国内外から成長都市として注目を集める福岡市の空の玄関口が福岡空港です。現在、福岡空港は「東アジアのトップクラスの国際空港」に向けて、大きく生まれ変わろうとしています。
日本と中国の経済首都の中間に位置する福岡市の空の玄関口
日本の首都・東京と、中国の経済首都を担う上海。両都市のほぼ中間に位置する福岡市は、古来よりアジアに開かれた国際交流都市として二千年余りの歴史があります。
その市街地に立地する福岡空港は、交通アクセスに優れた便利な空港としても知られ、コロナ禍前の2019年は年間発着回数18万1,480回、年間乗降客数2,467万9,617人(国際線639万8,065人、国内線1,828万1,552人)を1本の滑走路で処理しました。
福岡空港の乗降客数は羽田、成田、関西に次いで国内第4位ですが、滑走路が一本の空港としては第1位。
出所:国土交通省「空港管理状況調書」
都市の中心部から地下鉄で5分の空港に世界有数の混雑路線が就航
現在、福岡空港の滑走路は1本です。ここに、世界で3番目に利用者の多い路線が就航しています。
『最も混雑した航空ルート』2023年版
・第1位:提供座席数1,372万8,786席:金浦(ソウル)~済州線
・第2位:提供座席数1,193万6,302席:羽田~札幌線
・第3位:提供座席数1,126万4,229席:福岡~羽田線
出所:英国の航空・旅行関連データ調査会社OAG社
『世界の都市総合力ランキング』
福岡市都心部にある博多駅から福岡空港へのアクセス時間5分は、世界の主要48都市において第1位(空港アクセス時間の短さ)
出所:森記念財団都市戦略研究所
福岡の主要エリアを結ぶ福岡市営地下鉄が、1993年3月に福岡空港へ直接乗り入れたことにより、福岡市都心部からの交通アクセスが飛躍的に向上しました。
福岡空港は、市街地に立地して便利な反面、騒音対策のため離着陸の時間は原則7時から22時までです。福岡空港を運営する福岡国際空港株式会社は地域共生本部を設けて、周辺地域からの要望に応じながら、環境変化や時代の潮流にあわせた「地域との共生」に積極的に取り組んでいます。
2025年春、第2滑走路誕生
福岡空港内では2025年3月の供用開始を目指して、第2滑走路の増設工事を急ピッチで進めています。2,800m滑走路1本である福岡空港は、混雑などの課題を長年抱えています。今回増設される2,500m×幅60mの第2滑走路の供用が始まると、航空機の発着可能回数も増えます。
2016年3月に航空法上の混雑空港に指定された福岡空港の滑走路処理能力は、年間16万4,000回でした。その後、国内線ターミナル側の平行誘導路二重化工事によって年間17万6,000回に増えました。今回、滑走路西側に増設する第2滑走路の供用がはじまると、18万8,000~21万1,000回に拡大する見込みです。
滑走路増設に伴う一大リニューアルで福岡空港は生まれ変わる
現行の国際線旅客ターミナルビルが供用を始めた1999年当時の国際線旅客は約250万人でしたが、2018年度は690万人に達して施設が手狭になりました。
そこで、福岡空港は、第2滑走路の供用開始に合わせて国際線ターミナル地区の空港施設も増改築中です。2023年2月に新たな立体駐車場の供用が始まり、同年12月には、国際線旅客ターミナルの北側へコンコースを延伸し、旅客搭乗橋を6基から12基に倍増しました。
今後、到着ロビーを4,000m2増床して、2024年11月末にはアクセスホールが完成する予定です。
第2滑走路の供用を始める2025年3月には、床面積で現行の約2倍となる13万6,000m2へ拡張する国際線ターミナルビルの増改築工事が完了します。あわせて免税店エリアも現行の約4倍となる6,000m2に拡充してオープンする予定です。
一連の施設整備事業で福岡空港の国際線旅客ターミナルビルは、国際線旅客1,600万人に対応した一大施設へ生まれ変わります。そして、国内線ターミナル地区には、現行の立体駐車場跡地に商業・オフィス・ホテル・バスターミナル機能を備えた複合施設を建設する計画です。この2025年度に登場予定の複合施設は、九州をはじめ年間800万人以上の一般客を呼び込む〝新たな街〟づくりの一翼としても期待されています。
東アジアのトップクラスの国際空港へ飛翔
世界的な潮流の一つである「空港民営化」。福岡空港は2019年4月、国の所有権を残したまま、滑走路やターミナルビル、貨物ビル、駐車場などの運営権を売却するコンセッション方式で民間に委託しました。現在、福岡空港を運営しているのは、地元企業グループなどが出資する福岡国際空港株式会社です。事業期間は30年。同社は「比類なき東・東南アジアの航空ネットワークを有する、東アジアのトップクラスの国際空港」を将来イメージに掲げ、福岡空港の一大リニューアル事業に取り組んでいます。
福岡国際空港株式会社は、2018年に策定したマスタープランにおいて、30年後・2048年に目指す姿として以下を挙げています。
・東・東南アジアの就航国数は日本一、14ヵ国・地域へ51路線に就航
・旅客数3,500万人(国際1,600万人、国内1,900万人)
・100路線(国際67路線、国内33路線)
・世界的な空港ランキング『World Airport Star Rating』で最高の5スターエアポートに定着
空港を交通拠点に止まらず、新たなまちづくりともいえる『エアポートシティ』をはじめ、エアライン誘致、空港アクセス、地域共生、空港容量という5つの基本コンセプトで将来イメージの実現を図る計画です。
変革時期を迎える福岡市は、都市部では「天神ビッグバン」や「博多コネクティッド」といった再開発事業が進み、九州大学箱崎キャンパス跡地は、国内最大級の事業規模として注目集まる「FUKUOKA Smart EAST」の大規模な開発プロジェクトが控えています。福岡空港も、空港という機能を中心にした人が集まる拠点づくりが進んでいます。
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