博多の芸者に出会う


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豆みつ

豆みつ

PROFILE
豆みつ / Mamemitsu
福岡出身
福岡市で生まれ関西で育つ。4年前から博多券番の芸妓に。数々のイベントで三味線や唄、踊りを披露するなど、博多の伝統芸能を伝える一役を担っている。
●博多の芸妓ホームページhttp://media-line.or.jp/h_kenban/

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Q.芸妓へのきっかけは?
A.母が「博多券番」の芸妓だったこともあり、自然な流れでこの世界へ。「博多券番」に所属して丸4年になります。

Q.「博多券番」とはどういうところなのですか?
券番とは簡単に言えば、芸妓の取り次ぎをする事務所です。料亭などから芸妓の手配依頼を受けたり、花代や線香代と呼ばれる代金の精算を行ったりします。また、ここで三味線や唄、踊りなどの稽古を受けています。以前は博多にも5つほど券番があったそうですが、今では「博多券番」一つにまとめられ、博多の芸妓はすべてここに所属しています。

Q.お化粧や着付け…と、ひとつひとつに時間がかかりそうなのですが、一日のスケジュールはどのような流れなのですか?
A.午前中~14時くらいまで券番でのお稽古の時間になります。それから一旦家に戻り、お風呂に入って、簡単な食事を済ませて、支度をはじめます。通常は18時~お座敷に入り、21~22時頃帰宅します。また、年中行事としては、1月の「十日恵比須大祭」の「かち詣り」、5月の「博多どんたく港まつり」、12月の「博多をどり」と年に3度の大きなイベントがあります。「かち詣り」では博多券番の芸妓が一斉に参拝するので、迫力ありますよ。その他2つのイベントは舞台で三味線や唄、踊りを披露するので、特に本番前の稽古が大変です。

Q.芸妓ってどうやってなれるものですか?
A.まずは博多券番を訪ねてきてください。券番では、“お姉さん”と呼ばれる先輩がすべて指導してくれます。昔は置屋で一人の“お姉さん”について、行儀や稽古の指導を受けていました。通常、芸妓言葉では「姉が妹を引く」と言い、姉は妹に対し、着物を揃えたり、勉強のためにお芝居を観せたりと、お金をかけて面倒を見ます。それは姉にとって芸妓としての格を上げることになり、妹を引くことは姉にとって、大切な仕事のひとつと言えるでしょう。ですが、現在は、置屋という存在もなくなり、以前のような姉妹のしきたりは薄れ、新人にとって博多券番の芸妓全員がお姉さん。身の回りの世話や稽古などみんなで指導していきます。一人前として認められると、いわゆる“独立”という形をとり、それ以降は着物も自分で仕立てたり…と、生計を立てられるだけの財力も必要になります。

Q.お稽古の期間はどのくらいかかるのですか?
A.昔は4~5年はザラでしたが、今はだいたい3年くらいでしょうか。踊りを披露する立方(たちから)、地方(じかた)と呼ばれる座敷で三味線を引く人などでも、10~20年の稽古を積まなければなりませんし、本当に長い修行期間ですよ。お稽古に終わりはありませんからね。

Q.芸妓は結婚しててもなれるものなのですか?
A. 夢を売る商売ですので、通常結婚すれば引退になります。けれど年齢制限があれわけではないので、希望すればどのような職業からも転身は可能な世界です。

Q.芸妓の魅力とは?
A.この仕事の醍醐味は普段では会えないようなさまざまな業界や年代の人たちと会えること。そういう方々との世間話がおもしろかったりするんですよね。時には苦手だなと思うお客さんに出会うこともありますが、そういう時はお酌して、ささっと席を離れたり(笑)。何よりいろいろな方の話を聞くことが人生の勉強になります。

Q.お座敷の席での何かおもしろいエピソードなどありますか?
A.おもしろいという訳ではありませんが、お手洗いが大変なんです。お座敷で芸妓が料理に手をつけることはありませんが、お酒は口にしますよね。お客さまにすすめられることが多いので、有り難くいただきますが、そうするとお手洗いが近くなり、大変な思いをすることもあります。一人でお座敷に入っている時はもっと深刻。そんな時はタイミングを見計らって、失礼のないように席を外すこともありますよ(笑)。

Q.オフには何を?
A.稽古も何もない日はただひたすらぼーっとしています。那珂川沿いの橋でかもめにエサをあげたり。とっても和むんですよ。

Q.豆みつさんのこれからの夢を聞かせてください。
A.京都などでは、舞妓や芸妓を目にする機会も多く、馴染みがあるものかもしれませんが、博多では芸妓自体知られてないことも多いのが残念です。お座敷に芸妓を呼ぶということもものすごく高いというイメージばかりが先行していて…。博多にはせっかく大きな川が流れているので、その川を使った“舟あそび”なんかができるといいですね。舞台舟のようなもの。“老舗料亭のお弁当と芸妓がセットになって○○○円!”みたいな料金が分かりやすいプランができるといいかも!博多の伝統芸能を保存するためにも、少しでも多くの方に親しんでもらえたら…と願っています。

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