豚骨ラーメン、もつ鍋、水炊きなど、地元の人にも愛される福岡発祥のグルメの中でも、あまりにも当たり前すぎて、福岡独自のメニューであることに気づいていない地元っ子も多いのが「焼き鳥」だ。出汁と酢がベースのタレをかけたザク切りの生キャベツが最初に出てきて、その上に焼けた順に焼きとりをのせて提供することや、焼きとり店だけれど(鶏だけでなく)豚バラや牛肉などの串があるとか…。そして、カリカリのとり皮、というのも実は特筆すべき福岡名物なのだ。鶏皮の中でも薄くて柔らかく、脂が少ない首の皮を約1羽分串に編み込むように巻き、少し焼いて寝かせ、タレをつけて焼いてを繰り返し、きつね色になるまで仕込みは続く。この手間をかけて作るとり皮専門店は、福岡市内に数店あるが、ここ「かわ屋」のとり皮は、6日間かけてじっくり焼きを入れ、端正な醤油ダレがじっくり染み込んでいる。席に着くなり5~10本単位でお目当てのとり皮を注文する人も多いため、カウンター横に整然と並ぶ出番待ちのとり皮の山は、見る見る小さくなる。じっくり焼くことで不要な脂は落ち、串に近い内側は、熟成されたかのような旨味を残すとり皮は、出てきたら熱い内に何もつけずに食べよう。一味唐辛子を少しつけてピリ辛でいただくのもおすすめだ。お目当てのとり皮を堪能したら、ビールを飲みながら、キャベツをつまんだり、好みの串を追加で頼んで仲間と賑やかに過ごすのが福岡流の楽しみ方だ。
メニュー:
とり皮、バラ、とり身、砂ズリ、キモ、各串1本¥100、ししゃも(3匹)¥300、牛サガリ¥200、冷トマト¥200、厚揚げ(半丁)¥300、おにぎり(2個)¥300、生ビール(中)¥500、日本酒¥300、梅酒¥450、ソフトドリンク¥300