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武道

岡で挑む大和魂. そもそも武道は、防衛手段の1つとして相手にダメージを与えるために始まった。それがだんだん、肉体的な強さだけでなく精神的な強さも必要なものとして変化をとげる。最近では男女を問わず武道が身近になってきていて、トレーニングが生活の中心になっている人がいたり、運動不足解消やストレス発散、はたまた脂肪燃焼のために!とジムに通う女性も多い。どんな形であれ、武道を通して人は身体的にも精神的にもタフになり成長できる、という事なのだ。

これを読んでいる人の中には「武道をやってみたいけど、筋肉はないし、体力もない。それに攻撃的なイメージもあるし…。」という人もいるかもしれない。が、それはちょっと違う。特に日本の武道といえる柔道や合気道は、強さだけではなく相手を尊敬することから始まり、己に勝つためにトレーニングに打ち込む。その鍛錬の成果は、後から鏡のように映し出されるというから、戦うためだけじゃなく、自分自身を鍛えるためにチャレンジしてはどうだろう。ちなみに太極拳は、ゆるやかな動きでリラックスすることができて、週に1回のトレーニングでOKなので初心者向け。上級者にはタイのキックボクシングであるムエタイもいいかもしれない。かなりハードなトレーニングが週4回くらい必要とのこと。合気道は自分のメンタル面を向上させる意味合いが強い。
こんな風に武道にもたくさん種類があるし、最近では福岡にも素晴らしい道場が増えてきた。多くの外国人が柔道や空手、合気道のルーツは日本だと知り、実際に道場に足しげく通っている。道場ではみんな平等。さあ、門を叩いてみよう。
ストリート系?それともスポーツ系?

基本的に武道は大きく分けて『ストリート系』と『スポーツ系』の2種類に分けられる。ストリート系とはいわば、自己防衛のこと。襲われた時の自衛手段として有効なストリート系は、相手に対して何でもアリでルールはナシ!試合もないし、グローブなしの素手だ。かたやスポーツ系はスポーツ精神に乗っ取った運動競技のため、ルールがあるし、試合もある。しかし、どちらもゴールは同じ。何のスタイルであったとしても相手をコントロールする事が重要で、異なる点はトレーニングの内容だろう。
ストリート系のトレーニングは難しい。なにせトレーニング中は相手にケガをさせることはできないので、コントロールしながら練習をしなくてはならないからだ。例えば目への攻撃を習っても、当然ながら実際に練習で行うのはNG。一方スポーツ系のトレーニングでいいのは、全身全霊でぶつかっていけるという点。例えば柔術から発展した柔道については、ストリート系のトレーニングのような危険な行為はない。ダメだ…と思ったらギブアップする。ただ、顔を殴ってはいけない等のルールを日頃のトレーニングで叩き込まれているため、何かあった時とっさに反応できないという弱点も。
もちろん、どっちが良くてどっちが悪いというのではなく、あなたが何をしたいかが一番大事。もちろんインストラクター選びも肝心だ。

 

目的だって人それぞれ

エクササイズ
武道は、健康でしなやかな体を保つエクササイズとしてピッタリ。

自己防衛
犯罪が増える昨今、自己防衛はとても大事なこと。トレーニングを積んでおけばいざという時に準備万端だ。

出会い
厳しいトレーニングを通して、同じ目的意識を持った一生ものの仲間を得られる。

精神統一
合気道のように、闘志を持ちつつ心をおだやかにしていく、精神統一の役目を果たすものもある。

キャリア
秀でた才能を持った人はいるもの。彼らはトレーナーや選手としてワールドワイドに活躍している。

目的?楽しいからっ!
空いている時間を使ってトレーニングするのは、自分の知らない一面を発見できるし、何よりも楽しい!

武道にどっぷりはまっている外国人は、もちろん福岡にも。
みんなそれぞれの志を胸に、日々トレーニングに励んでいるのだ。

ドゥウェイン・パーソン/活気道柔術
日本で習い始めたのは89年。当時、流行っていた空手がやりたかったけどいい道場がなくて、コミュニティーセンターの新合気道を見学して即決!その時の井上先生の指導方法がすごくわかりやすくて。その後、先生が自身の道場へも声をかけてくださったのが縁で今の僕があるんだ。先生の武道スタイルのメリットは健康促進と必要に応じての自己防衛。後に、先生は武道スタイルを発展させ、活気道柔術を開始。もちろん僕以外の外国人がそこでトレーニングすることも歓迎してくれたし、本当に健康的なエクササイズ。関節技、グラップリング(組技)などを行うけど、何より自分自身や相手の事を思いやれる事が大切。皆さんもぜひチャレンジを。

ニール・ウィリアムズ/ブラジリアン柔術
もともとは合気道の練習をするために福岡に来たんだ。でもある日、友達と柔術のサークルに友達と行った時にもう釘付けになったね!何より実践的なのがいい。そしてとっても楽しいんだ。自信もついたし、友達もできた、すばらしい先生達とトレーニングができるのが嬉しい。体の調子もとってもいいんだ。グッドルッキングになれるし(健康的という意味で!)。ちょっとほめ過ぎかな(笑)ブラジリアン柔術は、ブラジルで発展した組技格闘技で、柔道と日本の古流柔術がルーツなんだ。パワーよりテクニックを重視するのが特徴で、その事はたくさんのスパーリングを通して学ぶ事ができる。やってみたい人は道場に来てみて!
クィント・ボールドウィン/沖縄空手
日本でのトレーニングは、アメリカでのそれと全く違ったものでした。アメリカで感じていた、何だか謎めいた曖昧な感じがないですね。日本では、地に足がついて、先生は全ての質問に即、答えてくれます。その違いにびっくりしました。道場に慣れるには少し時間がかかったけれど、仲間はいつも優しく接してくれましたね。沖縄空手はセルフディフェンスです。突きや蹴り、動きなど決まった型を習うのが基本。楽しんで、一生懸命トレーニングして、もし出来ないことがあっても、イライラしないで頑張ってください。先輩達がいつもサポートしてくれますよ!

