福岡の中心部から、ウエストコースト(West Coast)へ。
玄界灘に面した西浦から二見ヶ浦一帯は、昔ながらの漁港や集落の風景に、カフェやレストラン、クラフトやデザインのショップが加わり、海辺の暮らしと新しいカルチャーがゆるやかに混ざり合っています。
アクセスは、博多・天神から乗り換えなしで向かえる昭和バス「ウエストコーストライナー」のほか、地下鉄・JR筑肥線で九大学研都市駅へ行き、路線バス「西の浦線」に乗り継ぐ方法も。車がなくても、西浦から二見ヶ浦まで海岸沿いを巡ることができます。
今回は、漁村を歩き、船で玄界灘へ出て、地元の魚を味わい、ものづくりに触れる1日目。夕日は二見ヶ浦で眺め、そのまま海辺に宿泊します。翌朝は、自転車で海岸線と櫻井神社へ。福岡の西の海辺を、昼から夜、そして朝まで過ごす1泊2日です。
バスに乗って、街から海へ
今回は天神から「ウエストコーストライナー」で西浦へ向かいます。
天神から西浦までは約1時間。市街地を抜け、住宅地や畑、山の景色を眺めながら進むと、やがて車窓に玄界灘が現れます。
最初の目的地は西浦。漁港を中心に住宅や小さな店が集まり、昔からの暮らしの中に、新しい店や活動が少しずつ加わっているエリアです。
漁師の船で、玄界灘をめぐる
西浦漁港から出る「島めぐり遊覧船 曜丸」は、この海をよく知る漁師・柴田幸宏さんが案内する約1時間のクルーズです。玄界灘に浮かぶ島々や海岸線を巡り、陸からは見えにくい柱島にも近づきます。

船を走らせれば、二見ヶ浦のシンボルである夫婦岩と白い鳥居も海側から。気さくな船長から海や島の話を聞きながら進むと、陸から眺めていた「糸島の海」が少し立体的に見えてきます。

岬の向こうへ続く海岸線、沖に浮かぶ島、その背後に連なる山。それぞれが近い距離で重なっていることも、船の上からだとよく分かります。
運航時間は事前相談ができ、季節や条件が合えば、海の上から夕日を眺めるプランも相談可能。 昼とは違う玄界灘の表情を楽しめるのも、このクルーズの魅力です。
漁港を眺めながら、今日の魚を食べる
船から降りたら、すぐ近くの「かずら」でランチ。
西浦漁港近くの古い倉庫を生かした、地元でも評判の食堂です。この辺りで生まれ育った店主が、その日に「うまい」と思う魚を選び、焼く、煮る、揚げるといったシンプルな料理で味わわせてくれます。

大きな窓の向こうは海。ごはんは羽釜炊きで、魚、ごはん、味噌汁という飾らない組み合わせが、素直においしい。西浦らしいランチです。

漁師町を歩く、クラフトとデザインの時間
昔ながらの漁師町の風景に、新しい店やつくり手が少しずつ加わっている西浦。午後は散策しながら「MATERIAL MARKET」へ。
ここは、工場やものづくりの現場で生まれる端材や廃材を、次のものづくりにつながる「素材」として集める店。家具やカトラリーづくりで出た木の端材、紙、陶磁器の窯道具など、少し変わった素材が並びます。
営業は基本的に土曜日。タイミングが合えば、家具づくりにも携わる店主に教わりながら、廃材を使った木製トレイづくりのワークショップも体験できます(予約時には土曜以外も相談可能)。素材を選び、手を動かし、話を聞きながら一つの形にしていく。完成したトレイだけでなく、つくり手との会話や交流も、このワークショップの楽しさです。

近くを歩けば、西浦漁港の漁師小屋をリノベーションした「HEY&Ho.」があり、波佐見焼や雑貨、人気のオリジナルデザインが並びます。

そのほかにも、干し魚の店や食堂、漁師の妻が営むバーガーショップなど、小さくて個性的な店がちらほら。営業日や時間が限られる店も多いので、目的地を決めすぎず、気になる店をのぞき、人と話しながら歩く。そんな偶然の出会いも、この町を歩く楽しさです。

西浦から、夕暮れの二見ヶ浦へ
西浦をぶらりと散策したら、夕方はバスで二見ヶ浦へ向かいます。
この日の宿は「seven x seven 糸島」。二見ヶ浦のサーフスポットを目の前にしたホテルで、客室に滞在するだけでなく、海辺で過ごす時間そのものを楽しめます。

