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福岡市って実際どんなところ? 福岡に住む外国人の声

れまで4回にわたって、福岡市のまちづくりやウェルビーイングに関する最新情報を特集を組んでお伝えしてきました。日本各地で住みやすさに関するランキングが発表されると、福岡の地名を聞かないことがないくらい、上位ランクインの常連です。では、実際に福岡で暮らしている外国人たちはどう思っているのでしょうか?福岡の国際的なコミュニティで暮らす人々に実際に話を聞いてみました。

スティーブン・ライマン

スティーブンの肩書きは「焼酎アンバサダー」。なんだか楽しそうな聞こえですが、つまりは彼、九州で圧倒的人気を誇る蒸留酒・焼酎に、どっぷりハマっているのです。九州大学で講師の職を得てニューヨークから福岡に移り住んだスティーブンに近況を聞きました。

Stephen Lyman

福岡に移住して4年目ですよね。移住してよかったと思いますか?
期待以上です。40代後半で引っ越してきたので、友だちをつくるのは大変でしたが、それはどこに住んでも同じ。今では一緒に過ごせる人、頼れる人など、仲間がいるコミュニティもできました。暮らすとなると、このような社会的な側面はとても大切ですから。福岡での暮らしはそれも含めて快適そのものです。

例えば?
安全で、便利で、価格も手頃。食べ物も信じられないくらい美味しいし、自然へのアクセスの良さも素晴らしい。ニューヨークでは、街を出るのに少なくとも1時間もかかるのが悩みでした。でも、ここ(中央区)に暮らすと、20~30分も行けば、まるで田舎にいるような気分になれます。本当にいいところです。

さらに完璧を求めるなら?
移動には、歩くか、自転車を使うので、街のあちこちで不便な交差点があることに気が付きます。しかし、トータルで見れば、福岡はとても住みやすい街であり、自転車も乗りやすい街。自転車があれば、ほとんどの場所に行くことができますし、しかも安全で便利です。

自転車に乗る時間はどれくらいですか?
1日に1時間ほど乗っています。通勤と用事で片道30分くらいかな。

福岡はサイクリストにとってどのような都市だと思いますか?
とても良い。改善すべき点がないわけではありませんが、車線も多く、駐輪場もたくさんあり、ほぼ平坦です。河川や海岸線に沿って走るのがお気に入りです。

Stephen Lyman

市内では多くの都市開発が進行中です。それについてはどのように感じていますか?
私は古いエリアや商店街が好きです。若い起業家がカフェやコーヒーショップを開くのを支援したり、インセンティブを与えたりして、彼らが興味を持つような場所を存続させることができればと思っています。今ではカフェは日本の文化の大きな部分を占めていますから。福岡市のFUKUOKA NEXTや、スタートアップカフェの取り組みも応援しています。小規模な案件へのサポートも増えたらいいな思います。

福岡のおすすめポイントは?
焼酎蔵が近いので、私にとっては最高の場所です。住みやすいし、便利だし、値段も手頃だしね。ここでビジネスを始めて成功した人もたくさんいます。もしあなたが起業に興味があるのなら、起業するためにとても良いリソースがありますよ!

最後に言い残したことはありませんか?
ゴミ!ゴミ!

ゴミ?
私はニューヨークに住んでいたのですが、ゴミの回収はいつもうるさくて不快でした。関係者全員にとってね。でも、ここでは静かで便利なんです。福岡では夜遅く、交通量の少ない時間帯にゴミを回収しています。福岡はちゃんとしてますよ!

リンダ・サザ

私(Fukuoka Now 編集長)より長く住んでいる外国人は、そう多くはありません。そのうちの一人が、ニューヨーク生まれのリンダ・サザです。 リンダは1981年から福岡に暮らし、英語を教え、2人の子どもを育て、そして自由な時間のほとんどを水上で過ごしてきました。 今も、今津から30フィートのヨット「さざなみ号」でのクルーズを楽しんでいます。また、長崎県佐世保市のパールシーでのセイルトレーニングツアーの船長も務めています。福岡は海が近いとよく言われますが、リンダほど海で過ごしている人は少ないでしょう。

