ゲームボーイ


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Hiroshi Matsuyama

福岡は90年代前半からビデオ制作やデザイン、さらにここ最近になって、ソフトウェアやマルチメディア製品に関して高い評価を得ている。今月は『サイバーコネクト2』の社長である松山洋氏をご紹介しよう。『サイバーコネクト2』とは、爆発的なヒットとなった『.hack//シリーズ』など、ミリオンセールスとなる作品を生み出したゲーム会社である。彼は70人以上の従業員を雇い、さらにはそのベースがここ福岡であることに誇りを持っている。またそれと同時に、彼の功績のおかげで、福岡の若手プログラマーやデザイナーたちも東京や大阪へとキャリアを求める必要もなくなったのであろう。
編集長/ニック・サーズ

Hiroshi Matsuyama/松山 洋
福岡出身
「サイバーコネクト2」代表取締役社長。世界で約162万本のヒットとなった「.hack//シリーズ」をはじめ「NARUTO-ナルト-ナルティメットヒーロー」などさまざまなゲームソフトを制作。福岡を拠点に世界に向けたゲーム開発に取り組んでいる。
http://www.cyberconnect2.jp

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Q.松山さんに会って、「.hack」のような爆発的なセールスヒットを生みだしたゲーム会社が福岡にあることを初めて知りました。
A.ゲームがどういうところで作られているのかなんて、分かりにくいですよね。ゲーム会社というのは日本に大小合わせて約500社ほどあります。その中でも、業界的に名前が通る、つまり何らかの作品が形として残っている会社が約300社程度。そのほとんどが東京に集中しています。東京が70%、大阪が20%、残り10%がその他の地域って感じかな。でもココ最近、ゲーム業界では東京、大阪、に続く都市として「福岡」が注目を受けているんですよ。

Q.東京へと拠点を移すことは考えてないのですか?
A.全く考えていません。福岡は”物づくり”に向いている土地だと思いますね。それなりに都会でそれなりに田舎で!非常にバランスの良い街だと思います。よくよく考えると福岡で手に入らないものなんてないんじゃないかな~?物価だって安いし。物をつくる上ではリラックスできる環境が一番だと思うんですよ。現在ではサイバーコネクト2は毎年、東京でも就職説明会を行っているので、東京の人間がうちの会社に入ってくることも多いんです。

Q.では、不便な点などはないですか?
A.例えば突然、明日商談!となった場合などは多少の不便を感じますが、それも自分さえ足を運べば片づくことですし。ちなみに私は、昨年1年間で100回以上飛行機に乗っていますよ(笑)。それでもやっぱり福岡でやっていきたいなと。東京じゃなくても、活躍できる場はあるってことです。

Q.そもそも松山さんがこの業界に入ったきっかけとは?
A.大学卒業後、土木関係の会社で営業していたんですが、8年前、当時ゲーム会社に勤めていた大学時代の友人が独立する時に声がかかったんです。漫画やゲームはもともと好きだったので、悩んだ末に一緒に独立しました。企画書を作って営業したり…と前職での経験を生かしながら、ゲーム業界のことも徹底的に勉強しました。人生の中で一番勉強したといってもいいくらい!会社に半年くらい泊まりこんでましたよ~。(今現在は弊社の規則として泊り込みは禁止しています。)

Q.”ゲーム”って、どのくらいの売り上げでヒットと呼ばれるものなのですか?
A.業界的には10万本を超えればヒット!みたいな印象がある・・・感じでしょうか?ちなみに「.hack」は今世界で162万本(日本で77万5000本)をセールス。アメリカで約66万本売れているので、日本と変わらない売り上げですね。アメリカでの発売後に韓国で、そして今はヨーロッパでも販売されています。正直、大ヒットですね(笑)そんな大ヒットもココ福岡で生まれたんですよ。

Q.アメリカでそんなにヒットしているんですか!外国では、日本のソフトを翻訳した
ものを販売するのですか?
A.いえいえ、それぞれの国によって規制などもありますから、多少変わってきますよ。例えばキャラクターの洋服のデザインにしたって、日本は洋服を重ね着させますが、アメリカサイドの要望としてはビキニなど、できるだけ露出度を高くしてほしい…という具合に(笑)。登場人物の喫煙や飲酒に対する規制なども、日本よりもアメリカの方が厳しいですね。(飲酒・喫煙などの)行為そのものがNGだったりして…。あとは、食材などですかね。日本版ではアイテムとかで“おにぎり”だったものをアメリカ版では“ピザ”に変えたり(笑)。あ・これは文化の違いですね。

Q.細かい部分で違いが出ていて面白いですね!ゲームはすべて自社で制作しているのですか?
A.はい。企画から、プログラミング、グラフィック、サウンドetc…すべて自社で行
なっています。ただ、ゲームを超えた部分、例えば「.hack」に関しては、コミックやアニメともリンクしていますので、そういう部分に関しては他社とコラボレーションしながらやっています。

Q.現在の子どもたちとゲームとの関係について松山さんの意見を聞きたいのですが…。
A.ゲームは生活する上では必要ないものかもしれません。だって”娯楽”ですもんね。よくゲームで視力が落ちるなんてことも言われますしね。でも、私なんてこの業界に入ってから0.7→1.5になりましたよ。画面に集中しすぎて今まで見えてなかったものが見えてきたんでしょうか!?(笑)。もちろん何事にもやりすぎは禁物です。ほどほどに楽しむ娯楽として、多感な小中学生に本当に楽しいと思える“娯楽”を提供できたらと思うのです。映画もそうですけど、人が生み出した作品って刺激になるでしょう。子どもたちが、エンターテインメントを楽しめる人間になってほしいと思ってるんです。

Q.最後に、これからの目標をお聞かせください。
A.技術はどんどん進歩していきます。でも技術だけでは、成功しない。音楽などもそうですけれど、今の時代って”懐かしいもの”がヒットしていますよね。原点回帰とでも言いましょうか。これからは、「昔から変わらない面白さ」と「テクノロジー(技術)による面白さ」とに2極化してくると思うんです。そこで、我々はその中間の“とある部分”を大事にしていきたい。それが子どもたちをその気にさせる”ロマン”だと思うのです。(私たちの会社ではそれを”小宇宙”と呼んでいますが)

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●クセ?
クセとは言えないかもしれないけれど、とにかく漫画好き。漫画は月に60冊ほど読んでますね~。あと、話す時に緊張したら耳を引っ張ることかな。

●ケイタイ?
仕事上3つ持ってるんです。仕事用とプライベート用とモバイルゲーム監修用。「.hack」はモバイルでも楽しめるんですよ!

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