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世界の捕鯨に賛否両論


本州の南端に位置する下関は、1185年の壇ノ浦の戦いや1612年の武蔵と小次郎の源流島の決闘で歴史的に有名な場所である。1970年には釜山との海路も開通し、国際的にも開かれた港として知られているが、日本最大の捕鯨船基地という顔もある。国際捕鯨取締条約が発効した1946年から日本は、同じく捕鯨国であるノルウェー、アイスランドと共に、国際社会と敵対してきた。現在のところ科学的調査を目的とする調査捕鯨のみ行なっていることになっているが、実際にはその鯨肉は南風泊市場に並ぶことになる。下関から出航する捕鯨船は毎年400から450の鯨を捕らえているが、この1年に限っていえばその数は684頭にもおよび、その内39頭は絶滅の危機に瀕しているイワシクジラであった。

イルカや小さな鯨に関しては、年間20,000頭もが犠牲になっている。しかしここにきて奇妙な現象が起こっている。鯨肉の国内消費量が大幅に減少しているのだ。統計によると時々鯨肉を食べるという人はたったの4%で、9%がめったに食べないと答えている。つまり残りの人たちはまったく鯨肉を食べないということだ。グリーンピースのリチャード・ペイジは言う。「これは政府官僚の捕鯨を使った自己アピールにすぎない」と。これに反して水産庁遠洋課長は「昨年末から調査の副産物(つまり鯨肉)が売れなくなってきている。鯨肉食の伝統を失ってはならない。拡販の手立てを考えているところだ」と話す。しかし、2001年に160万ドルの赤字となった捕鯨プログラムの価値は疑わしく、天下りのポストを作るための策に過ぎないという指摘さえある。
2000年には現在の長崎県で弥生時代から捕鯨が行なわれていた痕跡が発見されたが、そのような「伝統」が、絶滅の危機に瀕した種に対する捕鯨を正当化する理由になるとは思えない。日本はまるで何頭の鯨を殺せるか試すために捕鯨を行なっているようでさえあり、これではまったく本末転倒ではないか。しかし、こうしている間も「科学的調査目的」のために、捕鯨船は下関から出航していくのだ。みなさんドォデショ。

毎回シリーズでお届けする「ドォデショ?」。あなたも日頃の疑問や不満、提案なんぞを思うがまま、筆の動くがままに書き綴ってみてはいかがでしょう。。

Originally published in Fukuoka Now magazine (fn 78, Jun. 2005)

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Fukuoka City
Published: Jun 1, 2005 / Last Updated: Aug 1, 2019

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