ロッキン・USA


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坂本充

 人生はチャンスと偶然からなるもの。そして、夢を持った若者が夢実現のために努力する姿はとてもすばらしく、感銘を受ける。今回出会ったのは、メジャーリーグ入りを目標にアメリカでプレイしている坂本くん。かつて東福岡高校の有能なプレイヤーとして活躍したものの、日本のプロ野球から指名を受けることはなく卒業。その後、日本のコーチに勧められてアメリカに渡り、大学で英語を学びながらメジャリーグをめざす日々。そんな彼は、現在はコロラドロッキーズの選手とし、アメリカでプレイしている。着実に夢への階段を上り始めた坂本くん。今後、彼の活躍が楽しみだ。

Q.野球をはじめたきっかけは?
A.月並みですが、子どもの頃、家の近所の公園に集まってやっていたらだんだん興味を持って…という感じです。本格的にはじめたのは小学校6年生の時に少年野球チームに入ってからですね。

Q.それから、中学、高校と部活を通してずっと野球を続けてきたのですか?
A.中学では部活には入らずそのまま少年野球チームで続けていました。高校では野球部に入ったのですが、甲子園の出場を期待される学校でしたから、思いのほか大変で…。野球部のメンバーはほとんどが推薦で選ばれた人ばかり。トップクラスの人材が集まっていて、スタートの違いを感じましたね…。それでも、負けたくない! と思ったから諦めずに続けました。試合に出してもらうまでに2年かかったけれど、レギュラーとしてポジションを獲得できた時はうれしかったです!

Q.その後、どうしてアメリカへ?
A.高校3年生の最後の大会の前に、卒業後にアメリカに行くことを決めました。中学生の時に野茂選手がアメリカで活躍しているのをテレビで見て、憧れると同時に自分もいつか大リーグでプレーできたら…と。それから意識するようになっていつか行きたいと思っていたんです。だけどもしかしたら、大リーグには無意識に子どもの頃から憧れを抱いていたのかも…。というのも、小学校の文集に「ローランライアン(当時有名な大リーグのピッチャー)と一緒にプレーするのが夢」と書いていたんですよねー。そんなことを書いたことなんて全然覚えてなかったのですが、つい最近取材を受けた時にその文集を改めて見て自分でもびっくりしました(笑)。

Q.不安はなかったですか?
A.不安よりもとにかく行きたい!という思いが強かったですね。決心が固まってすぐに高校の監督に相談して仲介人を紹介してもらいました。自分の不安よりも家族の心配が大きかったかなー。母親は毎日泣いていて、何度も何度も家族会議を開いて、説得しました。

Q.渡米後はどのような生活を?
A.英語も全然分からなかったから語学学校からのスタートでした。アメリカに行けば野球ができるって思ってたのですが、大間違いで(笑)。アメリカでは学力の比重も高く、決まった単位を取らなければ公式戦に出場できないんです(泣)。だから、最初は学校に行きながら、練習生としてプレーするという感じです。

Q.日本人プレーヤーとしての周りの反応はどうでしたか?
A.当時はイチロー選手もまだプレーしていなかったので、日本人野手に対しての評価は冷たかったですよー。というか、アメリカではいかに自分をアピールできるかがカギ。意思表示しなければ、自分の存在すら認められないですからね(泣)。特にプエルトリコ人がすごいんです。たとえアマチュアでやってきていても、アメリカで必ず成功するぞ! という意気込み。彼らのハングリー精神はすごいなぁと感じました。

Q.チームメイトやアメリカ人とは仲良くできましたか?
A.お互い海外からきているからか、プエルトリコ人と特に仲良くなりましたねー。ライバルでありながらも同じ思いを共有していたからかな。彼らの母国語はスペイン語なので、自分もだんだんスペイン語が分かるようになってきました。あと、女性はアメリカ人よりもメキシカンの女性が魅力的でしたよー。キュートだし! けど約束をしても1~2時間遅れはあたり前って感じでいろいろ大変でしたけど(笑)。

Q.アメリカ生活で印象的な出来事があれば聞かせてください。
A.そうですねー。学校に行く途中に鹿の親子に遭遇したことかな。 微動だにせず、睨み合いが続きました。こっちは自転車だったので、突進してきたらどうしよう~ってヒヤヒヤでしたよ。結局向こうが逃げていったからよかったけど…。野球では、小学校の時からず~っと憧れていた秋山幸二さんが取材にきてくれたことがとってもうれしかったです! 秋山さんもアメリカで野球をしていた時代があったそうで、いろいろアドバイスもいただきました。昨年のキャンプではイチロー選手にも会ったんですよー。「英語話せるの?いいね~」なんて言われましたよ(笑)。ほんの1~2分だったけど、話しができてうれしかったです。

Q.日本でのプレーは全く考えていないのですか?
A.もちろん、日本でプレーしたいという希望もあります。けれど今はこちらでドラフト指名を受けているのでまだアメリカでがんばりたいですね。大リーグは今後ますます面白くなると思うんです。イチロー選手の活躍でスピード感溢れるベースボールが甦ってきましたよね。それまではホームランを打つ選手ばかりが注目されていたけれど、ヒット打者で知られていた昔の名選手も注目されたりして。そういう意味でもイチロー選手の功績って大きいですよね。

Q.最後になりましたが、これからの夢を聞かせてください。
A.最初にアメリカに行った時は2年で戻ってくるつもりでしたが、気が付けばもう6年が経ちました。ドラフトで指名を受けた以上、やっぱりメジャーでプレーしたいです。焦りやプレッシャーもありますが、それがあるからこそがんばりたい! と思っています。

PROFILE
Mitsuru Sakamoto
坂本充
福岡出身
高校卒業と同時に渡米。21歳の時に、日本人で初めてアメリカ大リーグからドラフト指名を受け、コロラド・ロッキーズと契約。現在ではマイナーリーグでプレーを続け、メジャー昇格に挑戦中。毎年オフシーズンには福岡の実家に戻り、日本で調整を行っている。

ここをみて
http://home.netyou.jp/vv/okatech/

●クセ? 
夜になると星を探すこと。住んでいるアリゾナの夜空がすごく綺麗なので、知らず知らずのうちに癖がついたのかも。

●ケータイ?
アメリカでもケータイは使っていますが、日本に帰ってくるとつくづくメールの機能が充実しているな~って思うんですよね。

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