独特のスタイルが次々と生み出され、瞬く間に流行する日本のポップカルチャーは、国際的に活躍する多くのファッショニスタ達をも惹き付けて止まない創造性の宝庫。そして『大名』も本来、福岡を語るに外せないカルチャー発信地なのだ。
九州一の繁華街「天神」のデパート密集エリアから西通りを隔てて位置する大名はのんびりとした雰囲気。小綺麗なブティックや雑貨店、カフェが路面に並び、ウィンドウショッピングとおぼしき街歩きを楽しむ人々の間を自転車が通り過ぎて行く。時の流れは穏やかでも、そこから発信されるファッションはクールで、オシャレに敏感な大名ピープルは、カッコ良く見せるためならお金と手間隙を惜しまない。ここ大名には、東京に倣うだけでない明確な独自のスタイルがある。
ロンドンでファッションを学んだ福岡在住のスタイリスト峯野佑（ユウ）いわく、 サブカルチャーの中心、東京・原宿とここ大名を比較した時、「清潔感」が大名ファッションのキーワードになるとのこと。ボタンダウンのシャツ、プレスの効いたパンツ、ボウタイなどがその代表アイテムだ。また、欧米スタイルの影響も大きく、大名の古着屋では、欧米のショップから輸入された日本人にとって欧米らしいと感じる派手な色使いのものや、大胆なカットが際立つスリムなアイテムが人気がある。
「街行く人を眺めて、彼らの好みのスタイルを想像するのはすごく楽しい」と語るユウは、様々な物事からインスピレーションを得るという。多くの人が型にはまったスタイルをしていることに疑問を感じて雑誌の仕事を辞め、彼自身のオリジナルを求めてフリーランスとしてクリエイティブの道を追求している彼は、「福岡で新しいものを作りたい。皆がもっとクリエイティブになって欲しい。」と願う。「福岡は多くのミュージシャンやタレント、デザイナーを輩出しているクリエイティブな都市。インスピレーションを刺激する大名にある個性的な店々を覗いて、自分の感性を刺激するのも面白いと思う。」デパートにはまだ取り扱いがない、独創的なブランドやグッズを先駆けて見つけられるかもしれない。
Retro
Sherry’s and Mix
1-14-23 Daimyo, Chuo-ku, Fukuoka
Tel: 092-716-5591 (Sherry’s) Tel: 092-732-8555 (Mix)
Kogyaru
One Spo
2F Tenjin Core Bldg., 1-11-11 Tenjin, Chuo-ku, Fukuoka
Tel: 092-713-4682
Geek Chic
Cannabis
1-9-14 Daimyo, Chuo-ku, Fukuoka
Tel: 092-713-3555
大名はコンパクトにまとまっているので２、３時間もあればざっと見て回ることができるのも魅力。工房のようなお店からデザイナー自身が販売する店など、様々なスタイルをもつ感度の高い店が多く、店員たちとのお喋りを楽しみながら過ごすのもいい。大名の中では比較的大規模なショップ「Union3」は、様々なファッションを試してみるのにもってこい。男女共に服や靴、アクセサリーなど品揃えが豊富だ。「Spinns」では手頃な価格のアイテムが手に入るし、「Alley Cat」ではヴィンテージのヘルメットや英国製シャツ、ジャケットなどのインポートものが入手可能。「Fuctard」にはインポートもののスニーカーや、オーナー自らがデザインしたキャップが揃っている。好きなものを探してただただ街をぶらつき、冒険心と少しの決断力でビルの2階や路地裏にある隠れ家的ショップを発見し、とてもユニークなお買い得品を見つけた際には「出会うべくして出会った！」なんて大ハシャギすること間違いなし！のんびりとした雰囲気に浸ってクールな若者たちをウォッチングするのもいいし、カフェでまったり過ごしてみるのもいい。思い思いの過ごし方で大名のセンスを感じてほしい。
by Ian Duncan
Originally published in Fukuoka Now magazine (fn121, January, 2009)
