塩つくるひと


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平川秀一

PROFILE
平川秀一/福岡出身
カナダやスウェーデンなど海外での飲食業経験、地元福岡での飲食業経験を積み、塩守に。糸島福の浦に「工房 とったん」を飲食店時代からの仲間2人共に営む。

「工房とったん」
福岡県前原市西堂980
092-323-8732
海水を汲み上げた後、循環させながら天日に干して活性化させて、その後炊き詰めて…と約10日の工程を経てつくられる塩やにがりを販売。今月より醤油や味噌などの販売もスタート。http://www.mataichi.info

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Q.“塩”を作りはじめたきっかけは?
A.長年調理師として働いていたことから、ちょっとずつ塩に興味が出てきて。「海水を干して、釜で炊いたら塩になる」という原理を考えると簡単そうに思えてたので…。まぁ、実際はそんな簡単なもんじゃなかったですけど(笑)。

Q.調理の世界へはいつから?
A.カナダにワーキングホリデーで行ってた時からです。といっても、実はもともと違う動機でカナダを選んだのです…。10代の頃、なぜかログハウスに興味を持ち、自分でログハウスを作ってやろうと思ってカナダに行くことにしたんです。「ログハウス=カナダ」みたいな安易なイメージで。まぁ、実際はそんなに簡単に職が見つからなかったので、とりあえず求人のあった日本食レストランで働いてたんです。するとそこで、日本人なら寿司でも握れるんじゃないかって言われて、寿司を握ってたんですよぉ~。コレがやってみるとだんだんおもしろくなってきちゃって(笑)。それが調理をはじめたきっかけなんです。

Q.それで寿司職人になったのですか?
A.日本に戻ってもしばらく寿司を握ってました。すると今度はスウェーデンから寿司職人を探してるっていう話をもらって。

Q.その後スウェーデンへ?
A.そうなんです。と言っても半年間でしたが…。その時はちゃんと仕事も報酬も保証された上で行くわけですから、あまりあれこれ考えずに行きました。月収が18万だったんですけど、カナダでは18万もあれば、余裕を持って楽に暮らせてたのに、スウェーデンだとそうはいかなくって(泣)。税金を20%以上取られる上に、家賃もものすごく高い!身体の大きなヨーロッパ人が住めるはずがない!ってくらい狭い部屋で8万円もしたんですよ~。そんな懐の寂しさ+寒さに負けて帰ってきました~(笑)。

Q.それから、どんな道のりを?
A.とにかくいろんな料理に興味が湧いて、アジア料理やイタリアン、そして最後に和食を経験した時に“塩”に興味が出て、今に至っているわけです。

O.塩を作るにあたって、この素晴らしい環境を見つけたり、塩田をつくる過程など、いろいろと大変だったのでは?
A.塩田は昔塩を作っていた人から話を聞いたり、実際に塩を作っているところを見て回ったり、いろいろ試行錯誤しながら、今の方法を考えていったんです。場所は、たまたま安く手に入れることができたので…。この土地もはじめはほとんどジャングルのような状態だったんですよ。仕事小屋も壁がなくて吹きさらしのような状態で作業していたのですが、あまりの寒さに耐えられずにこの冬、壁を作りました。壁ができると釜を炊いているから暖かくて今では暖房いらず。でも、逆に夏が心配ですね。たぶん40~50度近くなるんじゃないかな~。

Q.“塩”に対する思いを聞かせてください。
A.使いやすい塩を作りたい!って思っているんです。塩が足りなければ印象のない味になってしまうし、辛すぎてもダメ。あんばいがむずかしいんですよね。辛みがあまりなくてしっかりと塩の味がするもの。素材の旨味をうまく引き出してくれるような塩ですね。やっぱりものをつくるって大変な作業ですよね。実際に販売できる塩を作れるまでには半年くらいかかりました。薪の種類によって、味も変わるし、温度や湿度で出来具合が違ってくる。もちろん、季節や天候も大きく左右します。夏は量はたくさん取れるけれど、納得できる塩がなかなかできず、逆に冬は量は少なくても質のいい塩ができたり…、自然相手だからむずかしいですね。

Q.ここは海に囲まれていて、素敵な場所ですね。都会の生活と比べてみて、今の生活はいかがですか?
A.本当にゆ~ったりとした糸島時間が流れています。住人もみんなあくせくしてないし。昨日海でワカメを取っていたら、たまたまタコが取れたんです。すぐにカルパッチョにして、食べました。本当おいしかったですよ~。ほんの些細なことで、生きてる!って感じがします。

Q.最近は糸島が注目されて、訪れる人もずいぶんと多くなったのでは?
A.ここは本当に糸島半島の先端部分なので、そんなに感じないんですよー(笑)。徐々に看板も増やしてるんですけど!

Q.これまでもいろんな経験をされていますが、これからはどんなことに挑戦していく予定ですか?
A.そうですねー。今は海の近くにいるから、今度は山へ行きたいかな。コーヒーが好きなので、山間のどこかいい場所を見つけて、おいしいコーヒーを出せるような店が持てたら….なーんて思っています。

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