チェックインしたら荷物を置いて再び海へ!ここからは、一日の終わりを二見ヶ浦の夕日に合わせて過ごします。
一日の終わりを、夕日に合わせる
昼間、船の上から眺めた夫婦岩と白い鳥居。夕方は、その景色を今度はビーチから眺めます。
玄界灘に浮かぶ夫婦岩と、その手前に立つ白い鳥居は、二見ヶ浦を象徴するだけでなく、福岡を代表する海辺の風景のひとつです。夕暮れどきには、空と海が少しずつ色を変え、その向こうへ太陽が沈んでいきます。
砂浜を歩いたり、海を眺めたりしながら、一日の終わりを夕日に合わせて過ごす。ここでは、時計よりも空の色が時間を教えてくれます。そして、その景色を見たあとに街へ戻るのではなく、海の目の前に泊まれるのが今回の旅の贅沢です。
夕食は、二見ヶ浦の海辺のカルチャーを長く育ててきた「Beach Cafe SUNSET」へ。1990年のオープン以来、サーフカルチャーとともにこの海岸の魅力を発信してきた存在で、今では二見ヶ浦を象徴する一軒です。料理には地元の食材も大切に使われ、海を望むテラス席も人気。食事をしながら、二見ヶ浦らしい海辺の時間を楽しめます。

朝の海岸線を、自転車で
泊まるからこそ楽しみたいのが、二見ヶ浦の朝です。

海を眺めながらホテルで朝食をとったら、ホテルのレンタサイクルで海岸線へ。夕暮れとは違う澄んだ朝の空気の中、玄界灘を望む美しい道を走ります。

目的地は、二見ヶ浦の白い鳥居にもゆかりのある櫻井神社。途中は、海沿いに立つ白い鳥居やビーチを眺めながら走り、少し内陸へ入ると、木々に囲まれた静かな境内にたどり着きます。
サイクリングを終えたら、この旅の締めは「鮨・和食 空 -ku-」でランチ。宮浦漁港を望む店で、旬の魚や糸島の野菜を使った鮨を味わえます。人気は、前菜から鮨10〜12貫ほどを楽しむランチコース。

海辺のカルチャーを牽引してきたSUNSETの姉妹店でもあり、海を眺めながら職人の鮨を楽しめる一軒です。

今や国内外の多くの人を惹きつける糸島半島。けれど、夕日を見送り、朝の海岸線を走り、昼まで滞在してみると、日帰りでは見えなかった風景や時間の流れが現れます。泊まるからこそわかる、福岡ウエストコーストの魅力があります。
ウエストコーストライナー|昭和バス
整理券を取らずにそのまま乗車し、クレジットカードのタッチ決済や現金、交通系ICカードで降りるときに支払う。
- 区間:博多・天神〜西浦・二見ヶ浦・伊都営業所方面
- 主な乗場:博多バスターミナル32番、天神4丁目、天神3丁目
- 天神から西浦まで:約1時間
- 片道¥1,150(2026年秋から¥1,400予定)
- 時刻表・公式情報
島めぐり遊覧船 曜丸(ひかりまる)
- 西浦漁港 発(福岡市西区西浦字サガリ1078-26)
- 所要時間:約1時間(4月〜12月)
- 料金(現金):高校生以上¥3,000、中学生¥2,000、小学生¥1,500、幼児¥500
- Tel.:080-2723-8213
- 公式Instagram *運航時間催行条件はInstagramのDMや電話で要事前確認
かずら
- 福岡市西区西浦字サガリ1078-26
- Tel.:092-809-1213
- 定休:月曜
- 公式Instagram
MATERIAL MARKET
- 福岡市西区西浦1078-41
- 営業:土曜10:00〜16:00
- 公式webサイト / 公式Instagram
- クラフト体験「木片から木のトレイを作ろう」¥3,000/1名(約1時間)
- 体験は要予約
HEY&Ho.
- 福岡市西区西浦1235 西浦漁港内
- 11:00〜18:00
- 公式Instagram
seven x seven 糸島
- 福岡市西区西浦266
- チェックイン15:00/チェックアウト11:00
- 自転車レンタル:ホテル予約時に要予約(電動アシスト自転車・クロスバイク)
- 10:00〜15:30、当日受付
- 公式webサイト
Beach Cafe SUNSET
- 福岡市西区西浦284
- 営業:11:00〜21:00(L.O.20:00)
- 定休:木曜、第3水曜日
- 公式webサイト / 公式Instagram
櫻井神社
鮨・和食 空 -ku-
- 福岡市西区宮浦1147-3
- 営業:11:00〜16:00(L.O.15:00)、金土日祝:11:00〜21:00(L.O.20:00)
- 定休:木曜、第3水曜
- Tel:092-805-9007
- 公式webサイト