高橋 康徳


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学生と社会の架け橋に!

報道記者と学生が企業したベンチャー企業「スピンアウト」の代表取締役・高橋康徳氏にインタビュー。“学生と社会人のコラボビジネス”をテーマにメディア関連の制作を行う。昨年は、自社が手掛けるインターネットテレビ局「COW TELEVISION」が福岡市ビジネスコンテスト最優秀賞を受賞。そのユニークなビジネススタイルと活動について話を伺った。

Q. 受賞おめでとうございます。まずは、ご感想をお聞かせください。
A. うれしかったですねー!自分たちの活動が認められたのですから。TNC時代にはパワーポイントすら扱ったことがなかったのに、プレゼンの評価も高かったので…(照)。おそらく記者時代に培った原稿をまとめる力が役に立ったのでしょうね。

Q. TNCではどのようなお仕事をしていたのですか?
A. 入社当時からずっと報道です。報道部に仮配属されたその日に福岡で飛行機が墜落する大事故が起き、“事件を呼ぶ記者”と呼ばれたりして。8年間報道一筋で、何千本ものニュース原稿を書きました。中には現場で求められるものも多くて。社会の関心事が高ければ高いほど、現場でのレポートが必要とされます。それは、だいたい15~20秒が相場。限られた短い時間でいかに正確に分かりやすく伝えられるかが鍵ですからね。「こっちからきた車とあっちからきたトラックがドーンとぶつかって…」なんていう訳にはいきませんから(笑)。けれど、振り返ってみればその毎日の原稿やレポートが視聴者に対するプレゼンだったのかと。今プレゼンが褒められるのはきっとそのおかげかな。

Q. テレビ局での仕事を辞め、どうしてフリーの道を選ばれたのですか?
A. 大きなきっかけになったのは山笠の取材でした。博多祇園山笠の人形師にスポットを当てたドキュメンタリーを制作したんです。14分間のドキュメント番組だったのですが、それを作るのに20分テープが70本。1400分にも及ぶ量のテープを編集しました。初めて東京の構成作家と一緒に仕事をして、いろいろ勉強になることも多くて。同じ素材でも料理の仕方でこんなに違うものなんだと感心しました。事件・事故の報道はネタが取れてナンボの世界。ドキュメンタリーはこのように料理人的な要素が大きい。やり方一つで人に感動を与えることもできるし、怒らせてしまうことにもなる…。だからこそ、やり甲斐を感じましたね。報道っていうと事件・事故など問題を抱えるものが多い中、この時の取材は心からワクワクして楽しめた仕事だったし、そういうヒューマンドキュメントをもっともっと自分で作っていきたいと思ったので。

Q. ビジネスの内容とは?
A. 起業当初はTNC時代にやっていたことをそのままフリーランスとして活かしていました。転機のきっかけともなった山笠の人形師を再取材したり、三宅島の噴火で避難していた家族を追ったり、J-COMの新春特番を制作したり。しばらくすると、ネットの需要も広がっていきました。インターネット普及後、テキストと静止画の世界からどんどん動画に移行していた時期ということもあり、演出家が求められていたようです。動画の編集作業に関してはこれまで築き上げてきたノウハウもありましたからね。こうして制作を重ねていくうちに、今度は配信したいことが増えていき、「だったら、インターネット上にテレビ局を作ってしまおう!」ということで、COW TELEVISIONが立ち上がりました。次から次にやりたいことが湧いてきて(笑)。COWTVでは、24時間見られる情報を動画の映像で配信し続けています。主催するイベント情報やさまざまなインタビューなど。主なターゲットは学生や起業志望者です。例えばCOW社長室101というコーナーでは、企業のトップである社長にインタビューを行ったものを配信。学生が「こんな生き方カッコイイ!」など何かヒントになるものを得てくれたらいいな、と思っています。

Q. 学生を交えての起業という発想は、どこから?
A. 自分が学生時代にサークルを立ち上げたこともあり、そこでイベントや情報誌を企画。広告収入もあって、ビジネスとして成り立っていたんです。自分の経験からも学んで、学生が持っているパワーをどうにかうまく生かせないものかと…。学生ならではの強みである “時間・好奇心・体力・やわらかい頭脳” と社会人ならではの “スキル・経験・人脈” をマッチさせることで、強力なパワーが生まれると信じています。

Q. 最後に、学生に向けてのメッセージをお願いします。
A. うちで手掛けているプロジェクトは全てインターンシップ学生が絡んでいるし、社員も学生時代から手伝ってくれている人ばかりです。学生って、ミーティングしたら50個・100個とアイデアがポンポン出てきて、驚かされることばかり。大半は現実味を帯びないものでも、その中に1~2個キラリと光るものがあればいいって思っています。学生をマラソンランナーにたとえると、自分たちがガードレールとゴールテープの役目ですかね。道が逸れるようであれば軌道修正してあげられるから、目標に向かってがむしゃらにがんばってほしいですね。

PROFILE
高橋 康徳
宮崎県延岡市出身
テレビ西日本の報道記者を経て、スピンアウト有限会社を設立。民放テレビ番組の企画制作、ブロードバンドテレビ番組の企画制作などを行う。また、インターネット放送局カウテレビジョンを配信。インターンシップの学生スタッフ、若い社会人スタッフと共にその活動は多岐に渡る。
http://www.cowtv.jp

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