国内史上最大、アジア映画のビッグウェーブが福岡に押し寄せる!


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前代未聞のアジア映画マンスが福岡を襲撃!

 ハリウッド大作が目白押だった夏が終わり一段落。ここで少し趣向を変えて芸術の秋らしく過ごしてみようと、今月はイマ話題のアジア映画に注目。今年の日本は空前の「韓流」が吹き荒れ、カンヌ映画祭ではパルムドールを獲得した「華氏911」と監督賞以外はアジア勢が総ナメにし、中国のチャン・イーモウ監督作「Lovers」が大ヒットするなど、話題に事欠くことがなかったアジア映画界。そんな中、福岡では毎年恒例のアジアフォーカス福岡映画祭と第49回アジア太平洋映画祭が開催されるなど、9月以降の一般公開作品と合わせると50タイトル以上のアジア映画が福岡に押し寄せることに。これは国内史上最多の規模! そうなっちゃ世界と福岡の愛の架け橋ナウも黙っちゃいられない! というわけで、総力を挙げてアジア映画のNOWを徹底リサーチを敢行!その成果やいかに!?

<コラム>ハリウッドで活躍するアジア人01
この人をおいてアジアのアクション映画が語れるかっ!
ジャッキー・チェン(香港) 俳優
 ご存知、体当たりのアクションオバカなギャグで多くのファンを魅了する香港きっての国際スタージャッキー・チェン。今年は生誕50周年にして公開作品50本目の記念作品と銘打たれた「メダリオン」が公開。最新作は「80デイズ」。11月6日(土)公開

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魅力的な人材の宝庫!
アジア映画界から世界へ
Text by: デューク・松本

 アジアから世界へ強烈な個性を発してる監督や俳優は多い。その全ては紹介できないが、現在、最も注目されるアジア映画人を紹介しよう。

トニー・ジャー(タイ)/俳優
古式ムエイタイを武器に全く新しいアクションを披露するアクション男優 トニー・ジャー。主演作「マッハ!」ではジャッキー・チェンの出現を彷彿とさせる鮮烈なデビューを飾った。スタントマン時代にすでにハリウッド映画には出演してるが、先日の来福会見では「まずタイ映画で地盤固めをするのが先決。その後の事(ハリウッドデビュー)はその時に考える」と謙虚な発言。
 
ウォン・カーウァイ(香港)/監督
香港映画界きっての巨匠 ウォン・カーウァイ 監督。トニー・レオンとマギー・チャンが共演した情事劇「花様年華」でその存在を確固たる物にした。脚本を渡さず場当たり的に物語を決める独自のスタイルに、アジア各国から名優が出演を申し入れるという。
 
キム・キドク(韓国)/監督
韓国の(キタノ)タケシの異名を持つ キム・キドク監督。センセーショナルな作品を連発し、ヴェネチア映画祭で正式招待された「魚と寝た女」は上映中に失神者を出す程の衝撃作だった。新作「春夏秋冬、そして春」は作風を変え各国の映画祭で絶賛される。

<コラム>ハリウッドで活躍するアジア人02
最もホットな視線を集めるアジアの女優
チャン・ツィイー(中国)女優
 チャン・イーモウ監督に抜擢されデビューしたチャン・ツィー。アン・ リー監督の大ヒット作「グリーン・デスティニー」(’00)に出演するやハリウッドのオファーが殺到。チャン・イーモウ監督の歴史アクション 「LOVERS」や「2046」で美貌が拝める。

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世界最大の映画大国インド
ボリウッド映画は本当に衰退したの?

 日本でも90年代中盤に「ムトゥ踊るマハラジャ」が大ヒット。空前のブームを巻き起こしたが、昨年から一本もボリウッド映画は公開されてないのが福岡の現状..。そこで各国のボリウッド事情を調べてみたところ、旋風は衰えるどころか、逆に盛り上がっていたのだ!ボリウッド映画の最大の国際マーケットは世界中に暮らしているインド系移民だが、周辺のアラブ圏やアフリカ、東南アジアでもとても人気。映画は辛い現実から逃避させてくれる娯楽の象徴として、イスラム圏の人たちも楽しめるというワケ。また、欧米では米タイム誌がボリウッド映画特集を組むなど、ボリウッド音楽とあわせ再び脚光を浴び、もはやその注目度は洋の東西を超えている。推定鑑賞人口36億人。これでこそ東洋のハリウッド!

