Places

Oita Weekend Getaway!

ョッピングや自宅でのんびりするのも好きだけど、外に出て、できれば旅行気分も味わいたいね。今度の週末なんかどう?移動も暇を持て余さない程度の距離がいいな。もちろん、自由に動き回りたいから、タイトに予定を組むのはやめよう。

急に思い立った「おでかけ」。どこにいく?どうやって?など考え進めると、他地域と異なる文化や自然が多い地域が福岡の隣にあることに気がついた。「決まり!土曜日の朝、車で出発しよう!」

Oita Weekend Getaway!

View Oita Weekend Getaway! in a larger map

–––––Stage 1
「週末は高速道路が渋滞するといけないから、早く出発しようね。」本当の理由が渋滞なのか、早くに行きたいからなのか、真意は不明だけど、朝8時に都市高速から太宰府インターに向かった。まずは身体を清めてから週末を迎えよう、と向かった先は全国に4万社ある八幡宮の総本宮、宇佐神宮。九州屈指のパワースポットとしても知られる場所だ。鎮守の森に包まれ、厳かな雰囲気漂う広大な境内には、国宝の本殿や独特の鳥居の他、樹齢推定800年といわれる御神木がある。この大楠に手を触れてパワーを感じ、宇佐神宮の作法である「二拝四拍手一拝」で参拝。賽銭の額はいくらでもいいのだけど、私たちは、ご縁がありますように、と「五円」をお賽銭箱に。
朝一番に神秘的なパワーに触れるのはやはり気持ちがいい。たくさんの写真も撮ったし、参道に店を構える親切なお母さんたちと話を交わしながら甘酒をすすり、さ、次へ!


宇佐鳥居: 宇佐神宮独特の鳥居。額や額束がなく、柱の上部に台輪が置かれているのが特徴。

宇佐神宮
大分県宇佐市南宇佐2859 (Google map)
Tel. 0978-37-0001
定休日:無
6:00 ~ 21:00(10月〜3月)、5:30 ~ 21:00(4月〜9月)
全国に約4万社ある八幡社の総本宮。日本古来の神(八幡神こと、応神天皇が主祭神)と、外来の仏教を共に信仰する神仏習合発祥の地ともいわれる。自然の中に神をみる信仰と、人間の生き方を求める仏の道の調和を示し、人と自然の関わり、共生のあり方に通じる。千年以上の永きにわたり守られてきた広大な棚田の農村景観で有名な田染荘を有した九州一の荘園領主でもあった。


宇佐神宮:日本を代表する人気ダンス&ボーカルユニットExileがお参りしたところ、ミリオンセラーのヒットとなったらしい。


夫婦石: 本殿へと続く階段の途中に不思議な形の石を発見。夫婦石と呼ばれているそうで、カップルで踏むと幸せになれるんだとか。

–––––Stage 2
ここ昭和の町には、デイープジャパンがある。昭和30年代のレトロな町並みをよみがえらせた町は、各店に伝わる昭和からの一品を販売する「一店一品」と、昭和から受け継いでいる「一店一宝」を探しに散策するのが面白い。大分県きっての大金持ちが昭和10年前後に建てた旧高田農業倉庫「昭和ロマン蔵」を拠点に、総延長550mの通りに商店が軒を連ねている。昭和55年から値上げをしていない大衆食堂や、お喋り好きなお父さんが店番をするお菓子屋、懐かしい学校給食を出すカフェに、おつかいに行ったことを思い出させる肉屋のコロッケなど、歩きながら思い出話も尽きない。


昭和初期に実際に街を走っていた車も展示。コンパクトな車体とインパクトあるボディカラーは今でも新鮮。

昭和の町
大分県豊後高田市新町989-1 (Google map)
Tel. 0978-23-1860(観光まちづくり課)
昭和時代の町並みをよみがえらせ、現在も営業を行なう商店街。昭和時代に一世を風靡したマニアックなアイテムが揃う有料展示施設(3館共通800円、小中高生560円)もある。


(Source)


