Food & Drink

中世博多うどん 春月庵

多の名物麺料理は、ラーメンだけではない。博多うどんもトンコツラーメンに匹敵する名物として、市民の間では親しまれている。実は、日本を代表する麺料理であるうどん、そばの発祥地は、ここ博多だと伝えられている。博多区の承天寺に足を運べば、「饂飩蕎麦発祥之地」という文が入った石碑を見ることができる。
承天寺のそばで、昼食時に行列をなしているうどん店が「春月庵」だ。11:00~14:00のランチタイム以外は、うどんを何玉注文しても値段が同じ(ランチタイムは3玉まで)という、一種の食べ放題システムで話題となったが、その裏には、店を経営する麺工場、平和フーズの意地があった。
1890年(明治23年)創業という麺工場の老舗だが、近年は、3玉¥100といった安価なうどん麺に押され、工場の主力商品の座は餃子の皮などに奪われつつあった。そんな状況を払拭するために立ち上がったプロジェクトが「中世博多うどん」。承天寺の聖一国師が中国から博多に持ち帰った13世紀当時のうどんを再興しようという取組みだ。とは言え、単純に再現しても現代の人の口に合わなければ意味がない。そこで、中世のうどんの粉を再現しつつ、現代的なうまさも併せ持ったうどん麺を開発することとなる。
「春月庵」は、試行錯誤の末に出来上がったうどん麺を、手軽に食べられるようにと作られた店だ。茶色みを帯びた麺は小麦胚芽とふすまを含み、噛むほどに小麦の香りが口の中に広がっていく。柔らかい麺が特長のいわゆる「博多うどん」とは異なり、程よい柔らかさのなかにしっかりとしたコシがあり、食べごたえ十分。麺本来の味を味わうなら、シンプルなかけうどん(¥450)か、ざるうどん(¥550)がおすすめだ。
だが、いくらおいしくともお値打ち感がなければ見向きもされないのが、デフレ日本の現状。「うちは麺工場なんだからケチケチするな」という土屋会長のひと声で、食べ放題のシステムが実現する。これにより、スーパーで売っている3玉¥100のうどんでは味わえない、うどん本来のうまさを財布の中身を気にせず満喫できるようになった。このシステムはサラリーマンを中心に爆発的な人気を集める。なかには12玉のうどんをたいらげた人もいるそうだ。混み合うランチタイム以外なら、一旦何玉か食べた後に追加で注文するというラーメンの替え玉スタイルでも提供。もちろん追加分は無料だ。
麺と組み合わせるトッピングも10種と充実しており、丸天やごぼ天、明太といった、博多ならではの具材がそろう。山芋と明太をのせたぶっかけ(¥900)は、クリーミーな口当たりにピリリと辛みが効いた逸品だ。
うどんの値段に¥100プラスで、そばも食べられる。こちらもうどんに負けず、腕によりをかけたものだ。粗挽きのそば粉にそばの実の殻を混ぜ、香りを強めている。麺は細めで喉ごしがいい。茹で時間は、天候を見ながら5秒単位で調整し、最適の状態で客の前に運んでいる。こちらも、うどん同様ランチタイム以外は食べ放題OKだ(ランチタイムは同じく3玉まで)。
店の周辺には、承天寺のほかにも、日本最古の禅寺である聖福寺や福岡大仏で有名な東長寺などの名刹が残っている。うどんやそばで腹ごしらえした後は、歴史の香り漂う街並を散策してみよう。

メニュー
きつねうどん¥450
丸天うどん¥550
ごぼ天うどん¥600
肉うどん¥700
ざるうどん¥550
おろしぶっかけ¥700
※そばはすべて¥100増し

中世博多うどん 春月庵
Address: 福岡市博多区博多駅前1-7-1
Tel: 092-473-2911


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営業時間:11:00〜16:00、土曜〜15:30
定休日:日曜、祝日

Originally published in Fukuoka Now magazine (fn150 Jun. 2011)

Category
Noodles
Fukuoka City
Hakata
Published: Jun 1, 2011 / Last Updated: Sep 15, 2016

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