《コラム02》
ボリウッドの流れをつかむ!
注目の女優はアイシュワリアー・ラーイ。1994年のミス・ワールドに輝き、女優業に転身。圧倒的な美貌を武器に数々の映画に出演。「ミモラ/心のままに」(’99)の大ヒットでトップ女優の地位を不動のものとした。続いて、いまインドで最もホットな映画「殺人」。サイコサスペンスを連想させるが、注目は主演女優マリカ・シェラワートのセクシーショット。保守的なお国柄なだけにその美しい肉体美に多くのインド男性が虜になった。エロティック路線がボリウッド映画のニューウェーブとなるのか!

<コラム>ハリウッドで活躍するアジア人03
作風にアジアの血を感じないか!?
M・ナイト・シャマラン(インド)監督
「シックスセンス」(’99)で世界を驚愕させたシャマランはインドのポンディチェリー出身のインド人。映画教育はアメリカで受け、アメリカ映画にしか携わってないので厳密にはアジア映画監督とは言えないが、その作風は独特。待望の最新作「ヴィレッジ」(主演:ホアキン・フェニックス)は9月11日公開。

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いつもアジアはそこにある!
福岡でアジア映画!

 続いて注目は福岡のアジア映画事情。人口に対しての映画館の席数の比率が全国で1, 2を争う劇場激戦区。そんななかでもアジア映画の上映される機会は多い。毎年開催されるアジアフォーカスをはじめ、民間ボランティアで運営されている「福岡アジア映画祭」(毎年7月開催)など一般上映以外でのアプローチも盛んだ。昨年設立された福岡フィルムコミッションの動きも活発になり、ますます元気なアジア映画の街・福岡。そんな福岡でアジア映画を楽しめるスポットを紹介しよう。

<福岡のミニシアター>
珠玉のアジア映画を見るならやっぱりミニシアター。設備や規模などはシネコンにかなわないが、文化・芸術としての映画を1作1作を丁寧に観客に届けてくれる。九州一のミニシアター館数がある福岡は遠方から映画を見にやってくる映画ファンも多い。

■KBCシネマ1・2(福岡市中央区那の津1-3-21 Tel: 092-751-4268)
■シネテリエ天神(福岡市中央区天神3-6-18 B1F Tel: 092-781-5508)
■シネ・リーブル博多駅1・2(福岡市博多区博多駅中央街2-1 Tel: 092-434-3691)
■シネサロン・パヴェリア(福岡市早良区百道浜2-3-2TNC 放送会館パヴェリア2F Tel: 092-852-5650)

<福岡市総合図書館>
日本はもちろん、アジア各国の名作を810タイトル(2004年3月末現在/うちアジア映画は360タイトル)を収蔵してる福岡市総合図書館。中には映像ホールシネラ(有料)があり、それらを鑑賞することができる。毎月、テーマ別に関連作品が上映され、芸術、文化の保存に一躍かっている。

■ 福岡市総合図書館(福岡市早良区百道浜3-7-1 Tel: 092-852-0600)

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福岡きってのアジア映画通、シネ・リーブル博多駅広報担当の白石さんが語る注目のアジア映画事情!

白石ミキさん(シネ・リーブル博多駅広報担当)
当館で上映するアジア映画は大規模に宣伝することはできないけれど、いい映画をみなさんにお届けしたい一心で奮闘しています。

韓流に続く、タイ映画の魅力!
 世は韓流ブームといわれていますが、これから来る映画はタイ映画。業界ではここ数年「来る来る」と言ってたけどなかなか来なくって。実際、話題になったのは「アタックナンバーハーフ」だけでした。そんな中今夏には「マッハ!」が公開され、にわかに注目を集めています。タイ映画はアクション映画が多く、起承転結がはっきりしていて、笑って泣けてっていう娯楽作品が多いんです。これからの注目は「ぼくの恋人」。監督がドラえもん好きだったこともあり、登場人物の設定やストーリーなど、そこかしこにその影響を見て取ることができます。子ども世界のドラマで、テーマは「初恋」の泣かせ系。来年どこかの劇場で公開されるでしょう。お楽しみに!