ジェイミー・ライト/キックボクシング
ここに来るまで格闘技をしたことなんてなかったけど、テレビでKー1を見て、すっかり格闘技の魅力にはまってしまったよ(笑)。それからだんだん見るだけじゃ物足りなくなって、このキックボクシングのジムに通うことにしたんだ。それがきっかけ。早いものでもう始めて1年半、そろそろ試合で実力を試してみたいな。このジムにはシェイプアップが目的で通っている人もいるから、女性のメンバーもいるんだよ。プロを目指したり、ダイエットだったり、みんなジムに目的は様々だけど、スタッフの人たちも含めてみんなとても仲良くしているよ。興味もった人はジムまで遊びにきてね。どんな人でも大歓迎だよ!

ジョン・ペリー/合気道
91年に地元バンクーバーで、合気道の指導をしていた小柄な女性がどんな大男でも楽々と投げ飛ばす姿に目を奪われました。その彼女の師である管沼師範(福岡)がバンクーバーのセミナーに参加した事がきっかけで、管沼師範から指導を仰ぎたいと思うようになったんです。師範の教えは「合気道とは、競争や試合ではなく自己研鑽である。“今、ここ”を大切に生きること、自分自身に勝つ“正勝吾勝”、そして個々の違いを尊重しながら皆と調和する“和而不同”が最も大切である」というもの。僕もこの事を深く胸に刻んで取り組んでいます。

リュック・フーシャー/弓道
もっと強くなりたいと、フランスで柔道を習い始めたのが武道との出会い。さらに世界各地で様々な格闘技を学んで、空手三段、居合道四段、弓道錬士五段を持ったんだけど、日本文化に強く惹かれてて今は弓道にのめり込んでいるよ。日本での弓道の稽古は、真髄にたどり着く迄が大変だけど、実に魅力的なんだ。そう、武道のおかげで、人生のあらゆる場面で役立つ強い心と体を手に入れることができて、心から良かったと思っている。自分は日本に住んでいる外国人弓道インストラクターに過ぎないかもしれないけど、興味を持ってくれる人たちと共にこれからも頑張っていくよ。
女性だって強い!


意外に知られてないが、武道の世界では女性の活躍も盛ん。福岡では毎年12月に福岡国際女子柔道選手権大会も行われている。女性にとって最も大変なことは、男性から対戦相手として平等に扱ってもらうことかもしれないが…。そこで、実際に福岡でトレーンングに励んでいる、アイルランド出身のレイア・ケネディーさんにその辺の事情を聞いてみた。

「最初に武道の世界に触れたのは15歳の時。テコンドーを習い始めたんだけど、メンバー7人が全員黒帯のイカつい男性という中で、私1人だけが女性だったの。でも特別扱いはなくて、他の男性と同じようにトレーニングに励んだわ。そして、日本に来てすぐ空手を始めたの。来日前から、日本人はトレーニングに対して一生懸命で、武道でいう所の大和魂を持っているって評判だったからすごく楽しみだった!
これを読んでいる人の中には、スパーリングでケガなどするんじゃないかって心配する人もいるかもしれないけど、トレーニングではいつも相手の事を考えてコントロールをするから大丈夫。それと、日本ではたいてい男性と女性のクラスは別々だから初心者の女性も安心よ。でも上達したらぜひ男性とトレーニングすることも挑戦して欲しいな。
外国人には是非、日本にいる間に武道を体験してほしい。多くの道場が外国人を快く受け入れてくれるし、また道場側も外国人とトレーニングをすることにとても関心を持っている。実際、私が道場のPRをすることで注目を浴びて、道場の良さを広めることができるって素晴らしいもの。多くの人とトレーニングすることで友達ができるし、私も格闘技を通してたくさんの友達ができたの。健康にもいいし、自身もつく。もちろん自己防衛も身に付く…ワオ、やっぱりいい事づくしね(笑)。最後に言いたいのは、何かを始めるのに何歳になっても決して遅すぎるということはないっていうこと!

公園で太極拳
アンドリュー・ライナムが勧めるのは太極拳。太極拳の特長は、呼吸、姿勢、バランスに集中しながら気持ちをリラックスさせること。彼は実際に大濠公園で太極拳のレッスンを行っている。興味のある人は彼に連絡してみよう。毎週日曜日10:00-、1レッスン:5,000円(初回は無料)

Originally published in Fukuoka Now magazine (fn93 Sep. 2006)

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Fukuoka City
Published: Sep 1, 2006 / Last Updated: Jun 13, 2017

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