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福岡に春が来たことを告げる魚

岡に春が近いことを告げる風物詩に、太宰府の飛び梅、那珂川や大濠公園に飛来するユリカモメなどがありますが、もう一つが「白魚(シロウオ)」です。西区愛宕浜と早良区百道浜の境界から博多湾に注ぐ川・室見川の河口付近に、毎年2月から4月初めにかけて博多湾から産卵のためにのぼってきます。それを「梁(やな)」と呼ばれる柵で囲い込んで漁をするシロウオ漁が早春の風物詩となっているのです。

体長は5センチほどの透明なハゼ科の小魚で目だけが黒い。姿に似て味も淡泊です。有名な食べ方は「シロウオの踊り喰い」。白く大きな深みのある皿に数十匹のシロウオを泳がせ、それを網ですくって酢じょうゆで噛まずにすすりこむという食べ方です。口の中で踊っているような感覚になるので、その名が付けられたようです。生きたまま食べるなんて残酷だと思われるかもしれませんが、この食べ方も春の訪れを告げるものだと考えてください。ほかにも、吸い物や卵とじ、かき揚げにしていただきます。

2月中旬くらいからは室見川の河口付近にある料理屋さんで食べさせてくれますし、この時期には河畔に臨時のプレハブ小屋が建てられて食べられるようになっています。

室見川は福岡市民の憩いの場として河畔公園が作られ、ジョギングや散歩ができるように整備されています。河口付近には干潟があるため、春になると潮干狩りをする人々も集まってきます。街の中を流れる川なのに、シロウオ漁、潮干狩り、そして毎年100種類を超える野鳥が集まってくる室見川。福岡市の宝だと思います。年々、シロウオもアサリ貝も野鳥の飛来も少なくなっているようですが、大切に守り続けていきたい自然環境です。

Originally published in Fukuoka Now magazine (fn110, Feb. 2007)

 

Category
Art & Culture
Fukuoka City
Published: Feb 1, 2008 / Last Updated: Jun 13, 2017

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