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アナログ社会での高潔ライフ

神は私のお気に入りショッピングスポット。Tシャツとジーンズで出かけようものなら、自己嫌悪に陥ってしまうくらい、このエリアのファッションは進んでいるわ。そんな先端をいく街にいる、ってことをちょっぴり自慢にも思ってる。だけど…。支払のとき、オフィスにいる時、このファッションシーンで感じた先端意識を挫かれる現実に直面するの。え?!カード会社との照合はダイヤルアップ?ATMは22時で終わり?郵便局は週末閉まる?これも来福5カ月間で次第にあかされた日本・福岡の現実よ。

昨年8月に久留米に引っ越した私は、30年モノのエアコンと、家族が住むスコットランドへのスカイプ、そして銀行のカードのせいで散々な目にあった。それ以来、我が家では東京を中心に見たデジタル先進国としての日本は、あくまでも一部だけなんだと割り切った。そして父にいたっては、今の私の生活と1970年代の英国(失業率が高まり、倹約と削減が推奨された経済政策の時期)との類似点を見つけたみたい。どうしてこうも外向けに発信される先端技術と実務現場の現実とのギャップがあるのかしら?

海外からみた日本のイメージが、革新的な情報社会だとされているマーケティングの成功に国内メディアは満足しているようだけど、真のギャップは、日本国民の思考の問題よ。『honne − 真実の感情』と『tatemae − 一般のふるまい』の相違が、日本の社会的現実の基礎を何百年にもわたって築いてきたの。最初は、日本へのイメージが巧妙に演出された偽りだと、だまされた気分だったわ。電子レンジとノートパソコンを同時に起動するとアパートのヒューズが飛んだとしても、これらを外の世界から知られることを「恥」とする文化も根付いていて、もちろん、そのような時代遅れの現状があることを日本人もよーく知っているの。日本人は「逆」が「真実」であることを好んでいるんだ、ってようやく分かったわ。

そもそも、なぜ未だに旧式の技術がまだはびこっているのかしら?理由のひとつとして高齢化が引き合いに出されるわ。日本人の2割以上が65歳以上だから、彼らの生活様式をデジタルに切り替えられないんじゃないか、って。何もしらないまま、頑なに面倒だ、とみなしているみたいね。変化を好まない石頭さんたちが牛耳っている限り、不便でも現状維持の方が良しとされるの。これが『gaman − 不平を言わない忍耐』よ。この強情っぱりな文化的気風は、見方によってはかなり立派よ。職場には考えられないくらいにテクノロジー・サポートが無いのに、意欲的な労働力はあるんだから。ともあれ、仏教の考えからきている 忍耐と尊厳で一見耐えられないものにも耐える修行、つまりPCや個性が強いファックス相手に、本来の仕事の目的を邪魔されることに耐え忍ぶことが修行なの。日本式オフィスでは道具に文句なんかいっちゃダメ。「弘法筆を選ばず」よ。

それから、この底冷えする地域の建物がセントラルヒーティングを持たない現実は、欧米から来た人々の理解を超えているんだけど、これもこの文化的な特異体質からきているんだと思うわ。モノゴトが自分の為や、あって感謝すべきものであっても、受けいれること事態が困難になっている事態があるの。そのことに不満を言うと、上に向かって唾を吐くのと同じ。
まあ、現時点で少なくとも分かっていることは、私が日本へ来ることがなければ、スコットランドでの生活のテクノロジーに感謝することもなかったでしょうし、1999年モノのファクシミリの達人になることもね。さ、あなただったらドォデショ?


ハンナ・オールド(スコットランド出身)外国語指導助手

Originally published in Fukuoka Now Magazine (fn170, Feb. 2013)

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Fukuoka City
Published: Jan 30, 2013 / Last Updated: Jun 13, 2017

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