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生意気な子どもが世界を救う!

もし環境を元に戻せないのなら、壊すのをやめましょう。」1992年リオで開催された地球サミットでセヴァンは世界のリーダーを目の前にしてスピーチした。当時彼女は12才。

公立中学校2年生向けの英語の教科書に、セヴァン・カリス・スズキは「世界を5分間黙らせた少女」として紹介されている。彼女は大胆にも地球上の全ての大人たちに脅威を与えたのだ。彼女についてはGoogleでチェックしてみるといい。

ここ日本では、教科書に掲載される人々は“正しい”人たちばかり。セヴァンは掲載されるに十分な理由を備えて、子ども達にふさわしい現代のヒロインのひとりに選ばれた。9才の時には子ども環境機構を立ち上げ、12才の時にはバイラル動画でスピーチを発信し世界中を驚かせた。彼女は強く、賑やかで、信念が強く、思いを伝えることに長け、賢く雄弁で、カリスマ性のある自信にあふれた、そして、いつでも物静かになれる女の子だった。そう、まさに彼女は自分の子どもにも見習ってほしいような「やり手」だ。少なくとも教育委員会はそう思っているから、彼女は教科書の中にいる。

しかし、このドォーデショを書くにあたって、2つほど気になる点があったのも事実だ。まず、モデルであるセヴァンがカナダ人であるということ。確かに彼女は民族学的には日本人だが…。掲載先が英語の教科書である理由も尋ねたい。日本人のティーンエイジャーのロールモデルだっているはずだけど、なぜ彼らは教科書に載っていないのだろうか?私は自分の子どもには日本人であることを誇りに思ってほしいと思っている。子ども達は賢いから、私たち大人が何を言っているのか、ちゃんと理解している。それなのに子どもに大人の世界に向かって説教することを望むべきなのだろうか?

2つ目のポイントは、92年のメッセージが大人たちに直接投げかけられたということ。だから私はそれを改めて戒めたいと思う。

ご存知のように、中学生は雨の日も晴れの日も徒歩か自転車で学校に通っている。彼らはガソリン一滴すら使わない。制服を着て化粧もしないし、髪型もシンプル。主に紙と鉛筆を使った生活をしており、パソコンや電気装置などとは無縁だ。木と金属で出来た簡単な机とイスに座っているし、全てのゴミをリサイクルしている。掃除だって箒やぞうきん、それに水、新聞と少々の洗剤があれば充分。彼らはスプリンクラーや肥料を必要としない砂場で遊び、屋根にはソーラーパネルが備え付けられている。最近は一部シーリングファンを使用するところもあるようだが、暑くて湿気の多い夏場もクーラーはない。団扇でさえ禁じられている。冬場は防寒着や、クラスメイトと暖をとって寒さを耐えるのだ。セントラルヒーティングもお湯も紙タオルもない環境だ。給食は主に米と野菜。レバーはランチメニューとしては一般的だ。お茶や水には魔法瓶を使っている。学校ではファストフードやペットボトルは良しとされないのだ。再利用できる容器に取り分けられ、ナプキンも紙皿も使わない。

私は何も学校の制度について批判しているわけではない。少なくとも我が家の子ども達は責任あるライフスタイルをすごすよう立派に教えられている。実際に、福岡の中学生達はいつか起こりうる災害から世界を救ってくれる環境保護の救世主だろう。尊い地球を救う日々の努力において、子ども達は、全ての大人から尊敬や感謝、協力的なサポートを受ける権利があるはず。

エアコンを気軽に使い、歩ける距離なのにバスや電車、タクシーを使ったり、エンジンをつけたままマクドナルドのドライブスルーに列をなしたり…。大切な天使たちのために、もう一度改めて考えてみないかい?どうやったら私たちの子孫を暗い現実から救うことができるのかを。結局子ども達をヒーローやヒロインにするのは私たち大人ってことだよね、ドォーデショ?


マット・シンプソン/アメリカ合衆国/イケテル大人&教師

Originally published in Fukuoka Now Magazine (fn169, Jan. 2013)

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Published: Dec 20, 2012 / Last Updated: Jun 13, 2017

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