蕎麦は、お腹を満たす食材としてだけでなく、大人の「粋」を表す文化的側面もあることを、まず覚えておきたい。さっと食べる立ち食いスタイルの店もあれば、うどん店で麺の選択肢の一つとして提供されるし、酒と一緒に蕎麦専門店で嗜む等、様々な楽しみ方がある。今回紹介する蕎麦店「いまとみ」は、日本固有のものを丁寧に繋いでいきたいという店主の想いを、蕎麦店として表現する「おもてなしの場」だ。信頼おける熊本県水上村の生産者から届くソバの実を店内にある石臼で粗挽きし、わずかなつなぎを入れて毎朝手打ちする蕎麦は、蒸籠に盛られて提供される冷たい蕎麦「セイロ」や、温かい出汁がかかった「かけそば」などのメニューで食べることができる。忙しいランチ時には蕎麦単品でも十分だが、珍しい肴が揃っているのも同店の特徴の一つ。ここはひとつ、蕎麦の定番メニューの「にしん煮(鰊を醤油ベースで甘辛く煮たもの)」や、鴨も味わってもらいたい。もちろん、料理が出てくるまでの間は、日本酒を嗜むのが「粋」な蕎麦屋の楽しみ方。何を頼んでいいのかわからない場合は、付き出し3, 4品と日本酒半合(デザートに変更可)蕎麦のセット(¥1,900)もおすすめだ。
メニュー:せいろ¥840(大盛り+¥350、おかわり¥650)、かけそば¥840、海老天ぷらそば¥1,600、鴨焼き¥1,400、天ぷら盛り合わせ¥1,600、穴子の一本揚げ¥1,300、にしん煮¥900、だし巻玉子¥850、ビール(ハートランド)中瓶¥700、日本酒(100ml)¥500~600
Originally published in Fukuoka Now Magazine (fn201, Sep. 2015)