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今夜は焼酎をチビリとやろう

酎は蒸留酒の一種。特に乙類焼酎は、蒸留するのは1回のみのため、原材料の味わいやうまみが楽しめる。なかでも添加物をいっさい加えていないものには「本格焼酎」の称号が与えられる。つまり、本格焼酎の味わいは、九州の自然の恵みそのものの味なのである。焼酎のユニークなところは、蒸留酒にもかかわらず、食中酒として好まれているところ。世界を見渡すと、ウィスキーやブランデーなど蒸留酒は、おもに食後酒として飲まれている。これに対し焼酎は、お湯や水で割って飲むため、アルコール度が低くなり(日本酒やワインと同じくらい)、後口がさっぱりしていて料理に合うため、食中酒に適していると考えられるが・・・そもそも、日本には「食後酒」なんていう習慣がなかったことが一番だろう。

本格焼酎は、九州各地で作られているが、産地によって使われる原材料はさまざまだ。イモ焼酎は、鹿児島と宮崎南部が本場。同じ宮崎でも、北部は米、山間部はそばがメインだ。鹿児島でも、奄美に行くと黒糖焼酎が一般的になる。熊本は米のみを使う球磨焼酎が名物だし、大分は、「二階堂」「いいちこ」など麦焼酎が全国的な知名度を誇っている。

福岡では、米や麦が多いなか、ゴマ焼酎「紅乙女」が異彩を放つ。人気が高いのは圧倒的にイモ焼酎だが、機会があれば、イモ以外の焼酎もぜひ試してみよう。居酒屋で焼酎をオーダーする時には、瓶で頼むのが九州では一般的(高級なプレミアム焼酎はのぞく)。なんてったって、そっちの方が安い。ほとんどの店でキープが可能な5合瓶(約900ml)を提供しているはずだ。自分たちの好みの濃さで水割りやお湯割を作るのも楽しい。相手が初対面でもお互いのために飲み物を作っていると、すぐに打ち解ける。3人そろえば、ボトル1本くらいは、アッと言う間に空いてしまうだろう。

さて、「焼酎は次の日に残らない」とよく言われる。蒸留酒が、ワインや日本酒などの醸造酒に比べ、酔いが残らないのは確かだ。焼酎も日本酒に比べ平均して10分酔いが抜けるのが早いという実験結果もある。だからと言って二日酔いにならないわけではない。飲み過ぎれば、翌日ツラいのはどんなお酒でも同じ。適量を守って、楽しいお酒に!

住宅地に佇む隠れ家に一歩踏み込めば、絢爛豪華な異空間が広がる
福岡市・高木

川畔酒家 さくらん

那珂川沿いに延びる住宅街を歩くと、一見倉庫のような建物が現れる。玄関をくぐり一歩店内に足を踏み入れると、世界が一変。花魁を連想させる絢爛豪華なイメージに圧倒される。まるで映画のセットに迷い込んだかのような錯覚に陥るはずだ。焼酎は、おなじみの「黒霧島」(グラス¥450)から、「森伊蔵」(¥1,500)や「魔王」(¥800)、「甕雫」(飲みきり1かめ¥5000)などのプレミアム焼酎まで、厳選した18種類がそろう。料理は、海鮮問屋直営だけあって、海老のガーリックオイル(¥580)、本たらばがに鍋(1人前1980・注文は2人から)など、魚介類を使った料理を手ごろな値段で提供。しかし、実は魚介類以外の食材も直仕入れにすることにより、コストを削減。すべての料理をリーズナブルに楽しむことができるのだ。炙りささみ(¥480)や激辛ラー油やっこ(¥400)は、焼酎のアテにおすすめ。窓の外の那珂川を眺めながら、ゆったりと焼酎と料理を堪能しよう。

[address] 福岡市南区高木2-7-6 [ map ]
[phone] 092-481-7250
[business hour] 18:00〜24:00、金土〜翌3:00
[off] 不定

