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日本の後味は『見て見ぬ振りの尻切れとんぼ』。

くらカナダ人の僕でも今回だけは大らかに振る舞えない…。職を失った今でも、何とか生活はできているけれど、前職場のお陰で、数週間もの間、不安や怒りからくるパニックや鬱と戦うハメになったし、しかも、僕みたいな外国人が今、日本中に溢れている。年末も迫る今の時期に、生活費の心配は愚か、職が見つからなかった万が一のことを考えて、国へ帰る飛行機代の計算もしておかないといけない。こんな状況での職探しは、いちいち怒りが込み上げてくる。外国人だから「国に帰れば終わり」で済むってこと?

今となっては人それぞれ色々な思いがあるようだけど、突然のニュースに関わっていた人のほとんどがパニック状態になってたよ。払い込んだ授業料を心配する生徒はもちろん、支払われないままの給料についても。みんな生活がかかっているからね。気楽さ簡単さがウリの英会話教室だったことは確かだけど、こんなにいともたやすく止めてしまうことってアリ?

駅前のどこにでもあって、講師は全員外国人という手法が当たって急成長したその会社は、生徒にとっては当然、働くスタッフ、外国人講師にとってさえも、すごく便利なシステムだったんだ。給料も良かったし時間帯も厳しくないし、新任講師のトレーニングはたったの一日!長い目で見て有望な仕事ではないけど、2年という短い契約でも、わざわざ外国から来るのに十分納得できるシステムだったんだ。

でもこの手軽さが長続きしなかった理由かも、と最近は考えるようになったよ。あまりにも手軽だったから、遂には運営に歪みが出てうまく回らないようになったんだ。

そして、それを埋め合わせる為に考えられた違法な契約方法。これは許されるわけがないよね。様々な角度からお咎め(おとがめ)が入るけど、どんなに周りで騒がれていようとも会社内には「ご安心を!」みたいな通達が出回っていたんだから、今考えると恐ろしいよ。

遂にお馴染みの「ピンク・バニー」共々、皆が青ざめちゃうハメになったのは、当時の社長退任の通達と会社破産のレポートがFAX(!)で届いたときだよ。今となっては、だけど、全くもって陳腐な通達を「まだどうにかなるだろう…」と信じていた自分の馬鹿さかげんには涙が出そうだよ。

今回の自分の経験を通して、法人の活動そのものが、想像以上に僕たち個人の生活への影響力をもっているってことを痛感したよ。儲かっているとかそんな次元ではなく、だよ。そして、さらに違和感を感じているのは、その当事者を責めるばかりの世間のあり方、マスコミの伝え方。

僕は、いったん起こってしまったことや、起こりそうなことを変えていく責任は世間やマスコミにもあるんじゃないか?と思うんだ。結局は、僕らひとりひとりが「簡単さ・手軽さ」を求めるばかりの結果がこれなんだから。。。
だからこそ、手軽に「国に帰れば終わり」で済ませてはいけないと僕は考えている。似たようなことが二度と起こらないように、僕らは何をすべきか?『知らない、関係ない、では済まされないのが今の日本だよ。』

アレックス・ディーコン
カナダ出身 前NOVA教師

Originally published in Fukuoka Now magazine (fn108 Dec. 2007)

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Fukuoka City
Published: Dec 1, 2007 / Last Updated: Aug 1, 2019

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