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ベジタリアンはツライヨ

8カ月前から福岡に住むことになったんだけど、ベジタリアンとしてこんなに苦労するとは想像だにしなかったわ。仏教を重んじる地域だから肉類が入っていない料理が当然のようにあると思ってたのが間違いだったわ。どうやら日本では、肉や魚が使われていない調理は不完全だと思われているみたいね。学食のサラダにはハムが入っているし、コンビニの野菜と卵の寿司には魚の卵が使われているし、まるでお約束みたい。博多名物の豚骨ラーメンの肉抜き調理なんてそもそも論外だし、うどんの出汁にも魚が使われているってきいたわ。残念だけど、ほとんどの食事に肉や魚が使われていることって、菜食主義者への理解不足が要因であることは否めないわね。確かにベジタリアンはカタカナ表記の外来語だし馴染みがないのは分かる。レストランのスタッフにベジタリアンについて説明する必要はないと思うけど、何が食べられないかを伝えないといけないのから面倒なの。「乳製品や卵は食べるけど、肉や魚は外してね。」と説明すると、困惑したような表情で「ベーコンは大丈夫?カツオダシは大丈夫?」なんて漫才のようなやりとりをする羽目になるからね…。

私の出身イギリスには、当然のようにベジタリアン向けメニューがあるし、移動販売のスタンドにすらベジバーガーくらいは揃っているから、日本にはそれらが無いことにびっくりしているわ。日本に到着してすぐは学食のメニューに私が食べられるものがほとんどなく、素うどんで2週間を過ごす羽目になっのはキツい洗礼だったわ。ダシが効いていないスープに麺とネギが入っただけのものは、ダイエットには効果的だったけど本気で空港に戻りたいと思ったわ。しかも大学内だけの話でなくどこもそう。天神でスターバックスを見つけたときに「ここならイギリスと同じよう、ベジタリアンメニューがあるはず!」とはやる気持ちを抑えつつ、親切に英語でも表記された「チーズ&キノコのサンド」を見つけて、すぐにかぶり付いたの。「あれ?」今まで味わったことのない感覚に恐る恐るパンをめくってみたら、チーズとキノコ、って書いてあったのに大量の牛肉が!大半の人はサンドに肉が入っていようと気にしないとは思うけど…。

誤解のないように言っておくけど、福岡のショップやレストランで働く人たちは、サービスも気持ちも素晴らしいことは間違いないわ。私と厨房との板挟みになりながらも、私が食べられそうだと思われるもの(それが本当に私が食べられるものであるかは別として)を提案してくれた親切なウェイトレスや、豆腐でできているとは思えないほど創造的で美味しい料理を作ってくれる友人、そして、私のためにベジタリアンメニューを作ってくれた学食の女性。みんな最初は困惑するものの、その後は柔軟に思いやりをもって対応してくれるから、とても感謝しているわ。唐揚げ丼の肉なしを注文してももう笑われなくなったしね。

日本人が食に対して並ならぬ情熱をもっていることは、テレビ番組をみても分かるし、私が国内旅行をすると言えば、日本の友人たちは地元料理を熱心に薦めてくれるから、この情熱は、ベジタリアンに向けられることもあるんじゃないかとも思うの。そうするとベジタリアン向けの海外の食べ物なんかも豊富に揃うようになるんじゃないかしら。それまでは、ベジタリアンの皆さん、これをメモして注文の際に利用してね。「コレハ肉カ魚ガハイッテイマスカ?」。「もちろん入っていません。」と答えが返ってきても私が冒した失敗を思い出してみて。他に使えそうなことをナウのwebに書いておくから参考にしてね。


サラ・ウィテカー
出身:英国
学生&英語教師

Originally published in Fukuoka Now Magazine (fn162, June 2012)

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Fukuoka City
Published: May 30, 2012 / Last Updated: Jun 13, 2017

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