焼酎は一升瓶でキープできる!1人でも利用しやすい焼酎居酒屋
福岡市・店屋町

焼酎・魚 SASUKE 博多本店

店名に「魚」と銘打っているだけあって、新鮮な魚を求めて訪れる外国人客も多い。外国人客で、それと同じくらい多いのが、カウンターの向こうにズラリと並んだ焼酎の一升瓶を店の外から見て、ついつい足を踏み入れる客だ。「森伊蔵」(グラス¥1650)や「赤兎馬 綾紫」(グラス¥900)などのプレミアム焼酎をはじめ、店内には400種類以上の焼酎がそろう。また、レギュラー酒は、一升瓶でキープ可能。大人数でリーズナブルに楽しむなら、これがおすすめだ。料理は、季節によって旬なものを提供する。寒くなってくると、黒毛和牛のもつ鍋(1人前¥1,145・注文は2人から)が人気。ほかにも明太子とキュウリを巻いた博多のだしまき(¥780)や博多明太子のくんせい(¥580)など、焼酎に合う博多ならではの料理も充実している。平日は翌朝5:00まで、日祝は深夜3:00営業しているので、食事の後にバーとして利用するのもいい。1人でもグループでも心地よく過ごせる店だ。

[address] 福岡市博多区店屋町2-20[ map ]
[phone] 092-291-7171
[business hour] 17:00〜翌5:00、日・祝〜翌3:00
[off] 無休

焼酎アドバイザーがセレクトした焼酎が520種類そろう
福岡市・白金

焼酎バー 土竜

住宅街の奥まった場所に立つ一軒家。元々、唐津焼のギャラリーだったが、建物にほれこんだオーナーの大隈さんが譲り受け、7年前に焼酎バーとして開店した。まさに昔の民家そのままの造りだが、レトロな小物や歌謡曲のシングル盤が飾られ、独特なムードを醸し出している。そして何よりも目を引くのが、ずらりと並んだ焼酎の一升瓶。現在、この店で飲める焼酎は、約520種類。すべて、SSI認定焼酎アドバイザーの資格をもつ大隈さんが、自ら蔵元や酒販店に足を運んで選んだ逸品だ。料理も、焼酎に合うものを大隈さん自らが用意。「イモ、麦、米と焼酎の種類によって、合う料理があります。たとえば、イモはチーズや味がしっかりした豚肉が合うんです」そこで生まれたメニューが豚トロピザ(¥780)。ほかにも、独自にブレンドした味噌が自慢のピリ辛の丸腸もつ鍋(1人前¥980・注文は2人前から)などフードメニューはバラエティ豊か。大隈さんは英語が話せるので、外国人も安心して利用できる。

[address] 福岡市中央区白金1-11-25[ map ]
[phone] 092-526-5791
[business hour] 19:00〜翌2:00、金土〜翌3:00
[off] 不定

800本の本格「薩摩焼酎」がそろうショップ
福岡市・渡辺通

薩摩焼酎蔵 匠

「薩摩焼酎蔵 匠」は、10月にオープンした「薩摩焼酎」を扱うショップ。「薩摩焼酎」とは、鹿児島産のサツマイモと水を使用し、鹿児島県内で製造された本格焼酎のみに許されるブランドだ。店内には、約800種の焼酎が並び、カラフルなラベルを競っている。外国人や焼酎ビギナーにとってありがたいのが、試飲コーナー。日によって異なるが10種類以上のテイスティングが可能だ。瀧川店長と会話を交わしながらの試飲が、また楽しい。焼酎の味や製法の特長を教えてくれるので商品選びに役立てよう。1升瓶や5合瓶のほかに、ミニボトルやワンカップスタイルの焼酎も販売。ちょっとしたおみやげに重宝しそうだ。店外のショーウィンドウとレジの下に飾られているのは、2升半瓶。升(ます)が2つで「ますます」、さらに升(しょう)の半分で「繁盛(はんじょう)」を意味し、鹿児島では縁起物としてお祝いの際に贈るそうだ。焼酎のほかにも黒ジョカ(¥8,400)なども販売。焼酎を通して鹿児島の文化に触れることができるショップなのだ。鹿児島の酒造会社と共同で試飲会なども店舗で開催する。イベントやお得なセット商品の情報は、ホームページでチェックしよう。

[address] 福岡市中央区渡辺通1-11-11[ map ]
[phone] 092-720-1991
[business hour] 10:00〜21:00
[off] 無休

[web]www.shochu-takumi.jp

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Text by Nick Martindale

Originally published in Fukuoka Now magazine (fn144, Dec. 2010)

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Fukuoka City
Published: Dec 1, 2010 / Last Updated: Jun 13, 2017

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