Foxy Boxer


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Mai Yanagawa

最初に彼女に会ったのは、オーストラリア領事館の式典でだった。彼女はステージの上に立ち、泣きじゃくりながら上司に別れを告げていた。その後、別の機会に見かけた彼女は、とても芯が強そうに見えた。どっちが本当の彼女なのか? そして後に、とても穏やかでチャーミングなこの女性が、プロのボクサーだということを知ってびっくり! そんな彼女の気になるストーリーはというと…。
編集長/ニック・サーズ

Mai Yanagawa /柳川舞
下関出身
大学卒業後、日本食レストランを手掛けていた企業でマーケティングを担当。大学院卒業後は、フランス資本のIT会社に就職。アジアパシフィック地域のカスタマーリレーションマネージャーとして、コンサルティング業務に携わる。現在は、Austrade(オーストラリア総領事館)の商務官として、オーストラリア企業の日本マーケットにおけるビジネスをサポート。
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高校卒業後、単身メルボルンへ。メルボルン大学文学部在学中にオーストラリア人と学生結婚。大学卒業後シドニーへ渡るものの就職難を味わう。その上、5年の結婚生活にピリオドを打ち、働きながら、夜はシドニー大学大学院経済学部で勉強。卒業後、IT会社に就職。その間恋愛&大失恋を経験し、たまたま通りかかった家の近くのボクシングジムを覗いてみたところ、多くの女性がボクシングに励む姿に刺激され、週3回のペースでトレーニングをはじめる。帰国後、在福岡オーストラリア総領事館の商務官として再スタート。福岡でもボクシングジムに通いはじめる。そこで、女性プロボクサーに感化されてプロになる決意をし、猛練習を始めたのが昨年5月。2004年2月22日に東京で行われたプロテストに合格し、7月にデビュー戦の予定。

Q.という柳川さんの今までのストーリーを聞いてもかなりドラマティックな人生を歩んでいる!という印象を受けるのですが、ご自身で今までの人生を振り返ってみると?
A. 至って平凡ですよ。思ったらすぐ行動!という風に生きてきたら、たまたまこうなっただけで…(笑)。

Q.ボクシングをはじめたきっかけはやはり失恋だったのですか?
A.そうなんですよー(笑)。もう“大失恋”って感じだったんです。私って好きになったら、すべてを相手に捧げるタイプの性格なんです。失恋当時は本当につらくてきつくて…。で、そのもやもやした気持ちをどうやったら発散できるかって考えてた時に、ふと目にとまったのが家の近くのボクシングジムだったんです。

Q.マイナスのエネルギーをプラスに変えよう!と?
A.失恋って、絶望と同時に何か腹が立つじゃないですか?フツフツと沸いてくるような強くて嫌な自分の気持ちは、激しいことをしなければ、治まらないと思ったんですよねー。ボクシングを初めて体験した時、アドレナリンがバシバシ出てくる感じで、もやもやした気持も吹っ飛んで、すっごく気持ち良かったんですよ!

Q.いつからプロを意識するようになったんですか?
A.プロへの道を意識したのは30歳の誕生日の時でした。シドニーで友人たちからバースデーパーティを開いてもらっていた時、ふとそんな気持ちがよぎって、友達に「私、30歳でプロになる」と宣言してしまったんです。30歳という年齢で自分自身に区切りをつけたかったんでしょうね。

Q.では、どうして日本へ戻って来られたのですか?
A.そのきっかけもやっぱり失恋ですね。とにかく自分の人生を一から出直してみたかったんです。環境を“ちょっと”変えるのではなく、“ガラッ”と変えてみたいと。でも、失恋して両親の元へ帰るというのでは情けないなーと思い、自分は何をしにオーストラリアに来たのだろうと振り返ってみたんです。オーストラリアに来た時は覚悟を決めてきていた訳だし、負けて帰るんではダメだと思ったんですよね。それで最初に決意したことって、英語で冗談を言えるくらいしゃべれるようになりたいって思ってたんです。すると、「あれれ…目標達成してるじゃん!」と。シドニーではバイクで通勤していたんですが、会社に着いて即バイクを止めて辞表書きました(笑)。

Q.す、すごい…。本当に思い立ったら即行動!なんですね…。しかも有言実行。それから実際に、30歳でプロテストに合格してるんですからね。
A.結果がたまたまそうなっただけですけど。ただ、今思うと「納得いくまでやる」というのが自分のポリシーだった気がしますね。日本に帰ってきて初めて長浜の「シュガーレイ」というジムを訪れた時、「九州で初めて女子プロボクサーを誕生させたジム」ということにビビッときたんです。その瞬間「ココに決めた!」と思いました。

Q.顔やお腹にパンチを受けるのって怖くないですか?
A.お腹は痛いのですが、顔は怖くもないし、痛くもないんです。といってもプロテストの時はボコボコになって、目の下に青~いアザ作ってましたけど(笑)。その顔で、次の日商談のため韓国出張へも行きましたけどね。取引先の相手は気を遣って何も聞かなかったんですよ~(笑)。

Q.プロになって周りの反応ってどうですか?何か変わりましたか?
A.取引先の人からは、「元気があっていいねー」と言われますね。あ、あと「柳川さんのおしりとか触れませんね」とも(笑)。自分自身では、プロになったことで自信がつきました。ボクシングは体重制限のための体力調整が本当にきついんです。食生活、トレーニングなど耐えなければならないことも多い。でもおかげで、仕事のきつさなんて、何てことないです。ボクシングをはじめてからは食生活もきちんとしていて、仕事にも集中できます。

Q.7月のデビュー戦に向けて、今の心境は?
A.今トレーニング中なので、その時に自分がどうなっているのかが楽しみです。ボクシングは勝つか負けるかの勝負。大勢でやるスポーツと違って、負けたら全て自分のせいだから、悔いが残らないように練習して挑みます!

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クセ?
ドリンクの氷をガリガリ噛むのがクセなんです。1個残らず食べてしまうんですよー。ストローを噛むのもクセかな…。

ケータイ?
自分だけに用事があって電話がかかってくると思うと、プライベート感たっぷりのコミュニケーションツールですよね。

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