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9月の福岡はアジア映画に染まる!

<< アジアフォーカス・福岡映画祭2004 >>
9月10日(金)~9月20日(月・祝)※一般上映は11日より

 今年で14回目を迎えるアジアフォーカスはもはや日本に良質なアジア映画を届ける窓口として欠かせない存在になっている。ディレクターである映画評論家の佐藤忠男氏が毎年アジア各国を回り新しい才能を発掘し、今まで紹介された作品や監督が一般公開されブレイクする事もしばしばだ。監督や俳優の舞台挨拶なども要チェック!

<NOWの選りすぐり>
「ザ・リザード」(イラン)
脱獄囚が逃げるためにイスラムの僧侶に身分を偽り、デタラメな教えを説いていくうちに人気者になってしまうというコメディ。イランでは上映の差し止め処分がくだされ、再編集バージョンを公開。満を持しての本邦初公開!!

「ビッグ・ドリアン」(シンガポール)
監督が15歳の時にクアラルンプールで起きたひとりの兵士のライフル乱射事件の事は今や誰も語ろうとはしない。その事件の真相追求をきっかけに、マレーシアが抱える政治的病巣を証言をもとにえぐり出していく。

<< 第49回太平洋アジア映画祭 >>
9月21(火)~25日(金)
 世界を旅して11年ぶりに福岡に戻ってくる映画祭。参加加盟国および地域は、タイや韓国、ロシアなど広範囲。コンペディションがメインで、日本勢は97年の韓国・済州島大会で今村昌平監督の「うなぎ」が最優秀監督賞を、02年のソウル大会では篠原哲雄監督の「命」が最優秀作品賞を受賞した。華々しい授賞式やシンポジウムにも注目。

<NOWの選りすぐり>
「オールドボーイ」(韓国)
今年のカンヌ映画祭で韓国映画史上最高のグランプリを獲得した衝撃の復讐サスペンス。誘拐、15年の監禁、そして解放。復讐を誓うデスのもとに現れた謎の男。そこには想像を絶する恐るべき策略がめぐらされていた!日本の漫画が原作。本映画祭でも最優秀作品賞最有力。
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「隠し剣 鬼の爪」(日本)
「たそがれ清兵衛」でアカデミー賞外国語映画賞にノミネートされ、遅咲きながらアジアの巨匠の仲間入りを果たした山田洋次監督の最新作。「鬼の爪」という秘剣を伝授され、予期せぬ激烈な運命に巻き込まれていく下級武士の生き様と、奉公に来た娘との身分を超えた切なく優しい愛を描く。一般公開は一般公開10月30日。

<コラム>ハリウッドで活躍するアジア人04
清水 崇(日本)監督
 日本代表は監督2作目の「呪怨」(’99)でカルトファンを震え上がらせ、ジャパニーズ・ホラーの旗手に躍り出た清水崇監督。ハリウッド・リメイク版「JUON/呪怨」でも自らメガホンをとり、今秋全米される。

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見逃せない!今後公開の注目作

最後に今後、公開される注目のアジア映画をご紹介。

「2046」(香港)*10月公開予定
ソラリアシネマ、AMCキャナルシティ13、ユナイテッドシネマ福岡、他
日本ではキムタク出演で話題になってるウォン・カーウェイ監督待望の最新作は前作「花様年華」(2000)の続編的内容。「失われた愛」を求めて旅をする人間とアンドロイドの近未来小説を執筆するチャウ..。役者に即興で演技させる独特な緊張感は見所!

「春夏秋冬、そして春」(韓国)*12月公開予定
シネリーブル博多駅
韓国の鬼才キム・キドク監督が描く人生行路。少年の成長と親子の葛藤を四季になぞらえながら静かに描く。今年のゴールデングローブ賞外国語映画部門にノミネートされた作品だ。監督得意の「皮肉」がどこまで効いてるのか楽しみだ。

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