鹿児島 串木野浜競馬大会


6759
6760

近くなった鹿児島へ歓声の旅

 4月、春の陽はうららかでいうまでもなく行楽日和。九州新幹線の開通によって南九州もグッと近くなったことだし、ここは一路、南へ!鹿児島へ!ゆるやかにうねる春の海の楽しみ方をご紹介しよう。
 鹿児島県西部の串木野は、古くから遠洋まぐろ漁業や金鉱で栄えてきた海辺の町。そこに広がる吹上砂丘(日本三大砂丘のひとつ)の照島(てるしま)海岸では毎年、”浜競馬大会”なるものが開かれている。2,000mに渡る海岸線を競走馬が華麗に走り抜けるこの大会、これだけの距離を走る浜競馬は日本全国でもここだけ。もとはといえば昭和33年、馬が輸送機関として活躍していた時代に地元の荷馬車組合が花見の余興として始めたのがきっかけだったとか。鹿児島は競走馬の生産地としても有名なだけあって、90頭近くがこの日のために集まり、いまでは串木野の春の風物詩となっているのだ。
 朝の9時半に五つ太鼓の力強い響きでオープニングが飾られると、いよいよレースがスタート。中央競馬でも活躍していたサラブレッドたちが、目の前の波打ち際をどどどーっと駆け抜けて行く。そんな競走馬の迫力ある疾走が楽しめるのはもちろん、他にも農耕馬レース、ポニーレースなどバリエーションに富んだラインナップで見どころ満載。なかにはコースアウトして砂丘に乗り上げたり、勢いこんで海に飛び込んでしまう馬がいたりと、ユーモラスな光景も繰り広げられる。馬券の発売はないので、ここでは余計な駆け引きはなし。ゆったり構えて純粋に馬の走りを楽しむ、なんとものんびりとした競馬大会なのだ。眼前に広がる青い東シナ海をバックに白い砂を巻き上げて走る馬たち、客席からあがる歓声。すっきり爽快な春の鹿児島紀行。南九州の鮮やかな海と空の色を、一日思う存分味わえる旅になるはずだ。

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ページトップに戻る