Honey, I’m Home!


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テス・バーク
アメリカ合衆国, 教師

ここ福岡でアメリカ人として過ごすのは、常に「異人」であることを思い知らされるのよね。今、二日市に住んでいるけど、金髪の私はすれ違う人々にとってはエンターテイメントの一部のように映っているらしいわ。このあたりでは外国人を見かけるのはまだ珍しいから、多くの奇異の目にさらされているの。しかもあからさまに。

大抵の日本人は外国人を同一の人種だと考えているから、例えば、私はアメリカ人だって決め込んでるの。(まぁ、それはたまたま事実なんだけど、単なる憶測の延長に過ぎないわ。)そして私が日本語が分からないって決めつけているから、私の真ん前で私のことを話したりするの。お忍びで来ているアメリカ人セレブじゃないかって。そして銃を家に持っているかも、なんてね。こんなことはほとんどのガイジンが経験する序の口だとは思うけど、悲しいかな、外国人としての立場を使っても拭い去れない日本人の思い込みのひとつが『主婦』。主婦は帰宅する夫のためのご馳走に一日の大半を費やしているんだってこと。でしょ?

私が経験した典型例が、スタバで日本人の友だちとお喋りしていた時のこと。突然彼女は立ちあがり「もう4時だわ。もうすぐ夫が帰ってくるから食事を用意しなきゃ。
あなたはご主人に何を作ってあげるの?」と聞かれたから「我が家では夫が料理担当よ」って答えたの。そしたらその瞬間に会話は終わり侮蔑のまなざしに変わったわ。

それから新しく知り合った人たちは、私が結婚しているか、子供がいるかがまず知りたいみたいなの。誰に朝食を作ってあげるの?ですって。彼女らが意図しない答えなら既にあるわ。我が家の朝ご飯はセルフサービスよ。ベッドから出たら珈琲を入れて喉に流し込むだけ!

もちろん今では決して「料理はしないの」なんて言わないわ!そう言った方が夫の世間体にも良いみたいね。ちなみに彼はヘルシーな日本食が得意なんだけど、私はアメリカっぽいジャンクフードが好みなのよねー。私が他の大切なことに集中しているからメニューについては彼に任せるようにしているわ(彼が前号で書いたようにゲームに夢中よ!)。でも、私のことを知っている日本人女性からすれば私は変わっているんですって。面と向かって言われはしないものの、悪い奥さんだって思われているわ。

このあちこちに蔓延る悪習はもっと奥が深いようね。夫がフルタイムで勤務している場合、主婦は家で料理をするのは当たり前。だから女性は結婚と同時に仕事を辞めるかパートタイムに切り替えるの。なぜって?もちろん誰かが料理する必要があるからよ。

今では日本は性差別がまかりとおる国だってみんな知ってるわ。例えば、このアパートを借りる当時、私が稼ぎ手だったにも関わらず、彼の名前で契約しなくちゃいけなかったし、事実、住民票では夫が世帯主だって表示よ。ゆっくりと法改正が進んでいることは知っているけど、人々の態度に変化はないし。私は日本社会に完全に馴染みたいと願うの同様、21 世紀を生きるアメリカ人主婦であり、自分をガラリと変えたいとは思わないの。夫は我が家のシェフであることを好み、もちろん私も彼がそれを楽しんでくれているなら幸せよ。これは私たち夫婦が上手にバランスを保つ方法だし、全ての主婦が同じである必要はないと思うわ。

何度もいうけど、ここは福岡。社会的変化に時間がかかることは街としての評価下落も否めないわね。東京や大阪のように性別の不均衡を脱出した地域もあるし、こういった変化って世界的な潮流でもあるから福岡も従わざるを得ないのよ。私のような外国人女性の意見が後押しするのかも。うーん、ドォデショ?

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