伝統的な日本髪に美しい着物姿。京都などで有名な芸妓ですが、芸どころとして栄えた博多にも芸妓がいます。その博多芸妓衆が所属するのが博多券番です。12月には博多芸妓の唄や踊りが楽しめる「博多をどり」も開催されます。
江戸時代からの歴史がある博多芸妓
博多に芸妓が誕生したのは江戸時代の中頃とされています。大阪の芸妓が長崎の茶屋に呼ばれて芸を披露していましたが、長崎での滞在が100日以下と決められていたので、しばらく博多に滞在して長崎に戻っていました。そのうちに博多に住み始める芸妓も現れて、これが博多芸妓のルーツになったと言われています。
もともと博多には芸事が好きな人が多く、芸妓の文化も受け入れられていったと考えられます。一時期は2000名を超える博多芸妓がいて、全国的に有名だったそうです。博多の芸妓はおおらかで心意気が良いと評判でした。
Photo from Hakata Kenban Photo Gallery
この博多芸妓が所属するのが博多券番で、芸妓の取り次ぎや出演料の精算などを行っています。2023年11月現在、博多券番には15人の芸妓が所属しています。以前はもっと多くの芸妓がいて券番もあちこちにありましたが、40年ほど前に券番がひとつに統一されました。九州で今も券番が残っているのは博多と長崎だけです。
芸妓は見た目だけでなく、芸も磨かなければいけません。芸妓の見習いを半玉と呼び、舞や唄、三味線などの厳しいお稽古をします。芸が認められ、晴れて一本立ちすると単独でお座敷への出演やお客様の指名が受けられるようになります。
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博多芸妓の舞や唄が見られる12月「博多をどり」
博多座では毎年12月に市民が参加するさまざまな演目が上演されます。そのオープニングを飾るのが博多芸妓衆が総出演する「博多をどり」です。2023年は新型コロナの影響で4年ぶりの開催となり、30回目の特別記念公演として12月2・3日に行われます。1年間の集大成として、博多芸妓の芸にふれられる貴重な機会です。
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博多をどり
2023年12月2、3日
会場:博多座
https://www.fukunet.or.jp/area/hakatawodori/
「博多をどり」のほかにも、博多芸妓が参加する祭りやイベントが年間を通して行われています。1月に十日恵比須神社で開催される「十日恵比須大祭」では、博多芸妓衆が揃って神社に参拝する「かち詣り」が行われます。5月の「博多どんたく」では、市内各所に設けられる演舞台に博多芸妓が登場して芸を披露します。この他にも博多芸妓が参加する行事がいろいろあるので、博多券番のサイトをチェックしてください。
博多芸妓に会える場所はここ!
祭りなどの機会でなくても、博多芸妓をお座敷やパーティに呼ぶことができます。誕生日や結婚式など、特別な機会にぴったりの華やかな伝統芸能を披露してくれます。また市内の料亭にお願いすれば、日本的なお座敷で博多芸妓の伝統的な芸を楽しむことができます。
ただし、芸妓を直接呼ぶとそれなりの費用がかかります。もっと気軽に楽しみたいなら、博多伝統芸能館に行ってみましょう。博多の総鎮守・櫛田神社の目の前にあり、博多の伝統文化を体験できる施設です。ここは博多券番の事務所と稽古場を兼ねています。
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博多伝統芸能館では月2回、博多芸妓による50分間の公演が行われています。唄や踊りを間近で見られるだけでなく、芸妓と一緒に楽しむ伝統的なお座敷遊び、質問タイム、記念撮影なども体験できます。この通常公演とは別に、要望に合わせて開催するリクエスト型の公演もあり、日時や公演内容を選ぶことができます。
問い合わせや申し込みは博多伝統芸能館のサイトからできます。月2回の通常公演は各回先着20名、参加費は3,000円です。当日空きがあれば電話での申し込みも可能です。
博多券番
https://hakatakenban.jp/
福岡市博多区冷泉町2-20
博多伝統芸能館
092-263-1187