Linda Saza

福岡在住43年目を迎えた今も、この街の良さは変わりませんか?
世界中を旅して、主要都市やマイナーな都市にたくさん行きましたが、福岡はすべてを兼ね備えています。言い換えれば、私が欲しいものが揃っているんです。山も海もあるし、食べ物も水も美味しいし、人も優しいし、経済もそこそこだし、貯金を使い果たさずに生活できる。たとえば、住まい。私は自分の家を持っていますが、仮に賃貸であっても、ニューヨークや東京のように法外な値段ではありません。 それに、どこへ行っても安全で清潔です。

交通機関はどうでしょう?
すべてがコンパクトにまとまっています。短時間で簡単に市内を移動できるのがいいですね。福岡空港に到着して、10分くらいで家に帰れます。私は車を持っていますが、もし持っていなかったとしても、地下鉄を使っても同じくらいの時間で移動できるはずです。地下鉄、電車、バスなど公共交通機関の充実ぶりは素晴らしいですね。これは福岡に限った話ではなく、日本中の交通機関が効率的で、安全で、清潔で、世界トップクラス。自家用車はあると便利ですが、福岡ではなくても何とかなります。

住み始めた当初と比べて何が変わりましたか?
コストコやイケアなど、外からの影響を受けることが多くなりましたね。外国人が生活しやすいような、ちょっとしたものが増えました。私が初めて福岡に来たときは、そんなものはありませんでした。神戸や横浜などにある外国人バイヤーズクラブにFAXでシリアルを注文する、そんなサービスはいくつかありました。今は、道を歩けば欲しいものはほとんど手に入ります。

お二人のお子さんもここで育てられたそうですね。学校はどうですか?
学校は良いですよ。福岡で「ああ、自分の子どもはあの公立学校には行かせたくない」と思うようなところはないと思います。アメリカでは、どこに住み、子どもがどの学校に通うかは大きな問題です。私の子どもたちは地元の日本人小学校に通い、その教育の質には満足していましたが、いずれはアメリカの大学に行きたいと考えていたので、中学校からインターナショナルスクールに切り替えました。理由の一つは、アメリカの大学を受験する際に、より有利な立場に立てること、そして、より私の経験に近いシステムと、英語でのサポート体制が整っていると感じたからです。とはいえ、福岡インターナショナルスクールが自宅の近くではなかったら、状況は違ったかもしれません。

女性が働き、生活する場所として、福岡をおすすめできますか?
女性にとってチャンスはたくさんあると思います。他の近代的な西洋の都市と比べても、ガラスの天井のようなものはないと思います。伝統的で保守的な大企業の内部など例外はあるでしょうが、今は正しいスキルセットを持ち、この時代にふさわしい分野にいれば、男でも女でもそれほど違いはないと思います。福岡には建築家の女性も複数いますし、医者もかなりの人数がいます。

福岡の楽しみ方は?
マリンスポーツです。1日1回でも海を見ることができれば幸せです。だから船に乗ることが多く、最近はボート漕ぎにもハマっています。ボート部を作ろうと考えています。愛犬とSUP、ボート、水泳、そしてヨット。海を見れば、私を見つけられる、と言ってもいいくらい、いつもいます。福岡は、私の理想にぴったりなんです。

Linda Saza

ジェームス・チェン

台湾出身のジェームズは、2017年に高級車(アストンマーチン、マクラーレン)の販売会社を設立して以来、福岡に暮らしています。オーストリアのウィーンで工業デザインを学び、様々な業界で働いた後、台北のこの自動車ディーラーグループに入社、現在は妻と息子と一緒に福岡に拠点を置いています。ジェームズのオフィスで、これまでの福岡での経験について話を伺いました。

James Chen

福岡の強みは何ですか?
何よりもアジアの中での立地。地図を見てください、真ん中に位置しています。だから、上海にも台北にも東京にも2時間以内で行ける。とても便利なところです。

住みやすさの点で、福岡が上位にランクインしているのはなぜでしょうか?
気候、公共交通機関、そして物価の良さです。治安もよくて便利だし、交通の便もいいし、行政の子育て支援も手厚くて感心しています。外国人であっても、自動的に児童手当が支給されます。

自分がここで得られる収入に満足しているのであれば、東アジアで最高の都市だと思います。もし私がこの街の海外プロモーションを担当するならば、「日本の中のスイス」というブランディングをしたいですね。すべてが上質で、ビジネスがしやすい。