肉の金岡の名物はコロッケ。さくさくの揚げたてコロッケを頬張りながら、街を歩こう。


ランチは大分の郷土料理をいただこう。小麦粉でつくったダンゴと野菜を味噌仕立てで食べる「だんご汁」と「とり天」。その名のとおり、天ぷらの衣をつけてカラッと揚げた鶏肉を、かぼすポン酢とカラシでいただく。

–––––Stage 3
お腹を満たした後は、美しい景色を楽しみながらしばしドライブを。国東半島の先端に向けて緩やかな起伏にとんだ海岸沿いを、遠浅のまぶしいビーチを眼下に見据えながら車を走らせると、長崎鼻リゾートに到着する。春は、菜の花の黄色が一面に広がり、空と海との青色とのコントラスト美しい季節だ。ここ真玉海岸の夕日は、大分県内で唯一「夕日百選」にも選ばれたとか。一日ゆっくり過ごすのもいい。


Rapeseed fields (Source)

また、最近この施設内には、この美しいロケーションを活かした体験型アートも新たに加わった。ひとつは、韓国の現代美術界を代表するアーティスト、チェ・ジョンファによる、花の段々畑全体と大地とのコラボレーション、花のピラミッド。そして、オノ・ヨーコのインストラクション(指示書)集「グレープフルーツ」から選ばれた作品が刻まれた「見えないベンチ(Invisible Benches)」。あちこちに設置されているので、それらを探索しながら彼女が提案する観念の世界に身を任せてみるのもいい。またオノ・ヨーコが信じる「念願の木」が、長崎鼻の月桂樹に託されている。願いごとを書いて枝に結わえると、アイスランドに設置された「イマジン・ピースタワー(平和の塔)」に送られるスピリチュアルな企画もある。
大分県内で唯一「夕日百選」にも選ばれた真玉海岸の夕日もお見逃し無く!


ここで育った花の種を昔ながらの圧搾法で搾った油は、香り高くお土産に最適。(菜の花油、ひまわり油)

長崎鼻リゾートキャンプ場・海水浴場
大分県豊後高田市見目4060 (Google map)
Tel. 0978-54-2237
9:00 ~ 17:00
定休日:木曜日(7,8月は除く)
バンガローのレンタル(1泊2日5,000円〜)もあり、海水浴も楽しめる夏場は特に人気。季節によって、菜の花(3月中旬〜4月中旬)、ヒマワリ(7月中旬〜9月中旬|80万本)、コスモスなどの花々も咲き誇る。隣接して海水浴場があり、バンガローから水着で歩いて行ける。磯釣りも楽しめる。

–––––Stage 4
せっかく大分に来たなら、温泉を忘れてはいけない。源泉数、湧出量ともに日本一を誇る別府へ向けて車を走らせる。途中には、ぶどうの名産地として知られる安心院にワイナリーがあると聞き、16時ちょっと過ぎに立ち寄るもなんと閉館は16時…。17時まで開店の施設内のショップで試飲し、気分だけワイナリー。美しい施設だけに残念。

安心院葡萄酒工房
大分県宇佐市安心院町下毛798 (Google map)
Tel. 0978-34-2210
9:00 ~ 16:00
定休日:火曜日、年末年始
霧深い盆地である安心院はぶどうの名産地。地元で穫れた葡萄がワインになるまでを、畑、醸造、貯蔵、試飲とステップ毎に見学できるワイナリー施設は、緑あふれる森の中に位置し、レストランやショップも併設。


安心院ワインはもちろん、安心院で育ったハーブを抽出してつくったノンアルコールのハーブウォーターもおすすめ。温泉あがりに。写真はローズヒップ、レモングラス。

–––––Stage 5
安心院から別府へ向けて車を走らせると、山道の途中で藁葺き屋根のミョウバン採取施設「湯の花小屋」が目に飛び込んでくる。背丈ほどの湯の花小屋が立ち並び、湯けむりが立ちこめる景観は、ここ明礬温泉独特のもの。今晩は、ここ明礬温泉に宿をとってある。乳白色で硫黄成分が多く含まれた明礬硫黄泉は、優れた温泉効果があると評判だし、何よりも、温泉蒸気で蒸した「地獄蒸しプリン」の元祖といわれる「岡本屋」の旅館があると聞いたら、プリン好きとしては泊まらないわけにはいかない。

