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不可解なニッポンのクリスマス

が聞いた話ですごいのがあるんだ。昔、戦後日本にクリスマスが入ってきたばかりの頃、なんとある東京のデパートはイエスキリストとサンタクロースをこじつけて、十字架に張り付けになったサンタの巨大ポスターを壁面に飾ったんだとか。今じゃ笑い話かもしれないけど、ありえないよね。

僕にとって、キリスト教とは全然関係なく、ただ派手にお祝いする日本のクリスマスってやっぱり“変”に映っちゃう。街には競うようにド派手なイルミネーション。恋人達には欠かせない記念日で、イブの夜には決まってホテルやレストランは若いカップルでいっぱいになる。さらにクリスマスはお店側にとっても最高に稼ぎ時。お店やデパートでは何故かケンタッキーのチキンが飛ぶように売れ、デコレーションケーキの箱が山積みされる。しかもこの“お決まりクリスマスディナー”をゲットするために何日も前から予約する人たちがいるんだからビックリ!忘年会シーズンとも相まって最高潮に盛り上がる“パーティーやイベント”って感覚が強いんじゃないかな。そんな日本のクリスマスイベントをさらに盛り上げるのは、クリスマスキャロルを歌ってくれるロボットサンタのおじさんたち。でも定番のベートーベン「第九」に代わって街中で「戦場のメリークリスマス」が流れるのはどうしてなの?

そもそも僕の国みたいなキリスト教圏では、クリスマスは国民の休日。街は静まり返りみんな家族と過ごす。家族、親戚、ごく親しい友人にプレゼントを送ったり、生木のクリスマスツリーの香りや七面鳥のロースト、そしてホームメイドのフルーツケーキをデザートに楽しむ。そうやってキリストの誕生を祝うんだ。それなのに何故、サンタのおじさんが主役になってるか、それが気になるんだよね。

「アレ?」って思うことがたっくさんある日本のクリスマス。でも、逆の見方をすれば、地理的にも文化的にも決して馴染みそうもない、かけ離れたこの日本に、クリスマスという文化がどんな形であれ根付いているのも確か。日本って、昔から他国の文化を取り入れ、それを日本風にアレンジしちゃう器用な国だから。クリスマスもいろんな海外のグッズから神聖なる伝統までを日本なりに素早くキャッチして、ミックスしっちゃってるって感じで、ある意味おもしろいのかも。

あ、そうそう日本のクリスマスに欠かせないもの、まだあった!決まってこの時期、サンタの格好をさせられる“ガイジン”のみなさん。100%同情するよ。でも少なくとも、サンタにはなっても、もう十字架に張り付けになることは無いだろうから、やってみるのもいいのかも。
ドォデショ?

Originally published in Fukuoka Now magazine (fn96 Dec. 2006)

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Fukuoka City
Published: Dec 1, 2006 / Last Updated: Aug 1, 2019

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