寺社仏閣が多い博多旧市街と呼ばれる博多区の一画では、秋に「秋博」と呼ばれる、秋の博多を文化や歴史を感じながら楽しむことができる街中イベントが多数行われています。そんな中でも、私たちが気になったのは、博多の芸妓に変身できる体験です。博多織の帯を締め、白塗りに日本髪…。
集合場所は、出来町公園。歴史的文化財が多く残る博多の寺社町エリア・博多旧市街へと導くウェルカムゲート「博多千年門」の近くにあります。数日前にwebにて予約を済ませていたので、この日を緊張しながらも楽しみにしていました。
メイクを担当するのは、プロにヘアメイク・着付けを教えるヘアメイクアーティストの井手口円さん。全日本美容技術選手権で花嫁化粧着付部門で日本一にもなったことがある井手口さんの手にかかると、まるでまな板の上の鯉。フレンドリーな彼女と話をしている間にも、顔から耳、首もと、背中の方まで化粧が進みます。ムラやシワにならないように白色に均一に仕上げるのは、見ているだけでも難しそうです。本物の芸妓たちは、これを自分自身で仕上げるそう…
鏡を再び覗き込むと、白塗りの顔に、目の端と唇に紅を刺した知らない人が映っています。驚いている間にもヘアメイクの手は止まらず、かつらを被った”芸妓らしき人”が、戸惑った様子でこちらを覗き込んでいます。
メイクが終わったら着物の着付けです。今回は、既婚女性の最も格式高い礼装・黒地の袖が短い着物「留袖」です。白塗りと紅を刺した顔には黒が映え、引き締まった上品な印象です。献上柄の博多織の帯をキュッと締め上げ、ついに博多芸妓(姿)の完成です。
ヘアメイクと服装だけでここまで変われるものかと、もはや驚きでしかなく、美しい和装姿の自分に思わず微笑んでしまいました。これだけでも充分に満足しそうですが、ここからは外に出て写真撮影が待っています。しかもプロのカメラマンによる撮影です!変身する前までは「芸妓の姿になって街に出るなんて…」と萎縮していましたが、ここまで変身させてもらえると、まるで女優にでもなったかのように自信をもって歩くことができました。そんな心境の変化にも驚きです…
和傘や紅葉、竹などのセッティングがされている撮影スポットでは、カメラマンと日本舞踊の先生からポーズや表情のアドバイスをいただきながら、撮影が始まります。「歯を見せずに笑う」のが鉄則で、頭は真っ直ぐではなく、少し首を傾けておく、など、これから使えそうなコツも習います。何もかもが新鮮で、撮影もあっという間に終了です。ついて来てくれた友人は、驚きつつも、たくさんのシーンを撮影してくれましたので、パートナーや友人を連れて行くのもおすすめです。
撮影が終わり、着物から自分の服に着替えて、メイクを落としたら一旦終了です。なんだか魔法がとけてしまったような、少し残念な気持ちになりましたが、集合して終わるまでの約3時間は、変身の過程も楽しいですし、ヘアメイクや撮影、日本舞踊などのプロの方とも接することができる貴重な経験と、夢のようなひとときは一生の思い出です。
イベント詳細:Fukuoka Now 博多芸妓 体験
10月28日(土)、29日(日)、11月2日(木)、3日(金祝)、11月5日(日)、11日(土)、12日(日)