタバコ屋だった民家を改装して使用している。箱崎の街並にぴったりとハマる昭和レトロなたたずまいだ。30cm近い長さのくるみパン(¥380)や博多ならではの明太フランス(¥180)など、楽しいパンがウインドウに並ぶ。1Fでパンとコーヒー(¥200)を購入し、2Fで楽しむのもいい。ほかの店舗とは異なり、セルフ方式ではなく、対面販売を採用。スタッフがお客さんとコミュニケーションを交わすことにより、いっそう店が地域にとけ込むことを目指している。

Address: 福岡市東区箱崎1-44-20
Tel: 092-643-8680
Open: 7:30 ~ 19:30
Closed: 火曜

箱崎翔店 ひだまりのぷりん

2010年7月オープン。完全手作りのプリンが、早くも評判を呼び完売する日も多い。プリンは20種類のなかから、常時15種類を販売。「しっかり」「ミルキー」「なめらか」と3タイプに分けられる。抹茶プリン(¥230)など比較的オーソドックスなもののほか、白味噌プリン(¥250)や地場の野菜を使ったプリンなど、珍しいものも用意する。看板のひだまりのぷりん(¥210)は、トロトロの食感と自然な甘さが魅力だ。障がい福祉サービス事業所のNPO法人が運営しており 、入口からプリンを製造している様子が見える。

Address: 福岡市東区箱崎3-10-2
Tel: 092-643-6420
Open: 10:00 ~ 19:00
Closed: 水曜

Originally published in Fukuoka Now magazine (fn141, September, 2010)

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Higashi-ku
Published: Sep 1, 2010 / Last Updated: Jun 13, 2017

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