クロスカルチュアル・コミュニケーター


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Anieza Noor

福岡は全国的にも住みやすい街だという評判が高い。果たして、福岡在住の外国人にとってはどうだろうか?長年住んでいる私自身の観点からも、福岡は外国人にとってもとても住みやすい街だと思う。「レインボープラザ」や「こくさいひろば」といった“市”や“県”運営の機関が発達していて、外国語で情報を得られることはありがたいことだと思う。しかし、外国人ほど外国人が何を必要としているかを分かる人はいないかもしれない…。そういう思いからアニーザさんはNPO団体『Fukutomo Club』を創設。外国人と日本人のネットワークを通して福岡在住の外国人のための組織を運営している。マレーシアからの異文化コミュニケーター、博多弁まじりのアニーザさんの活動はというと…。
編集長/ニック・サーズ

Anieza Noor /アニーザ・ノール
マレーシア・ジョホールバル出身
1997年The Malaysian Look East Programの奨学生として九州大学経済学部に入学。その後同大学院へ進学。経済学の学士号および修士号を取得。2003年の1月にNPO団体『Fukutomo Club』を設立、理事長を務める。『Fukutomo Club』は現在200人以上のメンバーが在籍。問合せはinfo@fukutomo-club.orgまで。
http://www.fukutomo-club.org

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Q.すっごく自然に博多弁が出ていますが、福岡に住んでどれくらいになるんですか?
A. ’97年に福岡にきてから、もう7年になります。こんなにいると知らず知らずのうちに博多弁もでているみたいですね…(笑)。

Q.でもそれだけ流暢に日本語が話せるということは、マレーシアでかなり勉強してきたのですか?
A.中学校の時に第3外国語で日本語を専攻していて、留学前にも2年間、専門学校で集中的に勉強してきました。けれど、日本に来たときはちんぷんかんぷんでしたよ。博多弁もよく聞き取れなかったし(笑)。マレーシアは多民族国家ですから、マレー、中国、インド、タイ、インドネシアなど、ルーツもいろいろ。
それぞれの民族の言葉が母国語となり、国語がマレー語、そして第2外国語は英語になっています。それでマレーシアで暮らすには十分コミュニケーションとれるので、それ以外の外国語を習うのは結構めずらしいですね。

Q.福岡に初めてきた時の印象はどうでしたか?
A.福岡にきた直後は、正直と~っても不安でした。「日本に留学したい!」という気持ちは強かったものの、いざ留学が決まってみると、専門分野を4年間で学べるかどうかの不安が大きかったですね。「福岡って一体どこ?」という気持ちもありましたし(笑)。けれど、1年過ぎた頃には福岡という街がすっかり好きになっていました。何と言っても“人”が優しい!それから4年の大学生活を終え、大学院へ進み、就職して現在に至るわけですが、まだまだマレーシアに戻りたいとは思わないから不思議です。

Q.どうして日本で就職しようと思ったのですか?
A.ギフト卸業屋さんでカタログの作成と商品企画の仕事をしているのですが、その仕事とは別に、大学院を卒業する直前に福岡在住の外国人、特に留学生を支援することを目的としたNPO団体『Fukutomo Club』 (福岡の友だち)を立ち上げました。
自分自身が福岡で外国人として暮らしてきて、こういう団体があったらいいなぁと日頃感じていたことを形にしたかったのです。ですから福岡で就職を探したのもこの『Fukutomo Club』運営に携わっていたいからです。

Q.その『Fukutomo Club』は主にどのような活動をしているのですか?
A.留学生を支援していく団体として、福岡に住む外国人がココロのよりどころとして、困った時の窓口になれればと思っています。具体的な活動としては、留学生と日本人がもっと気楽に英語でコミュニケーションできるために“TLT(=Tonikaku Let’s Talk)”という場を定期的に設けたり、ホームパーティ、料理教室、語学レッスン、ダンスクラブ、他団体との共同イベントや“外国人、日本人が共に生きる”をテーマにしたシンポジウムなどを開催しています。留学生は、どうしようもなく困った時には市や県の窓口に相談に行きますが、生活レベルでの問題など、ちょっとした問題などは私たちのような仲間レベルで解決できることも多々あると思います。また、外国人が日本人と友達になるきっかけを作りたかったし、それと同時に、日本人にも外国人と共に生きるきっかけを与えられる場があればと思っていました。そして、性別や宗教、国籍もいろいろな人が集まる『Fukutomo Club』を通して世界の人々との人的交流が深まればいい
と思っています。

Q.ところで、アニーザさんにとって、日本の社会や日本人はどのように映りますか?
A.マナーと社会ルールがきちんと守られている国だと思います。私たちのように特に宗教を持っているわけでもなく、何かを強く信仰しているわけでもないのに、みんなマナーがとてもよくて、その社会ルールもきちんと守ろうとしているのは本当にすごい!犯罪も世界レベルで見ると少ない。おおざっぱな感じがなく、ひとりひとりがきちんとしている印象です。日本に残っている理由のひとつとしても、このきちんとしたマナーとルールある社会にもうしばらく身を置いていたいというのもあります。

Q.イスラム教を信仰しているということで、9.11以降日本にいて差別を受けたことはないですか?
A.それは全くありません。ただ日々の生活の中には宗教上の問題などはありますね。食事に関して豚を食べない、お酒も飲まない。日本料理にこの二つはかなり入っているので、よく注意して食べ物を選択している。また、日本社会はお酒でのつながりが大事なので、友人が自分と一緒にお酒を飲めないというのは残念だなとよく言ったけど、最近ウーロン茶だけでもまわりがよく付き合ってくれるので、良かったなと思う。

Q.話しを聞いていても、アニーザさんは本当にいろいろな経験をされていると感心します。
A.ここでの生活は、もしかすると長い長いホームステイのようなものかもしれません。福岡に暮らし、日本の社会や文化を理解できることは、本だけでは知り得ることができないいろいろなことを学べます。日本語をマスターできたことも、私にとって一生の財産です!これからは、日本人にもマレーシアをはじめ、自分の世界の扉を開いて、いろいろな国のことをもっともっと知ってほしいと思います。私たちの『Fukutomo Club』が少しでもそのきっかけになってくれたらうれしいんですけど!

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●クセ?
やっぱり博多弁でしょう(笑)!よく指摘されるんです。最初全然気付かなかったけど、いつのまにか話しているから、完璧にクセですよね。

●ケイタイ?
国際電話、メール、ネットetc..あらゆる機能を使いこなしています。その中でも特に使っているのがデジカメ機能。イベントなど、活動の記録を残すために役立っています。

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