魚だってオーガニック!糸島に伝わる漁法

然の恩恵を受けて営む農業や漁業は、私たちの食卓にも直結している大切な産業。野菜や果実だけでなく、魚も「生態系」に配慮し、「健康的」で、自然との「共生」に努めて地産地消する、オーガニックな取り組みが行われています。

魚だって限りある資源。輸入や養殖に頼り過ぎることなく、地元の海で生態系に配慮した漁法で獲れる魚を選ぶことが、海の健康と地域の文化を守るために私たちができる第一歩です。

The beautiful blue sea of Itoshima 糸島の美しい蒼い海

糸島で水揚げされる身近な海産物

<春>
天然マダイ / わかめ / 真牡蠣 / コウイカ / アオリイカ / カレイ / ヒラメ / ハマグリ / サワラ

<夏>
岩牡蠣/ カワハギ / マダコ / アジ / キス / スズキ

<秋>
ヤズ(ブリの若魚)/ カレイ / ヒラメ / カワハギ / アジ / キス / 天然マダイ / うちわ海老 / サワラ / ウニ / スズキ / 真牡蠣

<冬>
天然マダイ / ブリ / わかめ / 真牡蠣 / サワラ / サバ / ハマグリ

糸島の主な漁法

糸島の加布里で採れる、全国でも珍しい日本固有種の天然ハマグリ
加布里干潟は古くから貝類の好漁場として知られています。しかし、ハマグリは一時期は乱獲で激減しました。そこで立ち上がったのは、糸島漁協の漁師たち。清掃活動や水質改善などの努力で回復に成功した後も、漁獲時期(11月から3月末)や漁獲サイズを定める「資源管理型漁業」を取り入れ、環境保全を行っています。

Itoshima fishermen out fishing for clams in Kafuri 加布里干潟のハマグリ漁へ繰り出す漁師たち

糸島の春を告げるコウイカ漁はオーガニックなイカ籠漁
糸島のコウイカは、釣りや網で獲るのではなく、海底の海藻などに卵を産み付けるコウイカの習性を利用して、籠に入ったイカは捕獲し、産みつけられた卵は海に戻す伝統漁法が用いられています。毎年2月10日に解禁をむかえる糸島のコウイカ漁で用いられる「イカ籠」は、イヌツゲという樹木の枝を外側に取り付けて、漁場に沈められます。産卵したイカは籠にはまって捕獲され、卵が産み付けられたイヌツゲは、漁期が終わると籠から外して海に戻し、孵化して成長することが期待されます。

カキ養殖
糸島の冬の風物詩「カキ小屋」で人気の糸島の牡蠣。その歴史は1990年頃からスタートしたカキ養殖がはじまりです。減少傾向にある水産の漁獲量の中でも、糸島の牡蠣は、生産量・生産額ともに上昇傾向にある希少な存在です。しかも、その生産の大半は、自ら経営するカキ小屋などでの自家販売。まさに海産物のFarm to Tableの代表格です。
海の近くに山がある糸島の地形は、森の恩恵を受けてミネラル豊富な海水にも恵まれ、カキ養殖に適した土地柄です。毎年1〜2月頃、海上に設置した養殖イカダに牡蠣の稚貝がついたホタテの貝殻を吊るします。そこから10カ月年ほど、海中のプランクトンを食べて成長した牡蠣は秋頃から収穫し、漁港に期間限定でオープンするかき小屋を中心に提供されます。

吾智網漁(ごちあみりょう)
糸島の漁業は、魚群を網で囲んで漁船に引き寄せてそれを捕獲する船曳網、中でも、袋状の網でとる「吾智網漁」による水揚量が上位を占めています。
糸島が日本一の漁獲量を誇る天然真鯛は、2隻の漁船が海中に網を張って並走して行なう「二双吾智網(にそうごちあみ)漁」と、1隻の漁船で行う「一双吾智網(いっそうごちあみ)漁」で行われます。好漁場としての1000年以上の歴史をもつ糸島で伝統的に行われてきた吾智網漁ですが、潮の流れをよみ、船上からは見えない真鯛の群れを見つけて網を下ろすのは、長年の経験と運だとか。生態系を守るため、糸島では1月1日〜4月末は吾智網漁が禁止されます。

知ってる?
魚釣りや潮干狩りなど、魚介類や海藻などの水産動植物の採捕は自由にできると思われがちですが、法律等によって様々な制限があります。例えば、各府県知事の許可が必要な場所(レジャー禁漁の看板をみる場所)や、使用できる漁具や漁法、そもそも採捕してはいけない禁止区域や期間、魚種ごとの大きさの制限、夜間の照明利用の制限など、一般人はもとより、漁師にも細かな定めがあります。

Release of fry at Keya Beach in Itoshima / JF糸島が芥屋ビーチで幼児と一緒に稚魚放流

自然を生きる生命を捕まえてそのままいただく、という極めて本質的な「オーガニック」は、今の私たちにとって日常的な食材では魚介類でしか味わえない時代です。だからこそ、環境の豊かさを形成する要素「地魚」は、これからの糸島のキーワード。

The fun part of the Uotabi is eating and socializingうお旅の楽しみは食事と交流

糸島には、おいしい”地魚”を食べること、料理すること、そして、その地魚がどこで、どのように捕獲されているのかを知ることができるツアーを行うなど、糸島の地魚のサステナビリティを目指して活動する「地魚BANK」というプロジェクトがあります。
食を通して人と人が繋がり、地域に配慮した行動をとる、糸島が注目される理由は、このような人が集まるコミュニティの存在かもしれません。

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ツアーレポート:糸島の漁村文化を体験する「うお旅」vol. 1
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Special Lunch of Uotabi with a Great View of Itoshima 糸島の絶景とうお旅の特別ランチ

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Published: Jan 31, 2022 / Last Updated: Jan 31, 2022

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