温泉内には、複数の家族風呂や立ち寄り湯(300円〜)もあるが、宿をとっていただく旅館の食事も温泉の楽しみの一つ。地元の食材を使って地元の調理方法で提供される品々は、パワースポットで迎え、温泉でデトックスされた体にやさしいものばかり。見た目美しく盛りつけられた料理に箸は止まらない…。

温泉は、到着して一風呂、食事の後に一風呂、そして、朝食前には庭園に寄り添う露天風呂に朝日を拝みながら入り、心身ともにリラックス。明治時代から続く、ここ岡本屋の青みを帯びた白濁色の湯は、薬効とやわらかな肌触りが抜群に心地よく、去るのが惜しい。

ここで豆知識をひとつ。別府市内各地には温泉が数百あるが、歴史の異なる8カ所の温泉郷を中心に分布しているため、これらを総称して別府八湯(別府温泉、浜脇温泉、観海寺温泉、堀田温泉、明礬温泉、鉄輪温泉、柴石温泉、亀川温泉)と呼ばれている。

明礬温泉
別府の中で最も標高の高い、地熱地帯に位置する明礬温泉は、江戸時代からミョウバン(湯の花)が採取されてきた。「湯の花小屋」が建ち並び、湯けむりが立ち込める景観は、国の重要無形民俗文化財にも選定されている。硫黄成分が多く含まれる蒸気で蒸し上げる「地獄蒸しプリン」も人気(高温の温泉蒸気を地獄、と呼ぶ)。


地獄蒸しプリン、温泉卵、温泉成分を結晶させた天然の入浴剤「湯の花」は、売店で購入可能。

岡本屋旅館
大分県別府市明礬4組 (Google map)
Tel. 0977-66-3228
http://www.okamotoya.net
大人ひとり1泊2食13,800円〜(チェックイン15:00~、チェックアウト10:00)


大分の食材をふんだんに使った料理。季節の野菜やお肉も地獄蒸しで、旨味が凝縮されている。


湯の花小屋を型取った器に盛りつけられた天ぷら

竹瓦温泉
明治12年の建築時は竹屋根葺きの浴場だったため、この名前がついた。現在の建物は昭和13年に改築された木造建築。寺院などに見られる唐破風造り(からはふづくり)の屋根と大浴場の他に砂湯がある。別府温泉のシンボル。早朝から入れる人気の市営温泉。
・大分県別府市元町16-23 (Google map)
・0977-23-1585
・6:30~22:30
・定休:12月の第3水曜日
・普通入浴100円
http://www.city.beppu.oita.jp/01onsen/02shiei/04takegawara/takegawara.html

–––––Stage 6
心機一転、宿を後にして向かった先は、別府の伝統文化「竹細工」を見るべく伝統産業会館へ。大分県は真竹の生産量が全国第一位。その真竹を主材料として伝統技法を用いて手作りされる美術工芸品から台所用品までの品々は、現代でも愛用者は多い。そもそもは、江戸時代に別府温泉の名が全国に広まったことをきっかけに、湯治で訪れた人々が滞在中に使用した竹細工の台所用品が、土産品として広く知られるようになり、地元産業として根付いたのが今に続く所以だとか。

竹細工伝統産業会館
大分県別府市東荘園8-3 (Google map)
Tel. 0977-23-1072
8:30 ~ 17:00
定休:月曜日(祝日の場合は翌日)
入館料300円(小中学生100円)
竹と人との関わりをパネルや作品と共に総合的に展示。優れた技法にによる芸術作品の他、インテリア製品などを展示。事前に申し込むと、竹細工の体験も可能。

–––––Stage 7
なぜ大分に香りの博物館があるのか、を敢えて問う必要は無い。膨大な数の香りに関する資料や収蔵品が揃う近代的で美しい施設が、別府大学によって運営されている。

何と言ってもお薦めは調香体験。香りの構成や特徴を学びながら、自分の好みの香水を作ることができる。大人の知的好奇心を満たしてくれる体験でもあるし、特別なお土産まで持ち帰ることができるので、後々楽しむことができる。

