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気持ちよい電車内マナーとは?

図読みが苦手な私は、新しい街に行くと高い確率で必ず1回は道に迷ってしまう。使い慣れたはずの古いスマートフォン片手に、現在位置や行き先までの距離を何度も何度も確認するけれど、余計に迷ってしまうことが多い。そのため旅行先での交通手段は、バスより地下鉄をよく使う。もちろんバスに乗った方が街の様子が見えて良いとは思うけれど、乗降りを間違いやすいバスより、目的地が明確にわかる地下鉄の方が旅行者には便利で、何よりも安心できる。そして地下鉄にはもう1つメリットがある。バスの大半の座席は前を向いているから、窓越しに周りの風景を見るに適している。しかし反面、地下鉄は座席が向かい合っているから、乗っている人々を観察するには抜群だ。日本はマナー意識がすごく高い国だから、特別珍しい人を見つけることはあまりないけど、服装をとおしてここで生活している人々の生活感がわかるから面白い。

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でもこの前、ちょっと面白い発見があった。先日、名古屋の友だちに会いに行ったときのことだけど、電車内でいたって普通にハンバーガーを食べている人を2回も見かけた。もちろん朝の満員電車内ではなかったけれど、乗っている他の人は誰もそのことを気にする様子はなかった。地域によっては、公共施設におけるマナーの寛容度が違うのかな?

私の実家は韓国の釜山。釜山は地下鉄が市民の一般的な乗り物になって久しいけれど、いまだ年配の人々は電車内で周りを気にせず携帯電話でお喋りするし、古い路線に乗っていると、大きな声で物を売ったり、物乞い、宣教活動をする人の誰か1人には会える。ソウルでもそう。しかし最近はスマートフォンを皆持っているから、明らかに人に不快感を与えるマナー違反行為をしている人は、写真か映像で撮られてSNSサービスで共有され、現代版魔女狩りにあうニュースも聞くから、それが正しいかどうかはさておき、マナーへの市民の意識は確実に高まっている印象がある。

福岡では地下鉄利用のマナーについて、地域高校生が参加してキャンペーンをしている。学生が描いたポスターを展示したり、駅の構内放送でマナーを守るよう呼びかけたり。最近、公共交通機関での利用マナーが荒れているとも聞くけれど、心配するほど荒れていないと、私は思う。

日本では周りと争うことなく調和の取れた生活が好まれるから、暮らしてみると「場の雰囲気を把握すること」つまり「空気を読む能力」というスペシャルな能力を身につけることができる。幼い頃からその能力を学習してきた日本人は、もうすでに充分皆が気を使っているし、もっと肩の力を抜いていいとも思う。人に不快感を与えないように注意することは正しいことだけれど、少し寛容になってみるのもいいんじゃないかと思うけど、ドーデショ?ルールは結局、人が集まることで生まれるものだからね。

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李 苑雅(イ・ウォナ)/韓国/プロジェクト・プランナー

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Originally published in Fukuoka Now Magazine (fn177, Sep. 2013)

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Fukuoka City
Published: Aug 30, 2013 / Last Updated: Jun 13, 2017

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