会社では外国人を雇用していますか?
総勢25名のうち、私を含めて2名が外国人です。

James Chen

福岡市は人口が増え続けています。どう思われますか?
成長していますが、若くて優秀な人の多くは、経験や機会を求めて東京などの大都市に引き寄せられるように感じます。しかし、何年かすると、高い生活費に嫌気がさして戻ってきていますよね。

天神ビッグバンについてどう思われますか?
ええ、古い建物を壊して新しい建物を建てるのはいいことです。街をよりモダンに見せるためにね。それに、リッツカールトンホテル福岡のオープンの話には感激しています。台湾のお客さまは日本が好きで、毎年旅行される方が多い。もっと頻繁に来るようになるかもしれませんね!

移住を考えている外国人へのアドバイス
日本語と漢字を勉強してください。日本語が話せない場合は、多少の困難は覚悟してください。特に欧米人にとって、言葉は最大の難関です!

ティム・クロス

福岡大学人文学部で教鞭をとりつつ、日本茶をたしなみ、能や音楽を学び、福岡の博多祇園山笠祭りに長年参加。私が初めてティムに会ったのは、博多の有名な禅寺で行われた茶会で、彼は着物を着ていました。北九州で5年以上過ごした後、福岡に移り住み、妻と一緒に能古島で息子を育てています。静かで美しいこの島は、多くの人にとってリゾートや保養地のような存在ですが、ティムにとっては故郷とも呼べる場所です。誰もが能古島に移住できるわけでも、移住すべきでもありませんが、福岡にはこれだけ多様な選択肢があることは素晴らしいことだと思います。

Tim Cross

能古島に住むようになったきっかけは?
水辺にいないとダメなんです。福岡大学に就職したときも、海辺から自転車で通うのが夢のひとつでした。友人に「海の近くに住みたい」と言ったら、連れてきてくれたのが能古島。そのまま住みつきました。

移住してどうでしたか?
1996年のことです。30年、40年前に戻ったような感覚もありましたし、プラスもマイナスもありましたね。例えば、島の人間関係の濃さ。世代間の記憶がある環境ですから、それが、人と人との付き合い方の基礎になる。それをうまく利用することを学びました。

ともあれ、当時はウィンドサーフィンに夢中で私は海の近くに住みたかったんです。天気のいい日には、朝食前にウィンドサーフィンをして、学校で2、3クラス教えて、4時15分の船で帰ってきて、また海に出て…。1日に2セッションをこなすことができました。

今でもウィンドサーフィンをしているのですか?
今は、カイトサーファーになりました。SUPや水泳もするし、カヤックを漕ぐときもあります。次はフォイルかな。

Tim Cross

素晴らしい場所のようですね。
福岡のような、船で10分で行ける島がある都市が、世界にいくつあるのでしょうか?シアトルはフェリーで35分ですが、世界中を見渡しても多くはないはず。しかもここは、準国定公園ですから自然環境が守られてます。

島への移住は容易なのでしょうか?
準国定公園ということで、島に建てられる世帯数が制限されています。いきなり新しい建物を建てることはできないなど、規制はたくさんあります。

他に外国人はいますか?
今はあまりいません。アメリカ人が2人、カナダ人が2人です。

他に移住を考えている場所はありますか?
ないですね。ここは、ライフスタイルの宝くじに当たったようなものです。かつて暮らしていた北九州は家庭でのリサイクルも徹底しているし、病院ではなく自分の家で死にたいという人には、福祉も充実していました。でも、ここに暮らしたら、自然と島の土に溶けるまで、ここにいるんだろうなぁと漠然と感じています。

What’s Fukuoka City Really Like?

5回目の今回は当シリーズの最終回です。ようやくパンデミックから抜け出した福岡市が、これから世界をリードし、イノベーションを起こし続けることを期待します。福岡市の現状や、Fukuoka Now の編集記事について、皆さんの率直なご意見をぜひお聞かせください!
メール:editor (@) fukuoka-now.com

Fukuoka City x Fukuoka Now

福岡市 – Right Time, Right Place(ちょうどいいタイミングとちょうどいい場所)
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People
Fukuoka City
Published: Oct 7, 2022 / Last Updated: Oct 7, 2022

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