そして、女性ならず男性諸君にも「最高のデートスポット」であると覚えておいてほしい。調香の間に時間を持て余すようなら、隣室にはラベンダーの香りを楽しむために、リラックスチェアが用意された静かなアロマルームがあるので、ここで一休みして待つこともできる。昼寝を楽しんだ後には、満足した彼女とランチへと繰り出そう。

大分香りの博物館
大分県別府市北石垣48-1 (Google map)
Tel. 0977-27-7272
10:00 ~ 18:00
定休:無
入館500円(大学高校生300円、小中学生200円)、調香体験2,000円、アロマルーム500円
http://oita-kaori.jp/
膨大な数の香水コレクションにはじまり、香りの歴史と人々との関わりなどが、貴重な収蔵品と共に展示されている。

–––––Stage 8
楽しいアクティビティの後は、鉄輪温泉内にある公営の地獄蒸し工房で、江戸時代から伝わる伝統の料理法で少し遅めのランチ。人気も高く、週末は込み合うので時間に余裕を持っていきたい。少し歩いて鉄輪名物の旅館女将が手がける手づくり豚まんを頬張ったり、別府りんご園の人気商品アップルパイをデザートに購入するのもいい。

地獄蒸しは、塩分を含む温泉の蒸気を利用し、高温で一気に蒸し上げるため、食材の味が凝縮されて何も付けなくても美味。食材の持込もokだし、周辺の店で野菜や肉、魚介類を購入することもできる。(蒸し時間の目安:玉子10分、芋20~30分、ほうれん草2~3分、カニ・海老15~20分)。

鉄輪温泉
大分県別府市風呂本
別府八湯を代表する温泉郷。街のあちこちから湯けむりが立ち上り、多くの共同浴場、旅館、土産店が立ち並ぶ。名物「むし湯」はサウナ感覚でお試しあれ。珍しい足蒸し湯も無料で楽しめる。
http://www.kannawaryokan.com/kamap.pdf

地獄蒸し工房 鉄輪
大分県別府市風呂本5組 (Google map)
Tel. 0977-66-3775
9:00 ~ 21:00(受付20:00迄)
定休:第3水曜日(祝日の場合は翌日)
地獄蒸し釜基本使用料(30分以内)500円

鉄輪豚まん本舗
大分県別府市井田3組 (Google map)
Tel. 0977-66-6390
9:00 ~ 16:00
定休:第2月曜日

別府りんご園
大分県別府市風呂本5組(地獄蒸し鉄輪工房の斜め前)(Google map)
080-6403-2242
焼き上がり時間9:30 ~ 10:00頃
定休:水曜日
アップルパイ250円

–––––Stage 9
こんなに近場で旅行者気分を味わえることを、少々驚きながら、お腹も脳みそも満たされた後は、総まとめにこの旅を総観してみることに。

別府一の標高を誇る鶴見岳山頂までロープウェイがあるから、まさにお上りさんの骨頂を堪能するのだ。別府湾を一望し、遠くは中国四国まで望むことができる景観に、自然に密着した大分での二日間が走馬灯のように思い起こされる。海、山、温泉が揃う美しい地域が、週末に訪れることができる距離にあることに感謝しつつ、美しい景観の九州高速道路を走らせて帰途についた。

近鉄・別府ロープウェイ
大分県別府市南立石寒原10-7 (Google map)
Tel. 0977-22-2278
9:00 ~ 17:00(季節により時間変更あり)
往復1,400円(4才以上〜小学生700円)
標高1,375mの鶴見岳山上までロープウェイで約10分。山頂からはくじゅう連山や中国四国まで一望できる。運転は15~20分間隔。夜景鑑賞ができるナイター営業(最終20:30発、下り21:00発)の日程は事前に問合せを。


ロープウェィ駐車場に隣接する九州焼酎館には、九州各県の焼酎300銘柄が揃う。焼酎ゼリー1個230円(アルコール分3%)

–––––
福岡から
JR(約2時間)_博多駅(特急ソニック号)→別府駅
バス(約2時間40分)_博多バスターミナル(高速バス)→別府北浜

Originally published in Fukuoka Now Magazine (fn172, Apr. 2013)

Category
Oita Prefecture
Published: Mar 28, 2013 / Last Updated: Apr 1, 2016

コメントを残す

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください

ページトップに戻る