クスクス

　東京でフレンチをメインに経験を積んだシェフが、福岡に拠点を移し開いた店は意外にもイタリアンだった。「イタリア料理の面白さにハマったってのが大きいですけど、みんなで楽しく会話をしながら飲み喰いできる居酒屋のような店を考えたらこっちだったんです」。白いコック服から素朴な人柄のにじみ出る小野原 英明さんこそが、3年前この「クスクス」を開いた転身シェフ。そして接客を担当するのが奥様の明子さんだ。「いつも賑やかで人が自然と集まってくるような場所にしたくて」という想いからか、店内には暖かみのある要素がいっぱい。柔らかな照明に映える赤のクロス、壁に描かれた手書きの絵、それから、運ばれて来るワゴンメニューもそんな気持ちのこもったおもてなしのひとつ。初めての人でも選びやすいようにと実際の料理が並べられており、メニュー表を見て考え込まなくとも料理を見ながらオーダーできるという優しい心配りだ。ワゴンに乗せられた見るも楽しいその1皿１皿は、小野原さんの経験を生かしてオリジナルのエッセンスが加わり、イタリアンの枠にとらわれることなく生み出された数々。また、自慢のパスタはペペロンチーノ、アラビアータ、ジェノベーゼ(バジル)の3種を定番に、日替わりでニョッキやラビオリなどの手打ちパスタが出される。もちろんワイン(ボトル1,900円～)だって常時20種が揃う。
　毎日食べても飽きないイタリアンと毎日でも過ごしたいぬくもりのある空間これが、毎日通う常連を惹きつけている理由なのだろう。

福岡市中央区那の川2-8-15

092-525-4040