博多の繁華街を対岸に臨む、イタリア人建築家アルド・ロッシによるHOTEL IL PALAZZO（イル・パラッツォ）。赤いトラバーチン大理石の外壁と、緑青色の銅のリンテルで構成される、圧倒的な存在感を放つ正面ファサードは、1989年開業時から全く色褪せていません。
「時代とともに生き続ける、地域に根付いた社会資産になるべきものを作る」ことを目標に掲げ、インテリアデザイナーの内田繁がディレクターを務め、アルド・ロッシに建築を依頼しました。当時4つあったバーはエットーレ・ソットサス、ガエターノ・ペッシェ、倉俣史朗、そしてアルド・ロッシがそれぞれデザインし、三橋いく代、田中一光など、世界的なクリエイターが参画して話題になり、日本初のデザインホテルとして、そして、福岡と世界を繋ぐ「場」として、多くの人を惹き寄せてきました。
ホテル イル・パラッツォは、開業からこれまでにオーナーが代わり、幾度かの工事が行われましたが、約2年間（総工費約18億円）をかけた今回の大規模改修工事は、建築当時にディレクターを務めた内田繁の思いやデザイン理念を受け継ぐ「内田デザイン研究所」が手がけました。
外はアルド・ロッシ、中は内田繁、との話も、外に開かれているからここは外、と主張してアルド・ロッシが率先して手がけた時計台の裏にある「”外”のはずの内部」。建築やデザイン好きにはたまらないスポットが施設内に点在します。
オリジナルの精神を保ったまま、内田デザイン研究所によってRe Designされたホテルは、地下1階、地上8階建てで客室数は全77。地下はホテルのフロントと多目的ラウンジで、宿泊者以外も利用できるパブリック空間です。
地下へと続くエントランスは、開業当時の基調カラーの一つ・ダークブルーを採用し、客室には内田繁のデザインをオマージュした家具を、施設内随所にアルド・ロッシの作品がプリントされた鏡や内田繁がデザインした時計や照明で彩られています。
エル・ドラド（EL DORADO）
地下1階のラウンジ「エル・ドラド」は約130席の備え、内田繁の代表作でもあるインスタレーション「ダンシングウォーター」や照明効果を使ってインテリア全体をアートとして捉えてデザイン。ここでは、朝食からディナーまでをブッフェスタイルで提供し、21時以降はバーラウンジとして、朝から深夜まで誰もが気軽に利用することができます。
約11mのブッフェテーブルに、50種類程のフードやスイーツが並びます。
客室は開業当時から「固有文化の尊重」と捉え、現代の利用者が心地よく利用できるようにデザインされています。間接照明を適所に用いてトーンを抑えた室内、そして、ベッドは英国王室御用達の老舗ベッドブランド、スランバーランド社の最上級クラスのダブルクッションを採用。床下から高いベットで過ごすことで、特別な場所にステイしていることを実感できます。
1989年開業時のロゴデザインも復活。
福岡を代表するランドマーク・HOTEL IL PALAZZOの再オープンは2023年10月1日。ホテルステイはもちろん、使い勝手の良いラウンジ・バーも都市で過ごす大人のためのアドレスとして覚えておきたい。
HOTEL IL PALAZZO
・福岡市中央区春吉3-13-1
・電話：0570-009-915
・https://ilpalazzo.jp/
ラウンジレストラン（web予約）
・07:00〜11:00 朝食ブッフェ¥2,500
・11:30〜16:00 ランチブッフェ¥1,900
・16:00〜21:00 ディナーブッフェ¥1,900
・バー：21:00〜翌3:00 カバーチャージ¥1,000、ドリンク¥800〜
Design Tips
1980〜90年代のデザインムーブメントを感じたいのであれば、ここHOTEL IL PALAZZOに泊まり、同年代に建築家・磯崎新をコミッショナーとして東区香椎浜につくられた集合住宅群「ネクサスワールド」を見学するのお勧めです。
ネクサスワールド
スティーヴン・ホール（Steven Hall）/ 石山修武（Osamu Ishiyama）/ レム・コールハース（Rem Koolhaas）/ マーク・マック（Mark Mack）/ クリスチャン・ド・ポルザンパルク（Christian de Portzamparc）/ オスカー・トゥスケ（Oscar Tusquets）
