カウンターの奥に時折上がる炎と、歓声。ここタキビヤの名物・藁焼きは、味もさることながらエンターテイメント性も抜群だ。藁焼きが鰹の産地・土佐(高知県)で昔からそう食べられてきたよう、鱗を落とした新鮮な鰹を皮付きのまま表面だけ軽く炎で炙り、薄くスライスした玉ねぎなどの薬味をたっぷりのせて、カボスなどの酸味を効かせて食べる。あくまでも、表面だけにさっと火を通し、香ばしい香りを楽しむ”カツオの刺身”は、800度もの燃焼温度を出す藁を用いて炙るのが美味さの秘訣だ。
東京で飲食店に従事した後、3年前に福岡・平尾に店を初めて出すにあたって、当時、福岡ではほとんど目にすることが無かった「藁やき」を看板メニューとして勝負をかけた店主・行友宗敏さん。30席ほどの居酒屋は予約なしでは入ることができない人気店に成長し、昨年3月、今泉に2号店を出した。まずは、藁焼きを含む旬の新鮮な刺身が数種類盛り付けられた刺身の盛り合わせを頼んだら、日本酒を頼もう。スタッフに尋ねるとお酒のプロが厳選した冷、熱燗それぞれが8種程度の中から好みのものを提案してくれる。1合(180ml)で注文すると、店内に飾られた豊富なお猪口から好きなものを選ぶことができるので、陶器やガラスなど、器で異なる日本酒の口当たりを楽しみたい。炭火でじっくり火を通した香ばしい焼き魚や和牛など、日本酒に合うメニューが日替わりで揃う。”小箱”と呼ばれるコンパクトで居心地の良い福岡らしいスタイルの同店は、予約して訪れたい。
禁煙、カード使用不可
メニュー:
お刺身3点盛り¥1,280、和牛イチボの炭火焼¥1,380、朝引き鶏炭火焼¥680、自家製さつま揚げ¥580、米茄子の田楽¥480、チーズの味噌漬け¥300、日本酒¥480〜(コップ)、¥750〜(1合)、ソフトドリンク¥300、グラスワイン¥600
Originally published in Fukuoka Now Magazine (fn207, Mar. 2016)